Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

『ソロモンの偽証・後篇』を観る

先日の前篇に引き続き『ソロモンの偽証・後篇』を観ました。もちろんキネ旬シアターです。

原作:宮部みゆき

監督:成島 出

主演:藤野涼子 板垣瑞生

前回も書きましたがテレビで1度観ていて、原作も読んでいながら、前篇はほとんど憶えていませんでした。後篇も予想どうり、ほとんど記憶にありませんでした。逆に言えばそれだからこそ楽しめました。危なかったのは前篇も、わずか2週間ほど前だとというのに怪しい状態で心配したのですが、冒頭で前篇のダイジェストをやってくれたのでいろいろ思い出し助かりました。

後篇は中学生転落事件の真相を突き止めるための中学校での裁判の様子です。前篇同様涙が止まりませんでした。悲しいとか感動したとかではないんです。これが不思議なんです。前回書いた、中学生の純粋さに心打たれたとか忘れてしまった青春期の気持ちを思い出したとかでもないような気がしてきました。たぶん映画館の中で泣いていたのは私1人じゃないでしょうか。自分のことながら理解できません。

宮部みゆき原作の映画は以前にも「クロスファイアー」「事件」「模倣犯」、あとテレビドラマでも何本か観た記憶がありますが、原作を先に読んだ作品では原作を越える感動を得た覚えがあまりありません。あくまで私見ですが、ミステリーに限るとやはり原作を読んでから映画を観ると、何か足りないという感じを持ってしまいます。原作を読んだときに頭のなかに自分なりの映画が出来上がってしまうのかもしれません。その映画を越えるものであれば満足するのでしょうが、なかなかそういう映画はには出会えません。ミステリー映画は原作を読まないで観るのが正解かもしれません。逆に映画を観て良かったら原作を読んでみるというのもいいのかもしれません。もっとも全く原作どうりというのでも能がないし、脚本家や監督も悩むところでしょう。ミステリーやサスペンスというところが悩ましいですね。原作のストーリーを大きく逸脱することはできないでしょうから。ただ、原作にヒントは得ているが、脚本は大きく変えるという手法はよくあります。特に文芸作品などに見られます。

 テレビの2時間ドラマで(最近はほとんど観ませんが)原作より面白かったという作品にはほとんどお目にかかったことがありません。特に松本清張などはその典型です(時代背景が合わなくなっているというのもありますが)。振り返ってみると、私の場合、話題になった小説を読んで、それが映画化されたからといってそれを観ようという気にはあまりなりませんでした。その逆はありましたが。やはり映画と原作は別物と考えなければいけないというのが正解なのでしょう。そうでないと監督や脚本家に失礼になりますから。

ところでこの映画に出演している中学生は全員がこの映画のためのオーディションで選ばれた子供達だそうです。皆初めての映画だというのに演技が上手なのには感心させられました。