今週の『捧げる』シリーズ、最後を飾るのはグラム・パーソンズです。
カントリー・ロックを語る上で、グラム・パーソンズ(Gram Parsons)の名前は絶対に欠かすことが出来ません。そのあたりのことは何度か記事にしていますので、今日はあえて書きません。彼が亡くなったのが1973年9月ですから、もう45年以上も経つのです。僅かに26歳でした。偉大なるミュージシャンを失いました。
1999年、そのグラム・パーソンズを慕うミュージシャンたちが、彼へのトリビュート・アルバムを作成しました。
『Return Of The Grievous Angel: Tribute To Gram Parsons』
01.She - Pretenders & Emmylou Harris
02.Ooh Las Vegas - Cowboy Junkies
03.Sin City - Beck & Emmylou Harris
04.$1,000 Wedding - Evan Dando & Julianna Hatfield
05.Hot Burrito #1 - The Mavericks
06.High Fashion Queen - Chris Hillman & Steve Earle
07.Juanita - Sheryl Crow & Emmylou Harris
08.Sleepless Nights - Elvis Costello
09. Return Of The Grievous Angel - Lucinda Williams & David Crosby
10.One Hundred Years From Now - Wilco
11.A Song For You - Whiskeytown
12.Hickory Wind - Gillian Welch
13.In My Hour Of Darkness - The Rolling Creekdippers
まずは01。何といっても、エミルー・ハリスでしょう。 曲はグラムのファーストアルバム『GP』から。このアルバムは何回聴いたかわからないほどです。レコードもすっかりすり切れたと思います。エミルー・ハリスはザ・バーズのクリス・ヒルマンの紹介でグラム・パーソンズと出会い、見出だされました。このファーストアルバムにも参加しています。競演しているのはプリテンダーズです。クリッシー・ハインドとのハーモニーがいいです。
02はセカンドアルバム『グリヴィアス・エンジェル』から。演奏はカウボーイ・ジャンキーズ。以前記事にしています。ジャンキーズはカナダのオルタナ・カントリー・バンド。ティミンズ3兄弟とアラン・アントン。ここでは全くオリジナル曲と違ったアレンジで、いかにもジャンキーズらしい静かな曲になっています。
03はフライング・バリット・ブラザース(FBB)のファーストアルバム『黄金の城』から。歌うは何とベックとエミルー・ハリス。このアルバムも擦り切れるぐらい聴きました。大好きなアルバムで私の生涯の中でも数多く聴いた中の1枚です。ベックは意外でした。
04は『グリヴィアス・エンジェル』から。レモンヘッズのイヴァン・ダンドとジュリアナ・ハットフィールドのカバー。レモンヘッズはアメリカのオルタナバンド。この時は解散していたはずです。クレジットも二人に名前になっています。
05は『黄金の城』からの名曲。演奏はマーヴェリックスです。マーヴェリックスはアメリカのカントリー・ロックバンド。2004年には解散しました。その後再結成したようです。FBBと比較するのは酷です。
06はFBBのセカンドアルバム『バリット・デラックス』から。バーズから一緒にFBBを結成したクリス・ヒルマンとカントリー・シンガーのスティーヴ・アールとの組み合わせです。ここでベースを弾いているのはクリスではなく、リランド・スクラ―で、ピアノにスキップ・エドワーズ、プロデュースはハーブ・ペダーソンです。
07は『黄金の城』からのこれまた名曲。歌うはシェリル・クロウとエミルー・ハリス。シェリル・クロウは意外な感じです。しっとり歌ってくれました。
08はグラム・パーソンズとFBB時代の未発表曲を集めたアルバム『スリープレス・ナイツ』から。エルヴィス・コステロがピアノとヴァ―カルです。しんみり歌っています。コステロさん、やってくれました。
09は『グリヴィアス・エンジェル』から。デヴィッド・クロスビーとルシンダ・ウィリアムスの組合せです。エミルー・ハリスがアコースティック・ギターで、FBBのクリス・エスリッジがベース、トム・ペティのベルモント・テンチがオルガンでそれぞれ参加しています。ルシンダがメインヴォーカルでクロスビーはバックヴォーカルです。
10はザ・バーズ時代の傑作アルバム『ロデオの恋人』から。オルタナカントリーの代表選手、ウィルコです。さすがにウィルコ、いい演奏です。
11は『GP』から。演奏はウィスキータウンです。リーダーのライアン・アダムスはグラムを尊敬して止みません。ケイトリン・キャリーもバックで歌っています。ライアンが選びそうな曲です。しっとりしたバラードです。
12は『ロデオの恋人』から。歌うはギリガン・ウェルチです。この人のことは良く分かりませんでした。夫のデヴィッド・ローリングスとコンビを組んで歌っています。ここでも二人で歌っています。アメリカのカントリー・フォーク歌手です。すっかりベテランになりました。
13は『グリヴィアス・エンジェル』から。ローリング・クリークディッパーズはジェイホークスのマーク・オルソンがバンドを抜けた後に結成したバンドです。ここにはヴィクトリア・ウィリアムズまで参加しています。オリジナル・ハーモニー・リッジ・クリークディッパーズが正式なバンド名のようです。
グラム・パーソンズがいなかったら、ザ・バーズはあれほどの名声を得られたかどうか分かりません。そしてFBBはグラム・パーソンズなしでは生まれなかったでしょう。そうなると、オルタナカントリーのウィルコ、ジェイホークス、ウィスキータウンなども出現したかどうかわかりません。それだけ彼がカントリー・ロック界に与えた影響は大きかったのです。いや、彼がいなければカントリーロックというジャンルは出来ていなかったかもしれません。断っておきますが、あくまでも私感です。
グラム・パーソンズは私のフェヴァリット・アーティストのベスト10には間違いなく入ってきます。26歳の短すぎる命は、しかしロック界に多大な足跡を残しました。
なお、このジャケットは『黄金の城』のジャケット撮影にために作成したスーツです。
グラム・パーソンズよ永遠に!
Pretenders and Emmylou Harris - She
Return of the Grievous Angel - Lucinda Williams & David Crosby
Beck and Emmylou Harris- Sin City
Chris Hillman / Steve Earle / High Fashion Queen
それでは今日はこの辺で。