Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

この人の、この1枚 『ザ・バーズThe Byrds)/タイトルのないアルバム(Untitled)』

ザ・バーズについては『ロデオの恋人』までは書いてきましたが、それ以降のことにはあまり触れてきませんでしたので、少し書いてみたいと思います。

lynyrdburitto.hatenablog.com

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また主要メンバーのロジャー・マッギンとジーン・クラークについても書いていますので参考にしてください。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

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『ロデオの恋人』でカントリーロックを確立したバーズでしたが、グラム・パーソンズとクリス・ヒルマンがフライング・バリット・ブラザース設立のため、脱退します。残ったケヴィン・ケリーも辞め、一人になったロジャー・マッギンは新たに「ナッシュビル・ウェスト」にいたクラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズそれとジョン・ヨークをメンバーに加え再出発を図ります。そして『バーズ博士とハイド氏』、続いて『イージー・ライダーのバラード』を発表します。『イージーライダーのバラード』は映画のヒットもあって注目されましたが、かつての勢いはなく、過去のバンドになりつつありました。

ここで、ジョン・ヨークが脱退。替わりにスキップ・バッティンが加入。ここにバーズの歴史上、技術的には最強のメンバーが揃います。それまではスタジオとライブの演奏が違いすぎるとのことで、ライブアルバムは発表されてきませんでした。しかし、ここにきてようやくライブアルバムの計画が実行されることになったのです。

そして発売されたのが『Untitled』です。

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メンバーは次の通りです。

ロジャー・マッギン(Roger McGuinn,g,vo)

クラレンス・ホワイト(Clarence White,g,mandlin,vo)

ジーン・パーソンズ(Gene Parsons,ds,vo)

スキップ・バッティン(Skip Battin,b,vo)

プロデュースはジム・ディクスンテリー・メルチャーです。

 

Side A(Live)

1.Lover of the Bayou

2.Positively 4th Street

3.Nashville West

4.So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star

5.Mr. Tambourine Man

6.Mr. Spaceman

 

Side B(Live)

1.Eight Miles High

 

Side C(Studio)

1.Chestnut Mare

2.Truck Stop Girl

3.All the Things

4.Yesterday's Train

5.Hungry Planet

 

Side D(Studio)

1.Just a Season

2.Take a Whiff on Me

3.You All Look Alike

4.Well Come Back Home

 

レコードの1枚目がライブアルバムで2枚目がスタジオアルバムの2枚組になっています。

 

A-1 ロジャー・マッギンとジャッケス・レヴィの名コンビによる新曲です。バーズらしい曲ですが、クラレンス・ホワイトのギターでロック色の強い曲になっています。

A-2 ボブ・ディランの名曲「寂しき4番街」です。いかにもバーズです。

A-3 クラレンス・ホワイトとジーン・パーソンズの共作。バーズには珍しいインスツルメンタル。これも演奏力が上がったせいかでしょう。ナッシュビル・ウェストは二人がいたグループの名前です。

A-4 バーズのヒット曲。「ロックンロールスター」です。アルバム『昨日より若く』より。ここでもクラレンスのギターが目立ちます。

A-5 これはもう言わずと知れた、バーズの出世作ボブ・ディランの「ミスター・タンブリンマン」です。アルバム『ミスター・タンブリンマン』より。

A-6 これもバーズの代表曲、「ミスター・スペイスマン」。アルバム『霧の5次元』より。カントリーロックに生まれ変わりました。

B-1 これも『霧の5次元』より「霧の8マイル」です。なんと片面を費やした長尺になっています。ロジャーの12弦ギターから始まり、クラレンスのギター、スキップ、ジーンとソロパートが続きようやくコーラスが始まります。これも演奏力アップの賜物でしょう。

C-1 ロジャー・マッギンとジャッケス・レヴィの共作。ここでもクラレンスのギターが効いています。

C-2 後のリトルフィートのロウエル・ジョージとビル・ペインの曲。リトル・フィートも翌年、ファーストアルバムに入れています。

C-3 これもロジャー・マッギンとジャッケス・レヴィの共作。やはりロジャー・マッギンの曲はバーズらしいです。

C-4 ジーン・パーソンズとスキップ・バッティンの共作。ジーンのヴォーカルでカントリー色が出ています。

C-5 これはスキップ・バッティンとキム・フォウリー、ロジャー・マッギンの共作。

D-1 ロジャー・マッギンとジャッケス・レヴィの共作。ここでもクラレンス・ホワイトのギターが冴えます。

D-2 この曲はレッドベリーのレパートリーでクラレンス・ホワイトとロジャー・マッギンがアレンジして、ホワイトがヴォーカルです。

D-3 スキップ・バッティンとキム・フォウリーの共作。ヴォーカルはマッギン。

D-4 スキップ・バッティンの曲。ラストの方で「南無妙法蓮華経」が繰り返されます。これはスキップ・バッティンが東洋思想に傾倒しており、ベトナムで戦死した兵士に捧げたものだそうです。

 

このアルバムによって新生バーズの評価は上がりました。しかし翌年の『バードマニア』は不評を買い、起死回生を狙った次の『ファーザー・アロング』でも回復することは出来ず、1971年に活動を休止し、事実上の解散となりました。

  

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ロジャー・マッギンはソロ活動に向かいます。

クラレンス・ホワイトは1973年に交通事故で亡くなります。29歳の若さでした。

ジーン・パーソンズとスキップ・バッティンはフライング・バリット・ブラザースに合流します。

こうしてアメリカのフォークロック、カントリーロックを牽引してきたバーズの歴史は閉じられました。

 

しかしこのあと奇跡が起こります。それについてはまたいずれ書きたいと思います。


The Byrds - Lover Of The Bayou (Audio/Live 1970)


The Byrds - Positively 4th Street (Audio/Live 1970)

 

それでは今日はこの辺で。