Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

グラム・パーソンズに捧ぐ『Return Of The Grievous Angel: Tribute To Gram Parsons』

 今週の『捧げる』シリーズ、最後を飾るのはグラム・パーソンズです。

カントリー・ロックを語る上で、グラム・パーソンズ(Gram Parsons)の名前は絶対に欠かすことが出来ません。そのあたりのことは何度か記事にしていますので、今日はあえて書きません。彼が亡くなったのが1973年9月ですから、もう45年以上も経つのです。僅かに26歳でした。偉大なるミュージシャンを失いました。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

1999年、そのグラム・パーソンズを慕うミュージシャンたちが、彼へのトリビュート・アルバムを作成しました。

 

 『Return Of The Grievous Angel: Tribute To Gram Parsons

 

01.She - Pretenders & Emmylou Harris

02.Ooh Las Vegas - Cowboy Junkies

03.Sin City - Beck & Emmylou Harris

04.$1,000 Wedding - Evan Dando & Julianna Hatfield

05.Hot Burrito #1 - The Mavericks

06.High Fashion Queen - Chris Hillman & Steve Earle

07.Juanita - Sheryl Crow & Emmylou Harris

08.Sleepless Nights - Elvis Costello

09. Return Of The Grievous Angel - Lucinda Williams & David Crosby

10.One Hundred Years From Now - Wilco

11.A Song For You - Whiskeytown

12.Hickory Wind - Gillian Welch

13.In My Hour Of Darkness - The Rolling Creekdippers

 

まずは01。何といっても、エミルー・ハリスでしょう。 曲はグラムのファーストアルバム『GP』から。このアルバムは何回聴いたかわからないほどです。レコードもすっかりすり切れたと思います。エミルー・ハリスはザ・バーズのクリス・ヒルマンの紹介でグラム・パーソンズと出会い、見出だされました。このファーストアルバムにも参加しています。競演しているのはプリテンダーズです。クリッシー・ハインドとのハーモニーがいいです。

 

02はセカンドアルバム『グリヴィアス・エンジェル』から。演奏はカウボーイ・ジャンキーズ。以前記事にしています。ジャンキーズはカナダのオルタナ・カントリー・バンド。ティミンズ3兄弟とアラン・アントン。ここでは全くオリジナル曲と違ったアレンジで、いかにもジャンキーズらしい静かな曲になっています。

 

03はフライング・バリット・ブラザース(FBB)のファーストアルバム『黄金の城』から。歌うは何とベックエミルー・ハリス。このアルバムも擦り切れるぐらい聴きました。大好きなアルバムで私の生涯の中でも数多く聴いた中の1枚です。ベックは意外でした。

 

04は『グリヴィアス・エンジェル』から。レモンヘッズイヴァン・ダンドジュリアナ・ハットフィールドのカバー。レモンヘッズはアメリカのオルタナバンド。この時は解散していたはずです。クレジットも二人に名前になっています。

 

05は『黄金の城』からの名曲。演奏はマーヴェリックスです。マーヴェリックスはアメリカのカントリー・ロックバンド。2004年には解散しました。その後再結成したようです。FBBと比較するのは酷です。

 

06はFBBのセカンドアルバム『バリット・デラックス』から。バーズから一緒にFBBを結成したクリス・ヒルマンとカントリー・シンガーのスティーヴ・アールとの組み合わせです。ここでベースを弾いているのはクリスではなく、リランド・スクラ―で、ピアノにスキップ・エドワーズ、プロデュースはハーブ・ペダーソンです。

 

07は『黄金の城』からのこれまた名曲。歌うはシェリル・クロウエミルー・ハリスシェリル・クロウは意外な感じです。しっとり歌ってくれました。

 

08はグラム・パーソンズとFBB時代の未発表曲を集めたアルバム『スリープレス・ナイツ』から。エルヴィス・コステロがピアノとヴァ―カルです。しんみり歌っています。コステロさん、やってくれました。

 

09は『グリヴィアス・エンジェル』から。デヴィッド・クロスビールシンダ・ウィリアムスの組合せです。エミルー・ハリスアコースティック・ギターで、FBBのクリス・エスリッジがベース、トム・ペティベルモント・テンチがオルガンでそれぞれ参加しています。ルシンダがメインヴォーカルでクロスビーはバックヴォーカルです。

 

10はザ・バーズ時代の傑作アルバム『ロデオの恋人』から。オルタナカントリーの代表選手、ウィルコです。さすがにウィルコ、いい演奏です。

 

11は『GP』から。演奏はウィスキータウンです。リーダーのライアン・アダムスはグラムを尊敬して止みません。ケイトリン・キャリーもバックで歌っています。ライアンが選びそうな曲です。しっとりしたバラードです。

 

12は『ロデオの恋人』から。歌うはギリガン・ウェルチです。この人のことは良く分かりませんでした。夫のデヴィッド・ローリングスとコンビを組んで歌っています。ここでも二人で歌っています。アメリカのカントリー・フォーク歌手です。すっかりベテランになりました。

 

 13は『グリヴィアス・エンジェル』から。ローリング・クリークディッパーズはジェイホークスのマーク・オルソンがバンドを抜けた後に結成したバンドです。ここにはヴィクトリア・ウィリアムズまで参加しています。オリジナル・ハーモニー・リッジ・クリークディッパーズが正式なバンド名のようです。

 

 

グラム・パーソンズがいなかったら、ザ・バーズはあれほどの名声を得られたかどうか分かりません。そしてFBBはグラム・パーソンズなしでは生まれなかったでしょう。そうなると、オルタナカントリーのウィルコ、ジェイホークス、ウィスキータウンなども出現したかどうかわかりません。それだけ彼がカントリー・ロック界に与えた影響は大きかったのです。いや、彼がいなければカントリーロックというジャンルは出来ていなかったかもしれません。断っておきますが、あくまでも私感です。

 

グラム・パーソンズは私のフェヴァリット・アーティストのベスト10には間違いなく入ってきます。26歳の短すぎる命は、しかしロック界に多大な足跡を残しました。

 

なお、このジャケットは『黄金の城』のジャケット撮影にために作成したスーツです。

黄金の城+1(紙ジャケット仕様)

 

グラム・パーソンズよ永遠に!

 

 


Pretenders and Emmylou Harris - She


Return of the Grievous Angel - Lucinda Williams & David Crosby


Beck and Emmylou Harris- Sin City


Chris Hillman / Steve Earle / High Fashion Queen

 

それでは今日はこの辺で。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧ぐ『A Tribute to Stevie Ray Vaughan』

 1990年8月27日、僅か35歳の若さで飛行機事故によりこの世を去った若き天才ギタリストStevie Ray Vaughanの追悼コンサートの模様がCDとDVDで1996年に発売されました。録音は1995年5月11日、テキサス州オースティンの Austin City Limits Studioで行われました。

バックバンドのダブルトラブル(Double Trouble)をバックに多くのミュージシャンが参加しました。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

『A Tribute to Stevie Ray Vaughan』

 

01.Pride And Joy - Bonnie Raitt

02.Texas Flood - Jimmie Vaughan

03.Telephone Song - B.B. King

04.Long Way From Home - Buddy Guy

05.Ain't Gone 'N Give Up On Your Love - Eric Clapton

06.Love Struck Baby - Robert Cray

07.Cold Shot - Dr. John

08.Six Strings Down - Jimmie Vaughan/Eric Clapton/Bonnie Raitt/Robert Cray/B.B King/Buddy Guy/Dr. John/Art Neville 

09.Tick Tock - Jimmie Vaughan/Eric Clapton/Bonnie Raitt/Robert Cray/B.B King/Buddy Guy/Dr. John/Art Neville 

10.SRV Shuffle - Jimmie Vaughan/Eric Clapton/Bonnie Raitt/Robert Cray/B.B King/Buddy Guy/Dr. John/Art Neville 

 

ダブルトラブル(Double Trouble)のメンバーは

Reese Wynans (keyboards)

Tommy Shannon (bass)

Chris Layton (drums)

です。

 

01はファーストアルバム『Texas Flood』から。ギター・ヴォーカルはボニー・レイットです。ボニー・レイットお得意のスライドギターが聴けます。

 

02も同じく『Texas Flood』から。ギター・ヴォーカルはファビュラス・サンダーバードの創設者でスティーヴィーの兄のジミー・ヴォーンです。このコンサートの企画・プロデュースもジミーです。

 

03は死後に発表されたジミー・ヴォーンとのヴォーン・ブラザーズ(Vaughan Brthers)としてのアルバム『Family Style』から。ギター・ヴォーカルは超大御所B.B.キングです。2015年に89歳で亡くなりました。この当時は69歳だったのです。

 

04も『Family Style』から。ギター・ヴォーカルはブルース界の重鎮、バディ・ガイです。現在82歳です。

 

05はサードアルバム『Soul To Soul』から。ギター・ヴォーカルはエリック・クラプトン。生前から親交が深かった二人です。クラプトンも73歳になりました。

 

06は『Texas Flood』から。ギター・ヴォーカルはロバート・クレイ。二人はほぼ同期で、死ぬ直前までクラプトンと共にスティーヴィーとライヴを行っていました。

 

07はセカンドアルバム『Couldn't Stand the Weather』から。ピアノ・ヴォーカルはドクター・ジョンです。彼も77歳になりました。

 

08はジミー・ヴォーンのソロアルバムに収録されている曲です。参加者全員のジャムセッションです。アート・ネヴィルも参加しています。そのアート・ネヴィルの曲です。

 

09は『Family Style』から。参加者全員のジャムセッションです。ジミーの曲です。

 

10はジミー・ヴォーンのオリジナル。参加者全員のジャムセッションです。

 

和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます。皆のスティーヴィー・レイ・ヴォーンに対する尊敬と親しみが感じられるアルバムです。

あわせてDVDを観るのもいいと思います。

 

スティーヴィー・レイ・ヴォーン・トリビュート [DVD]

スティーヴィー・レイ・ヴォーン・トリビュート [DVD]

 

 


A Tribute to Stevie Ray Vaughn (Trailer)

 

それでは今日はこの辺で。

レーナード・スキナードに捧ぐ②『Under The Influence:A Jam Band Tribute To Lynyrd Skynyrd』

昨日に引き続きレーナード・スキナード (Lynyrd Skynyrd)のトリビュート・アルバムです。

このアルバムは昨日の『An All - Star Tribute to Lynyrd Skynyrd』よりも早く、2004年に発売されました。正直、当時知らないバンドも多くあまり期待はしませんでした。お目当てはただ一つガヴァメント・ミュールでした。ただこれも既発のライヴと同じバージョンだろうなとは思っていましたが、ブルース・トラヴェラーとノース・ミシシッピ・オールスターズが入っているからまあいいかと購入しました。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

lynyrdburitto.hatenablog.com

『A Jam Band Tribute To Lynyrd Skynyrd

 

ジャムバンドとありますからジャム・ロック系のバンド中心です。

01.Call Me The Breeze - Les Claypool

02.Saturday Night Special - Galactic

03.Simple Man - Gov't Mule

04.Whiskey Rock A Roller - North Mississippi Allstars

05.The Ballad Of Curtis Loew - moe. / John Hiatt

06.Free Bird - Blues Traveler

07.Every Mother's Son - Drive By Truckers

08.Sweet Home Alabama - Big Head Todd And The Monsters

09.Gimme Three Steps - Disco Biscuits

10.Four Walls Of Raiford - Yonder Mountain String Band

11.Workin' For MCA - Particle

 

01は『セカンドヘルピング』からJ.J.ケールの「コール・ミー・ア・ブリーズ」です。演奏はレス・クレイプール。Primus(プライマス)のリーダーです。ベースとヴォーカルの変人です。ここでもベース前面で気持ち悪いヴォーカルを聴かせます。嵌る人は嵌るのでしょう。

 

02はサードアルバム『ナッシング・ファンシー』より大ヒット曲「サタデイナイト・スペシャル」です。演奏はギャラクティックです。ファンク・ジャズ風アレンジです。全く違う曲になっています。

 

03はお目当てガヴァメント・ミュールです。曲はファーストアルバムから「シンプル・マン」です。やはりレーナード・スキナードの曲はこのように料理してもらわないと困ります。このアルバムの白眉に間違いありませんでした。

 

04はサードアルバム『ナッシング・ファンシー』より「ウィスキー・ロックン・ローラー」です。ライヴの定番です。ノース・ミシシッピ・オールスターズです。ジャムバンドの王者です。ここでは比較的オリジナルに忠実にアレンジしています。

 

05は『セカンドヘルピング』から「カーティス・ローのバラード」です。モージョン・ハイアットです。モーはアメリカのジャムバンド。ジョン・ハイアットは大物シンガー。カントリー風サウンドに仕上げました。

 

06は代表作「フリー・バード」、ファーストアルバムから。ブルース・トラヴェラーが挑みます。色々アレンジを工夫した後は感じられますが、如何せん「フリー・バード」の楽曲の良さが失われました。

 

07は4作目の『ギミ・バック・マイ・ブレッツ』から「エヴリ・マザーズ・サン」です。ドライブ・バイ・トラッカーズです。トラッカーズはジャムバンドではありません。南部の良さが出ています。このバンドも何枚か聴いていますが、泥臭く雑っぽいところが好きです。

 

08は大ヒット曲「スイートホーム・アラバマ」、『セカンド・ヘルピング』です。ビッグ・ヘッド・トッド&モンスターですが、このアルバムで初めて聴きました。このアレンジはいただけません。レーナード泣きます。

 

09は『ストリート・サヴィヴァーズ』から「ギミー・スリー・ステップス」です。演奏はディスコ・ビスケッツです。このバンドも初めてです。ジャムバンドといってもエレクトロ二クス系のようです。この手はちょっと無理です。

 

10は未発表曲集『レジェンド』に収められた曲です。ヨンダ―・マウンテン・ストリング・バンドはカントリー系のジャム・バンドです。といってもこれも初聴きです。

 

11は『セカンド・ヘルピング』から「ワーキン・フォー・MCA」です。演奏はパーティクルプログレ系のジャムバンド、らしいです。これも初聴きです。

 

結局、予想通り満足できたのはガヴァメント・ミュールとドライブ・バイ・トラッカーズとノース・ミシシッピ・オールスターズあたりでしょうか。

 

ラストの4曲は特にいただけませんでした。昨日のトリビュート・アルバムから比べると随分落ちる気がします。もちろん私感です。好みの問題です。

レーナード・スキナードに対する思い入れが強い分、原曲をいじられすぎると興ざめしてしまいます。ご容赦願います。

 

また、2014年に『One More For The Fans』というライヴ盤のトリビュート・アルバムが出ていますので、またの機会に紹介します。これは素晴らしいです。

 


Simple Man


Whiskey Rock a Roller

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

レーナード・スキナードに捧ぐ①『An All - Star Tribute to Lynyrd Skynyrd』

レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)へのトリビュート・アルバムは何種類か出されています。

今日はその中から、1977年、レーナード・スキナードのメンバーの乗った飛行機が墜落し、ロニー・ヴァン・ザントティーヴ・ゲインズキャシー・ゲインズが死亡してからちょうど30年後に出されたトリビュート・アルバムを取り上げてみたいと思います。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

『An All - Star Tribute to Lynyrd Skynyrd

01.Free Bird - Molly Hatchet with Charlie Daniels

02.Sweet Home Alabama - The Outlaws(Feat.Hughie Thomasson)

03.Double Trouble - Artimus Pyle, Ed King & The Original Honkettes

04.Saturday Night Special - Great White

05.That Smell - Canned Heat 

06.Seasons - Blackfoot(Feat.Rick Medlocke)

07.Gimme Three Steps - Walter Trout

08.What's Your Name - Jim Dandy's Black Oak Arkansas

09.Gimme Back My Bullets - Pat Travers

10.Simple Man - Dangerous Toys

11.Call Me the Breeze - Atlanta Rhythm Section 

12.You Got That Right - Rick Derringer

13.Swamp Music - Sky Saxon & Joey Covington

 

錚々たる顔ぶれが揃いました。

 

01はレーナードの代名詞となる「フリーバード」です。ファーストアルバム収録です。モリ―・ハチェットチャーリー・ダニエルズの競演です。南部のベテランたちによる「フリー・バード」。演奏は文句なし。しかし、この頃モリー・ハチェットのヴォーカルはフィル・マコーミックですが、どうしてもロニー・ヴァン・ザントと比べてしまいます。ちょっと残念でした。

 

02はこれまた大ヒット曲「スイートホーム・アラバマ」です。セカンドアルバム『セカンド・ヘルピング』から。これまた南部のベテラン、アウトローです。こちらも演奏は完璧ですが、ヴォーカルがやっぱり弱い。アウトローズのヴォーカルは元々ちょっと物足りなかったのですが、ロニーと比較してはますます可哀想です。

 

03は4作目の『ギミ・バック・マイ・ブレッツ』から「ダブル・トラブル」です。元メンバーのエド・キングがスライド・ギター、アーティマス・パイルがドラムを叩いています。ヴォーカルはアーティマス・パイル・バンドのメンバーです。

 

04はサードアルバム『ナッシング・ファンシー』より大ヒット曲「サタデイナイト・スペシャル」です。演奏はなんとHM/HR界からグレイト・ホワイトです。この時は2003年の事故から復帰したばかりの時です。さすがグレイト・ホワイト、オリジナルを尊重しながらも独自の重厚なサウンドを出しています。

 

05は遺作となった6枚目のアルバム『ストリート・サヴィヴァーズ』から「ザット・スメル」です。これまた驚きのキャンド・ヒートです。彼らがレーナードのトリビュートに参加するとは意外でした。まだバンドが続いていたんだということだけでも当時は驚きでした。ハープを交えた名演です。

 

06は事故後に発売されたコンピレーション『Skynyrd's First And...Last』に収められていた曲です。創設期の頃、一時的にメンバーだったリッキー・メドロックの曲です。演奏はブラックフットです。そのリッキーをフューチャーしています。しっとりとした渋めの曲です。

 

07はウォルター・トラウト登場です。曲は『ストリート・サヴィヴァーズ』から「ギミー・スリー・ステップス」です。ウォルター・トラウトにこんなところで会えるなんて最高でした。文句なしです。

 

08も『ストリート・サヴィヴァーズ』からで「ワッツ・ユア・ネーム」です。ブラック・オーク・アーカンソーです。サザンロックの有名人、ブラック・オーク。ヴォーカルはジム・ダンディ・マングラムです。解散したと思っていたら活動していました。

 

09はアルバム『ギミ・バック・マイ・ブレッツ』からタイトル曲。歌うはパット・トラヴァース。ブルース・ギタリストです。しゃがれた声で頑張っています。名曲です。

 

10はファーストアルバムから「シンプル・マン」です。大好きな曲です。ガヴァメント・ミュールもカバーしていました。ここではこれまたHM/HR界からデンジャラス・トイズです。いなくなったと思ったら、こんなところでお目にかかれました。好きなバンドでした。

 

11は『セカンド・ヘルピング』から「コール・ミー・ア・ブリーズ」です。J.J.ケールの曲です。南部のライバルだった、アトランタ・リズム・セクションです。泥臭いレーナードに対しアトランタは洗練されたサザンロックでした。セッションミュージシャンの集まりでした。未だに健在です。珍しく泥臭さくやっています。

 

12はリック・デリンジャー登場。『ストリート・サヴィヴァーズ』から「ユー・ゴット・ザット・ライト」です。ブルースに回帰したリック・デリンジャー。得意のロックンロールでノリに乗った演奏を聴かせてくれます。

 

13はオリジナルアルバム未発表でベスト盤で発表された曲です。1960年代のサイケデリックバンド、シーズ(The Seeds)のヴォーカリストスカイ・サクソンと元ジェファーソン・エアプレインのドラマー、ジョーイ・コヴィントンが演じています。不思議な組み合わせですが、何か交流があったのでしょう。シーズは再編しているようです。

 

こうしてみると、やはり第1期レーナード・スキナードの遺作となった『ストリート・サヴィヴァーズ』からの選曲が多いです。それとブルースマンたちの参加も意外に多く驚いています。それからサザンロックのライバルたちも多く参加しています。

 

私にとって70年代のレーナード・スキナードはオールマン・ブラザースと並んで絶対に外せないバンドでした。あの時の飛行機事故は本当にショックでした。あれから40年以上経ってしまいました。時の流れは速いものです。久しぶりにこのアルバムを聴きました。多くのベテランミュージシャンが参加しており、それぞれのミュージシャンがレーナード・スキナードに敬意を表して参加したのだろうと想像できます。レーナード・スキナード、永遠なれ!

 


That Smell


Saturday Night Special


Gimme Three Steps


Simple Man

 


Free Bird

 

それでは今日はこの辺で。

ザ・バンド(The Band)に捧ぐ『エンドレス・ハイウェイ(Endless Highway: The Music of The Band)』

ザ・バンドの解散コンサート『ラストワルツ』から30年を記念して出された、ザ・バンド・トリビュートアルバムです。

lynyrdburitto.hatenablog.com

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

ザ・バンドの名曲がゾロゾロ出て来ます。2007年の発売です。発売当時は参加ミュージシャンも知らない人たちも多く、ちょっと迷いましたが正解でした。

 

ザ・バンド・トリビュートというよりはそれぞれのミュージシャンがザ・バンドの曲を独自に料理しているという感じです。

 

『エンドレス・ハイウェイ(Endless Highway: The Music of The Band)』

 

 

 

Disc I    

01.This Wheel's on Fire - Guster

02. King Harvest - Bruce Hornsby & the Noisemakers

03. It Makes No Difference - My Morning Jacket

04. I Shall Be Released - Jack Johnson/ALO

05. The Weight  - Lee Ann Womack

06. Chest Fever - Widespread Panic

07. Up on Cripple Creek - Gomez

08. The Night They Drove Old Dixie Down - The Allman Brothers Band

09. Stage Fright - Steve Reynolds

10. Rag Mama Rag - Blues Traveler

11. Whispering Pines - Jakob Dylan

12. Acadian Driftwood - The Roches

13. The Unfaithful Servant  - Rosanne Cash

14. When I Paint My Masterpiece - Josh Turner

15. Life Is a Carnival - Trevor Hall

16. Look Out Cleveland - Jackie Greene

17. Rockin' Chair - Death Cab for Cutie

 

Disc 2

01.The Shape I'm In - Gov't Mule

02.Ain’t No More Cane –John Hiatt

03.Ophelia - Animal Liberation Orchestra

04.Bessie Smith - Joe Henry

 

Disc 2は日本盤のボーナス・ディスクです。実はこのボーナス・ディスクのガヴァメント・ミュールが一番のお目当てでした。ですから是が非でも日本盤をと思っていました。

 

Disc 1の01はガスターというバンド。このバンドはこの時初めて知りました。1991年に結成されたアコースティック・バンドです。曲はボブ・ディランとの『ザ・ベースメント・テープス』より「火の車」です。文句なしの出来だと思います。アコースティック・ギターもハーモニーも決まっています。

 

02はセカンドアルバム『ザ・バンド』より。ブルース・ホーンスビーにより新しい「キング・ハーヴェスト」が生まれました。

 

03はアルバム『南十字星』からの名曲。ここでのマイ・モーニング・ジャケットは素晴らしい。オリジナルに忠実に演奏していますが、ジム・ジェイムスのヴォーカルもリック・ダンコに劣らず、ギターも泣かせます。

 

04はおなじみボブ・ディランの「アイ・シャル・ビー・リリースト」です。ファーストアルバムの『ミュージック・フロム・ビッグピンク』より。ジャック・ジョンソンのギター・ヴォーカルにバックが彼と交流の深いALOです。ちょっと軽めですがオリジナルに忠実に演奏されています。リチャード・マニュエルの声が懐かしくなります。

 

05はバンドの代表曲「ザ・ウェイト」です。『ミュージック・フロム・ビッグピンク』より。リー・アン・ウーマックの歌唱は文句なしです。この曲は何度聴いて飽きない、まさに名曲です。

 

06はワイドスプレッド・パニックの「チェストフィーバー」、これも『ミュージック・フロム・ビッグピンク』から。ガース・ハドソンのオルガンの代わりにジョン・ハーマンのキーボード。力強い曲になっています。サザンロック風に仕上げています。

 

07は「クリップル・クリーク」、セカンドアルバム『ザ・バンド』から。演奏はゴメス。イギリスのバンドで、この時初めて知りました。レヴォン・ヘルムのヴォーカルが耳に沁み込んでいるのでちょっと物足りない。

 

08はオールマン・ブラザース・バンドのライブで「オールド・デキシ―・ダウン」。これもセカンドアルバムから。グレッグ・オールマンのヴォーカルにウォーレン・ヘインズとデレク・トラックスのギターです。グレッグ・オールマンももういません。

 

09はサードアルバム『ステージ・フライト』からのタイトル曲。好きな曲です。演じるはティーヴ・レイノルズ。この人もこの時に知りました。アコースティック・ギターとチェロで静かに歌います。

 

10はブルース・トラヴェラーの「ラグ・ママ・ラグ」、これもセカンドアルバムからトラヴェラーズにピッタリの選曲です。ジョン・ポッパーのヴォーカルとハープがいい味を出しています。

 

11はジェイコブ・ディランリズ・ライトの「ウィスパリング・パインズ」、これもセカンドアルバムから。ジェイコブはボブ・ディランの息子。ザ・ウォール・フラワーズのリーダーでもあります。リズ・ライトはこの時初めて知りました。曲はリチャード・マニュエルの名曲。ジェイコブは静かに静かに歌い上げます。ゾクッとします。

 

12は「アケイディアの流木」、アルバム『南十字星』から。歌うはザ・ローチェス。女性3人の美しいハーモニーでカントリータッチです。

 

13はジョニー・キャッシュの娘、ロザンヌ・キャッシュが歌う「アンフェイスフル・サーヴァント」です。この曲もセカンドアルバムからの選曲です。ロザンヌはカントリー系のシンガーソングライターです。ここでもカントリータッチにしっとりと歌い上げています。

 

14はボブ・ディランの曲でザ・バンドの4作目『カフーツ』に収められている「マスターピース」です。歌うはジョシュ・テイラーです。彼はカントリーシンガーで、ここでも低音でカントリータッチで軽快に歌っています。

 

15はこれも『カフーツ』からの「カーニヴァル」です。歌っているのはトレヴァー・ホールです。当時19歳のシンガー。知りませんでした。原曲とはかなり違ったアレンジをしています。

 

16はセカンドアルバムから「ルック・アウト・クリープランド」です。歌っているのはジャッキー・グリーンアメリカのシンガーソングライターですが後にブラック・クロウズに参加します。この当時はまだ27歳でした。ソウルフルに歌っています。

 

17もセカンドアルバムから「ロッキン・チェアー」です。デス・キャブ・フォー・キューティの演奏です。このバンドは1998年の結成。アメリカの人気バンドです。この名前はボンゾ・ドッグ・バンドの曲名からきています。

 

Disc 2の01はお目当てのガヴァメント・ミュール。曲はアルバム『ステージ・フライト』から「シェイプ・アイム・イン」です。ウォーレン・ヘインズのワウワウギターとヴォーカルが決まってます。ウォーレンらしいアレンジはお見事です。

 

02はボブ・ディランとの『ベースメント・テープス』から「エイント・ノー・モア・ケイン」です。ジョン・ハイアットが歌っています。ジョンはアメリカの大物シンガーソングライターです。その音楽性は幅広く、ここではややカントリー風なアレンジになっています。

 

03はアルバム『南十字星』から「オフェリア」です。演奏はアニマル・リベレーション・オーケストラ(ALO)です。1998年に結成されたバンド。これで初めて知りました。この曲はやっぱりレヴォン・ヘルムでしょうか。

 

04はこれも『ベースメント・テープス』から「ベッシー・スミス」。歌うは奇人ジョー・ヘンリーです。ここにジョー・ヘンリーが入っているのも意外でしたが、なんのなんのいい感じです。ジョー・ヘンリー節満載です。

 

こうして聴いてくると、バンドには名曲がたくさんあったことを再確認させられました。特にファースト、セカンドからの選曲が多いというのも頷けます。この2枚はバンドには欠かせません。それから個人的には『ベースメント・テープス』と『南十字星』も大好きです。ザ・バンドよ永遠に。

 


Jakob Dylan - Whispering Pines - Endless Highway: The Music of The Band


My Morning Jacket - It Makes No Difference - Endless Highway: The Music of The Band


Lee Ann Womack - The Weight - Endless Highway: The Music of The Band


Jack Johnson featuring ALO - I Shall Be Released - Endless Highway: The Music of The Band

 

それでは今日はこの辺で。

この人の、この1枚 『タブ・ベノワ(Tab Benoit)/Nice And Warm』

タブ・ベノワ(Tab Benoit)は1967年、アメリルイジアナ州生まれのブルースロック・ギタリストです。

この人も日本での知名度は低いと思います。ブルースロック新世代に属するギタリスト兼ヴォーカリストです。

 

20歳の頃にはトリオを組みニューオリンズなどで演奏を開始しました。そしてJustice Recordsと契約し、1992年にファーストアルバム『Nice And Warm』をリリースしました。

 

 

01.Nice And Warm

02.Open Book

03.So High

04.I Put A Spell On You

05.Bone Pickin'

06.Shining Moon

07.The Killing Floor

08.Up And Gone

09.She's Out There Somewhere

10.Drownin' On Dry Land

11.Down In The Swamp

12.Voodoo On The Bayou

13.Rambling On My Mind *

*はボーナストラック

 

パーソナルは

タブ・ベノワ(Tab Benoitg,vo,harmonica)

ティーヴ・ベイリー(Steve Bailey,b)

グレッグ・ビソネット(Gregg Bissonette,ds)

ポール・イングリッシュ(Paul English,p,organ)

 

13のピアノはドクター・ジョン(Dr.John)、ベースはダグラス・ポッター(Dauglas Potter)です。

プロデュースはランドール・ジャメイル(Randall Jamail)です。

04はジェイ・ホーキンスでCCRなどでもおなじみの曲。重厚な演奏です。

06はライトニン・ホプキンスの曲。

07はチェスター・バーネットの曲で、マイク・ブルームフィールドのエレクトリック・フラッグなどもカバーしています。

09はバディ・ガイです。

10はアラン・ジョンズとアル・ジャクソンの曲でもはやトラディショナルです。ファビュラス・サンダーバードもカバーしていました。

13はおなじみロバート・ジョンソンです。

 

オープニングからスローなマイナーブルースでいきなり引き込まれます。

04のI Put A Spell On You」はこのアルバムの白眉ともいえる演奏です。  

 

この後も良質なアルバムを出し続けています。もう50歳ですから若くはありませんが、ブルースマンとしてはまだまだ若手のうちです。頑張ってもらいましょう。

 

 


Tab Benoit-- Nice and Warm


Tab Benoit - i put a spell on you_


Tab Benoit - Drowning on Dry Land

 

 

それでは今日はこの辺で。

この人の、この1枚 『ティンズリー・エリス(Tinsley Ellis)/Kingpin』

アメリカのブルースロック・ギタリスト、ティンズリー・エリス(Tinsley Ellis)です。知名度は多分低いでしょう。

 

1957年、ジョージア州アトランタで生まれました。幼少はフロリダで過ごし、小学校からギターを始め、ブルース・ブレイカーズフリートウッド・マックヤードバーズローリング・ストーンズなどを聴きながら育ちました。やがてB.B.キングやフレディ・キングなどの本格ブルースに嵌りました。

1975年大学入学のためアトランタの戻ると、Alley Catsというブルースバンドに参加しました。ここには後にファビュラス・サンダーバードに参加するプレストン・ハバードも在籍していました。

次に1981年、シカゴ・ボブ・ネルソンとハート・フィクサーなるバンドを結成しました。アルバムもリリースしました。しかし、ボブ・ネルソンはアルバムリリース後に辞めてしまいました。

1988年にティンズリー・エリスはアリゲーター・レコードと契約し、4枚のアルバムをリリースしました。

 

そして2000年にキャプリコーン・レコードと契約し、通算7作目のアルバム『Kingpin』をリリースしました。

 

01.Heart Fixing Business

02.Sweet Pea

03.Dyin To Do Wrong

04.Can't Play That Way

05.I've Got To Use My Imagination

06.I Got To Moan

07.I'll Be Loving You

08.The Other Side Of Town

09.Days Of Old

10.Slingshots And Boomerangs

11.Let's Think About It

 

レコーディング・メンバーは

ティンズリー・エリス(Tinsley Ellis,vo,g)

リチャード・ヘイワード(Richie Hayward,ds)

リーゼ・ワイナンス(Rease Wynans,key)

デヴィッド・スミス(David Smith,b)

ジャック・ホルダー(Jack Holder,g)

 

プロデュースはデヴィッド Z(David Z)です。

 

サザンロックのレーベル、キャプリコーンからのリリースということで、サザンロックに近づいたのかと思いましたが、ブルースロックです。安心しました。

オリジナルが3曲で、あとはカバーヴァージョンです。09はB.B.キングです。

06の作者がS.Boyerとあるのはもしかしてスコット・ボイヤーのことかもしれません。そうならばキャプリコーンというのも頷けるのですが。

このCDはキャプリコーンの倒産によって今は入手不可能かもしれません。

キャプリコーンの倒産で、ティンズリーはTelarc レコードに移り、そのあとは再びアリゲーターに戻りました。

アルバムはコンスタントにリリースしています。ステージ活動も盛んで、ウォーレン・ヘインズやオールマン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンバディ・ガイアルバート・コリンズなどとも競演しました。現在も絶好調です。

 

日本での人気はほとんど無いと思いますが、素晴らしいブルースギタリスト兼シンガーです。

 


Heart Fixing Business - Tinsley Ellis - Kingpin


Tinsley Ellis - I'll Be Loving You


Tinsley Ellis - I've Got To Use My Imagination

 

 

それでは今日はこの辺で 。