Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

名女優 『ジャンヌ・モロー』 逝く!

今朝、ジャンヌ・モローの訃報が届きました。89歳でした。老衰とのことです。

フランス映画のみならず世界の大女優・名女優として数多くの作品に出演して、我々を魅了し続けたジャンヌ・モローの死を心から悼みます。

私もジャンヌ・モローの映画は随分観たような気がします。あこがれの女優でもありました。そこでジャンヌ・モローを偲ぶつもりで、自分が観た映画を振り返ってみたいと思います。

彼女ほど名監督たちに重用された女優はいないのではないかと思います。ということで、ちょっと変則ですが監督ごとに出演作品を見てみたいと思います。

 

ルイ・マル

監督別で行くとこの監督の作品が1番多いのではないでしょうか。もっとも当時は交際していたらしいのでフランス映画界では当然かもしれません。25歳で長編デビュー。

1957年 死刑台のエレベーター始まりの緊張感をマイルス・デイヴィスのトラ      ンペットが助長します。傑作。マルのデビュー作。

1958年 『恋人たち』ルイ・マルの2作目。不倫話。

1963年 『鬼火』ジャンヌ・モローの退廃ぶりがいい。

1966年 ビバ!マリアブリジット・バルドーと競演。英国アカデミー主演女優      賞獲得

   

 

フランソワ・トリュフォー

ご存じ、フランス・ヌーヴェル・ヴァーグの旗手。この監督の作品にも2作品出演しています。

1962年 突然炎のごとくヌーヴェル・ヴァーグの代表作。自由奔放なモロー。      歌手としても素晴らしさを披露。

1968年 黒衣の花嫁殺人鬼モロー。サスペンス・ミステリー。

 

 

 ジャン・リュック・ゴダール

これもまた、フランス・ヌーヴェル・ヴァーグの旗手。と、いうか天才・鬼才。

1961年 『女は女である』ゴダールのミュージカル。妻のアンナ・カリーナとの結      婚後第1作。ジャン・ポール・ベルモンドも出演。音楽はミシェル・ルグ      ラン。アンナ・カリーナが歌ってます。

 

ミケランジェロ・アントニーニ

私も大好きな監督。『太陽はひとりぼっち』『情事』『赤い砂漠』と並び「愛の不毛4部作」の中の1本。

1961年 『夜』アントニオーニと懇意だったモニカ・ヴィッティマルチェロ・       マストロヤンニとの競演。愛は不毛でしょうか。イタリア・フランス合作

 

オーソン・ウェルズ

映画『市民ケーン』の監督、俳優としては『第三の男』など多数出演。

1963年 『審判』カフカの小説の映画化。ウェルズが監督兼出演。アンソニー・       ホプキンスとの競演。ロミー・シュナイダーも出演。不条理の世界。

1965年 オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』ウェルズの監督・主演。シェー      クスピアの戯曲を脚色化、歴史劇。

 

 

 ジャック・ベッケル

ヌーヴェルヴァーグの監督たちが尊敬して止まない、ジャック・ベッケル

1954年 現金に手を出すなジャン・ギャバン主演のフィルム・ノワールの代表      作。盟友のリノ・バンチュラも出演。

 

ロジェ・ヴァディム

マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』を映画化した監督。ブリジット・バルドーの最初の夫。カトリーヌ・ドヌーヴとの間に子供を作る。ドヌーヴは『悪徳の栄え』に出演。子供は後に俳優としてヴァディムの作品に出演。ジェーン・フォンダと結婚。そして離婚。

1959年 危険な関係男女・夫婦のドロドロ。でもうまい。モローも美しい。音      楽はセロニアス・モンクジェラール・フィリップジャン・ルイ・トラ      ンティニアン、そして当時の妻、アネット・ヴァディムも出演。ヴァディ      ムは凄い。

 

ジョセフ・ロージー

『召使』『唇からナイフ』『暗殺者のメロディー』などで有名なアメリカの監督。70年の『恋』でパルム・ドール賞。赤狩りでイギリスに亡命。イギリス・フランスで活動。

1962年 エヴァの匂い悪女モローを好演。音楽はミシェル・ルグラン

1976年 『パリの灯は遠くアラン・ドロンとの競演。ユダヤ人の悲劇。やっぱり      アラン・ドロンはいい。

 

 

ジャック・ドゥミ

シェルブールの雨傘』「ロシュフォールの恋人たち』『ロバと王女』などで知られるフランスの監督。

1963年 『天使の入り江』ジャック・ドゥミミシェル・ルグランのコンビ。隠れ      た名作。

 

ルイス・ブニュエル

やっと出ました。大好きなルイス・ブニュエル。スペイン出身ですがメキシコに帰化

『アンダルシアの犬』『黄金時代』『忘れられた人々』などのシュールレアリスムと『昼顔』『哀しみのトリスターナ』などの耽美的映画と幅広い作品で知られます。『アンダルシアの犬』を始めてみた時の衝撃は忘れられません。

1964年 『小間使いの日記』耽美映画。ジャンヌ・モローの妖艶なる色気が匂い立      つ。

 

エリア・カザン

言わずと知れた『欲望という名の電車』『波止場』『エデンの東』などで有名なアメリカの監督。

1976年 『ラスト・タイクーンロバート・デ・ニーロジャック・ニコルソンと      の競演。F.S フィッツジェラルド原作の映画化。

 

ピーター・ブルック

イギリスの監督。演劇の方でも有名。

1961年 『雨のしのび逢いジャン・ポール・ベルモンドとの競演。ジャンヌ・モ      ローはこの映画でカンヌ映画祭主演女優賞獲得。とにかく美しい。

 

以上、ざっとジャンヌ・モローの出演作品をみてきましたが、この多彩な作品群を振り返って見て、彼女の演技力と妖艶さと美しさそして歌唱力、すべてにおいて偉大な女優だったなと改めて感じさせられました。

もちろんこの他にもたくさんの出演作品がありますが、残念ながら見逃した作品も多いので、それらについてはコメントは避けさせてもらいます。

また一人偉大なる女優を失いました。あらためて心よりご冥福をお祈りします。合掌。