Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

レオン・ラッセル(Leon Russell)とマーク・ベノ(Marc Benno)

今日は昨年暮れに亡くなったレオン・ラッセルと以前レオンとデュオを組んでいたマーク・ベノについて書いてみたいと思います。

 

レオン・ラッセル(Leon Russell)

レオン・ラッセルは1942年生まれで、10代の頃からキーボードプレイヤーとして活躍し、16歳の時にはロニー・ホーキンスやジェリー・リー・ルイスと一緒に演奏したりしていました。1960年代はほとんどセッションマンとして活動していました。

1968年、マーク・ベノとのデュオ アサイラムクワイアで2枚のアルバムを残しました。実際に2枚目が世に出たのはだいぶ後のことです。

Look Inside the Asylum Choir 

 そして1970年にソロデビュー作『Leon Russell』を発表します。

これはまさに名盤です。「ソング・フォー・ユー」「デキシ―・ララバイ」「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」「デルタ・レディ」それにボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」にインスパイヤ―されたという「ロール・アウェイ・ザ・ストーン」など名曲揃いです。参加ミュージシャンはというとエリック・クラプトンスティーヴ・ウィンウッドジョージ・ハリソンリンゴ・スター、クリス・ステイントン、ジム・ゴードンチャーリー・ワッツビル・ワイマン、デラニー&ボニー、クライディ・キング、メリー・クレイトン、クラウス・ヴァウマン、B.Jウィルソン、ジョー・コッカーと、今ではなんじゃこりゃ、というメンバーです。ビートルズストーンズブラインド・フェイスもプロコルもいます。凄いですね。セッションミュージシャンを長い間続けてきた人脈の広さと人間性でしょうね。

この後レオンは、ジョー・コッカーのバンド「Mad Dogs & Englishmen」に参加しツアーに同行します。その時の模様がライブレコード『Joe Cocker Mad Dogs & Englishmen』に残されています。変形ジャケットでどうぞ。

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1971年にはセカンドアルバム『Leon Russell & The Shelter People』を発表します。

このアルバムも名作です。ディランの「激しい雨が降る」「悲しみは果てしなく」を取り上げています。ボーナストラック付きCDでは他に3曲もディランの曲が入っています。お得です。その他にジョージ・ハリソンの』曲も入っています。バックのメンバーは、クリス・ステイントン、カール・レイドル、ジェシエド・デイヴィス、ジム・プライス、ジム・ゴードン、ドン・プレストン、それにバリー・ベケット、ロジャー・ホーキンス、デヴィッド・フッド、ジミー・ジョンソンなどマッスル・ショールズのセッションミュージシャン、キャシー・マクドナルドなど相変わらずの凄いメンバーです。

この年、ジョージ・ハリソンの呼びかけで「バングラディッシュの救済コンサート」が行われ、これに参加しました。

後に映画化され、観ましたがレオンは大活躍でした。「ジャンピング・ジャック・フラッシュ~ヤング・ブラッヅ」のメドレーはまさにレオンの独壇場でした。また、ボブ・ディランのバックをジョージと二人で務めました。ディランにあこがれているんだな、というのが伝わってきました。

1972年には『Carney』を発表します。

 ここには「タイト・ロープ」「マスカレード」の名曲が入っています。そういえばカーペンターズがレオンの曲をたくさん歌っています。「ソング・フォー・ユー」「スーパー・スター」それにこの「マスカレード」もそうです。

翌年は3枚組ライブを発表します。『Leon Live』です。変形ジャケットでどうぞ。

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これは圧巻です。レオンの音楽は南部でもスワンプ・ミュージックと言われましたが、まさにスワンプの集大成です。

このあと1973年に初来日を果たします。日本武道館でした。

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このあと、アルバムの方はカントリーミュージックの『Hank Wilson's Back』をリリースします。

その後もレオンはコンスタントにアルバムを出し続けてきました。80年代はちょっと寡作になりましたが90年以降は元気に頑張っているようでしたが、昨年11月に74歳で亡くなりました。亡くなったニュースが入った日にたまたまdisk unionに行ったら、ずっとレオン・ラッセルの曲が流れていました。

合掌

 

マーク・ベノ(Marc Benno)

一方のマーク・ベノはアサイラムクワイア解散後、ぶらぶらしているところを当時は既に売れていたリタ・クーリッジが彼をA&Mに紹介し、契約が成立しました。彼の音楽性は小さい頃から、ロックンロールやリズム&ブルース、ブルースなどに馴染んできており、まさにスワンプミュージックそのものでした。

A&Mからの最初のアルバムは『Marc Benno』です。1970年作。

全曲オリジナルでカントリーあり、ロックンロールあり、リズム&ブルースあり、ブルースあり、ソウル・ゴスペルありとなんかまとまりがないようですが、これが実にいいんです。南部の匂いぷんぷんです。バックにはライ・クーダー、リタ・クーリッジ、ブッカー・T・ジョーンズ、ジェリー・マッギー、ジム・ホーンなど豪華メンバーです。

2作目は『雑魚(Minows)』です。見開きです。1971年です。

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 このアルバムにも、クラレンス・ホワイト、ジェシエド・デイヴィス、ボビー・ウーマック、ジェリー・マッギー、カール・レイドル、ジェリー・シェフ、ジム・ケルトナー、ニック・デ・カロ、リタ・クーリッジと錚々たるメンバーが顔をそろえています。このアルバムも前作同様、南部の様々な要素を取り入れた楽曲が揃います。ソウル、カントリー、ブルースなどなど。日本ではこちらが先に発売されました。評判が良かったのでファーストが後から発売されることになったのでしょう。

3枚目は『アンブッシュ(Ambush)』です。1972年です。

ここでは再びブッカー・T・ジョーンズが参加、他にボニー・ブラムレット、ジェシエド・デイヴィス、カール・レイドル、ジム・ケルトナー、ボビー・キースなどです。この作品がマーク・ベノの中では最高かもしれません。

このあとしばらく休養に入ります。そして1979年に『ロスト・イン・オースティン(Lost In Austin)』を発表します。

このアルバムにはエリック・クラプトンが参加しています。当時のクラプトンのバンドのメンバーも参加しています。ジム・ケルトナー、カール・レイドル、アルバート・リー、ディック・シムズなど。プロデュースがグリン・ジョンズになりました。ゆったりとしたロックはやっぱりいいです。

このあとマーク・ベノは90年代まで音沙汰なしになります。90年代に1枚出したのかどうかは不明です。2000年代になって活動を再開しているようです。詳細は不明です。

若い頃はいい男でしたが、最近の写真を見るとオッサンでした。当たり前ですね、人のことは言えません。

 

ということで今日はスワンプ・ミュージックをちょっと覗いてみました。

二人とも70年代に南部の音楽の発展に貢献しました。それは間違いないと思います。クラプトンなどがデラニー&ボニーやレオン等南部ミュージシャンとの関わりで多くの名作を残したことでもそのことはわかります。

それではこの辺で。