クレイジー・ホースと言えばニール・ヤングのバックバンドとして広く知れ渡っていますが、自身でもアルバムを5枚ほど出しています。
その中では何といっても、ダニー・ウィッテンが在籍していたファーストアルバム『Crazy Horse』にとどめを刺します。1971年リリースです。
この時のメンバーは
ダニー・ウィッテン(Danny Whitten,g,vo)
ジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche,p,vo)
ラルフ・モリーナ(Ralph Molina,ds,vo)
ビリー・タルボット(Billy Talbot,b)
そして正式メンバーではありませんが、
ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren,g,vo)が全面参加しています。
その他にゲストミュージシャンとして、ライ・クーダー(slide g)と後にフライング・バリット・ブラザースに参加する、ギブ・ギルボー(Gib Gilbo,fiddle)が参加しています。
Side A
1. Gone Dead Train
2. Dance, Dance, Dance
3. Look at All the Things
4. Beggars Day
5. I Don't Want To Talk About It
Side B
1. Downtown
2. Carolay
3. Dirty, Dirty
4. Nobody
5. I'll Get By
6. Crow Jane Lady
ジャック・ニッチェはニール・ヤングのソロデビューの時からの付き合いです。そのアルバムの2曲でアレンジャーとプロデューサーとして参加しています。また、あのフィル・スペクターの重要な協力者としても知られています。
また、ローリング・ストーンズの初期のアルバムではピアノ、オルガンで参加しています。
ギタリストのダニー・ウィッテンはニール・ヤングの親友でした。しかし、ダニーはリュウマチを患っており、その苦しみから逃れるためにヘロインに溺れていました。ニール・ヤングはそんな彼を何とか救おうとしましたが、バンドの演奏にも支障が出るほどになり、結局解雇せざるを得ませんでした。それでもニールは彼の身の安全を心していましたが、結局、リュウマチの薬とヘロイン中毒を克服するために多飲したアルコールのため死亡しました。1972年、若干29歳でした。
悲しみに包まれたニールは先に発売される予定だった『Tonight's The Night(今宵その夜)』を発売延期にして、『On The Beach(渚にて)』を先に発売しました。これは『Tonight The Night』が明らかにダニー・ウィッテンに捧げらたアルバムだったからでしょう。
ニール・ヤングの悲しみが伝わるアルバムとなっています。
さて、アルバム内容に戻りますが、全11曲の内、ダニー・ウィッテンが5曲、ジャック・ニッチェが3曲、ニルス・ロフグレンが2曲、ニール・ヤングが1曲となっています。
A-2 ニール・ヤングの曲で珍しくラルフ・モリーナがヴォーカルを執っています。 ニール・ヤングも時々ライブで歌っています。
A-4 ニルス・ロフグレンの曲。
A-5 名作「もう何も話したくない」です。ロッド・スチュワート、リタ・クーリッジ のカバーで有名ですが、ダニーの枯れた歌声も素晴らしい。静かなしっとりとし た曲です。ライ・クーダーのスライドギターがいいです。
B-1 ニール・ヤングの『Tonight's The Night』にもライブ演奏で入っていました。
B-3 ダニーの曲で、ライ・クーダーのスライドが聴けます。
B-6 ジャック・ニッチェの曲。
全体として地味な作りですが、いぶし銀の渋さが溢れて、通好みとなっています。
ここでもう一人忘れてならないのは、ギタリスト、ニルス・ロフグレンです。
彼はニール・ヤングと親密でニールの初期のアルバム『After The Gold Rush』の頃からの付き合いです。クレイジーホースの正式メンバーではありませんでしたが、ほぼメンバーと同格の存在でした。
1971年には「グリン」を結成し、アルバムを4枚リリースしました。グリン解散後はソロ活動にて数多くのアルバムを出しました。
また1984年にはブルース・スプリングスティーンのE Street Bandに加入し、Born In USAツアーにも参加しました。
現在も活躍中です。
グリンの『ファースト』と4th『Gone Crazy』。ソロの『ファースト』と『ライブ』。
クレイジー・ホースの『Loose』『At Crocked Lake』『Crazy Moon』
クレイジ―・ホースはダニー亡き後、フランク・サンペドロが加入し、この3人で長いこと活動しました。今現在も解散はしておりません。活動していると思います。
CRAZY HORSE • I Don't Want To Talk About It • 1972
それでは今日はこの辺で。