Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『暗い日曜日』を観る 付・訃報ミレーユ・ダルク

昨日の自宅シアターは『暗い日曜日』でした。

 

その前に、本日、フランスの女優ミレーユ・ダルクの訃報が入りました。

長年アラン・ドロンの恋人として知られていました。ゴダールの『ウィークエンド』

アラン・ドロンの『ジェフ』『ボルサリーノ』『愛人関係』にも出演していました。79歳でした。

ご冥福をお祈りします。

 

それでは、

監督:ロルフ・シューベル

主演:エリカ・マロジャーン、ヨアヒム・クロール、ステファノ・ディオニジ、ベン・   ベッカー

2002年公開(日本)ドイツ・ハンガリー制作

 

またしても、ドイツ・ナチスが絡んでくる映画でした。

舞台はハンガリー・ブタベストのレストラン・サボー。ドイツの実業家、ハンス・ヴィークが80歳の誕生日に、家族と共にレストランを訪れます。懐かしさに浸るハンスはピアニストに「暗い日曜日」をリクエストします。その演奏中、ハンスは突然苦しみだし、亡くなります。

話は一気に60年前に遡ります。恋人同士のイロナとユダヤ人のラズロ・サボーはレストランの開店を控え、ピアニストを募集します。そこに現れたのがアンドラーシュです。アンドラーシュは合格します。イロナは彼に一目ぼれします。そしてアンドラーシュも好意を抱きます。ラズロは内面は苦しみますがそれを許します。奇妙な三角関係が生まれます。

レストランの常連客にドイツ人のハンスがいました。彼もイロナに恋をしていて、ドイツに帰国するという日に、将来大実業家になる夢を語りイロナに結婚を申し込みますが、あっさりと断られます。ショックを受けたハンスは川に飛び込み自殺を図ります。危ういところでラズロに助けられ、二人に友情が生まれます。

アンドラーシュはイロナのために曲を作りました。「暗い日曜日」という、哀愁漂う、美しいメロディーを持った曲です。この曲をレストランで演奏すると、すぐ評判になりました。しかし、常連の画家は曲を聴いた後、「いい曲をありがとう」とメッセージを残し自殺してしまいます。ある日、レコード会社の重役たちが来店しているときに、この曲を聴き、是非レコード化したいと申し出ます。ラズロが交渉の末、好条件でレコード化が決定しました。レコードが発売されると、この曲を聴いた人々が次々と自殺するという評判が立ちました。アドラーシュは悩み自殺を考えます。しかし、ラズロとイロナに説得され、自殺のために用意しておいた、心臓を止める薬はラズロに預けます。

3年の月日が流れます。ドイツ・ナチスが台頭してきていました。ブタペストにもその勢力は及んできました。ドイツに帰国したハンスはナチスの隊長となって帰ってきました。ラズロも喜びました。しかし、ナチスはブタペストのユダヤ人を全員殺害する計画を持っていました。そのことを彼はイロナに話しました。ハンスは結婚しているにもかかわらず、イロナに未練がありましたから、君たちは絶対助けると約束しました。イロナはラズロに危機が迫っていることを話し、ラズロは店の名義をイロナに変えて、危機を凌ごうとします。ラズロは国を出ることを考え、ハンスに出国許可証を依頼しました。ハンスは了解する代わりに、ユダヤ人を助けるためには金が要ると、賄賂を要求します。こうしてハンスは私腹を肥やし、国に送金してました。

 ある日ハンスが店に来て、アンドラーシュに「暗い日曜日」を演奏しろと強要します。アンドラーシュは弾きません。いらつくアンドラーシュ。たまらずイロナが「私のために弾いて」とかれがこの曲のために作詞した歌をイロナが歌い始めました。合わせるアンドラーシュ。演奏が終わった直後、ハンスの銃を使ってアンドラーシュは自殺してしまいます。

哀しみに暮れるイロナとラズロ。そうした中、ラズロにナチスの手が伸びます。ラズロは逃げ、遺書を残して自殺を決心します。が、寸前で捕まってしまいます。連行されるラズロを見て、イロナはハンスのもとに駆け付け、助けてほしいと懇願します。彼は了解しますが、体を求められます。応じたイロナ。しかし、ラズロは助からず収容所送りになってしまいます。レストランに戻ったイロナは彼の遺書を発見します。そこには「アンドラーシュの『暗い日曜日』に込めた思いが、わかった。それは人間の尊厳を捨ててまで生きていてもしょうがない、ということだ」と書かれてありました。

時はたち、アンドラーシュの墓の前で、彼女は誓います。腹には子供が宿っていました。

現在に戻ります。レストランはイロナの長男が経営しています。そして、ハンスはラズロが残したアンドラーシュの自殺のための薬で毒殺されたのです。遺体が運ばれて、報道関係者も去った後、長男は店の奥で洗い物をする母親に、二つのワイングラスを持って「誕生日おめでとう」と長い長い復讐を祝福します。

 

暗い日曜日」という曲は1933年、ハンガリーで発表された歌で、作曲はシェレッシュ・レジェー、作詞はヤーヴォル・ラースローです。

曲を聴いて自殺するというのは都市伝説らしいですが、アメリカでは実際に一時放送禁止にされたそうです。

 

ラズロという男は実に寛容な男ですね。だからアンドラーシュにもハンスにも友情が生まれるのでしょう。ハンスは許せない人物ですが。しかし、戦後ハンスは大実業家の顔の他にユダヤ人を救った人道家として褒めたたえる報道がなされるシーンがあり、その本心は分かりませんが、戦後の著名人にも戦時中何をやってきたかわからない人物はたくさんいるのでしょう。

 

一つ疑問点が残りました。イロナの長男は誰の子なのでしょうか、ということです。素直に考えれば、ラズロ。ひねくれて考えるとハンス。時期的にアンドラーシュはなさそうです。

 

全く予備知識なしで観ましたが、十分に楽しめました。

 

 

それでは今日はこの辺で。