昨日のキネ旬シアターは『NO SMOKING』でした。
監督:佐渡岳利
主演:細野晴臣
出演:ヴァン・ダイク・パークス、坂本龍一、高橋幸宏、マック・デマルコ他
ナレーション:星野源
製作:2019年 日本
デビュー50周年を迎えた細野晴臣先生の音楽活動を追ったドキュメンタリー映画です。
1969年に小坂忠や柳田ヒロら結成した「エイプリル・フール」のベーシストとしてメジャーデビュー、その後「はっぴいえんど」を鈴木茂、大瀧詠一、松本隆と共に結成。この「はっぴいえんど」が早川義夫のジャックスと並んで日本語ロックの先駆けとなりました。岡林信康先生のバックバンドも務めました。さしずめボブ・ディランとザ・バンドの関係のようでした。
1973年に「はっぴいえんど」を解散すると、鈴木茂や松任谷正隆、林立夫らと「キャラメル・ママ」を結成、これが後に「ティン・パン・アレー」となります。
また並行してソロ活動も行い、アルバムもリリースしています。
1978年には坂本龍一、高橋幸宏とともにイエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O)を結成します。当時のテクノ、ニュー・ウェイヴのブームに乗って一躍大人気バンドになり、世界中で活躍しました。シンセサイザーとコンピュータを使った新しい音楽分野を確立しました。
Y.M.Oは1983年に解散しますが、その後も時折再結成しています。
その後はソロ活動や『銀河鉄道の夜』や『万引き家族』などの映画音楽、その他幅広い音楽活動を続けています。
この映画は細野先生の幼少期から現在にいたるまでの足跡をインタビューや当時流行っていた音楽、細野先生が参加していたバンドのレコードやライブの風景を織り交ぜながら進んでいきます。「はっぴいえんど」のメンバーや岡林信康先生のフォークジャンボリーでの「私たちの望むものは」の映像なども登場します。
また、バッファロー・スプリングフィールドや最も影響を受けたモビー・グレープの名前や楽曲が出てきたりするところも嬉しくなりました。
また最近の海外における圧倒的な人気のライブ風景なども随所に見られます。細野音楽の多様性が年代ごとに見られて楽しめます。この多様性は幼少期の恵まれた音楽環境と新しいものを取り入れる柔軟性、そして何といっても彼の周りに人が集まってくると言う人間性にあるのがこの映画を通してよくわかりました。
登場人物も矢野顕子、横尾忠則、坂本龍一、高橋幸宏、水原希子、水原佑果、星野源、宮沢りえ、海外では何といってもヴァン・ダイク・パークス(オッサンになりました)、マック・デマルコと多彩です。
細野先生は飄々として、ひょうきんで何とも言えない味わいを持ったミュージシャンです。かつてHOSONO HOUSEがあった狭山のアメリカ村に私の友人達もミュージシャンに憧れて住んでいたことがありました。そこに何度か遊びに行った記憶がこの映画で蘇りました。
岡林先生のライブでベースを弾いていた姿は今でもはっきりとおぼえています。
懐かしい曲から現在の曲までを楽しみながらのあっという間の1時間半でした。ロック好きなら観ても決して損はありません。鑑賞をお勧めします。
映画のタイトルの『NO SMOKING』はヘヴィ・スモーカーの細野先生のためにわざととってつけた様な気がします。靄のかかったような映像は煙草の煙をイメージしているのでしょうか。
ちなみに細野先生の父方の祖父は日本で唯一沈没したタイタニック号に乗船していた人で無事生還したそうです。
それでは今日はこの辺で。