1976年、ザ・バンドの解散が決定的となって、最初にソロアルバムの作成に取り掛かったのがリック・ダンコでした。
ザ・バンド内でライブ活動に慎重なリーダーのロビー・ロバートソンと他のメンバーとの対立が表面化してきて、ロビー・ロバートソンはとうとうライブ活動の中止を宣言します。そして最後に行われたコンサートが『ラスト・ワルツ』と題されるコンサートでした。このコンサートには錚々たるゲストが出演して、後に映画化され、レコードも発売されました。このコンサートは当然解散を意味していると解釈されたわけですが、レコード会社との契約の関係上、活動休止ということになって、その後、実質上のラストアルバム『アイランド』がリリースされますが、かつての輝きは既に残っていませんでした。
ザ・バンドについては以前に若干触れていますので参考までにこの記事を。
そういう中で各メンバーはこぞってソロ活動に向かいました。リック・ダンコがアリスタ・レコードと契約し、レヴォン・ヘルムがabcレコード、ロビー・ロバートソンとガース・ハドソンがワーナー・ブラザースといった具合です。
そしていち早く発売されたのがリック・ダンコの『Rick Danko』でした。ほぼ同時期にはレヴォン・ヘルムのファーストアルバムも発売されました。1977年のことでした。
Side A
1.What A Town
2.Brainwash
3.New Mexico
4.Tired Of Waiting
5.Sip The Wine
Side B
1.Java Blues
2.Sweet Romance
3.Small Town Talk
4.Shake It
5.Once Upon A Time
主な参加メンバーを紹介します。
ロン・ウッド ギター (フェイセス、ローリング・ストーンズ)
エリック・クラプトン ギター (ヤードバーズ、クリーム、デレク&ドミノス他)
ブロンディ・チャップリン ギター、ベース (ビーチ・ボーイズ)
ティム・ドラモンド ベース (ニール・ヤング&ストレイゲイターズ)
ジョー・ララ パーカッション (マナサス)
ダグ・サム ギター (サー・ダグラス・クインテット、テキサス・トーネイド)
ロビー・ロバートソン ギター (ザ・バンド)
ジェリー・ベックリー ギター (アメリカ)
リチャード・マニュエル キーボード (ザ・バンド)
とにかく凄いメンバーです。
楽曲は全曲、共作も含めてオリジナルで、プロデュースも本人です。
A-1 ロン・ウッドのリードギターです。ボビー・チャールズとの共作。ザ・バンドのヴォーカルというとレヴォン・ヘルムが目立ちますが、ここでのリックのヴォーカルはバンドの時よりものびのびとしている感じです。
A-2 ブロンディ・チャップリンのギター、ティム・ドラモンドのベース。「ステー ジ・フライト」を思わせる曲です。
A-3 エリック・クラプトンのギター、ガース・ハドソンのアコーディオン。この曲もボビーチャールズとの共作。ウッドストック仲間です。ゆったりとしたウッドストックサウンド。
A-4 ダグ・サムのギター。ダグ・サムはテックス・メックスミュージックの代表選手です。好きだなー。
A-5 これもダグ・サムのリード・ギターです。いい味出しています。ダグ・サムは やっぱり只者ではないです。
B-1 ギターにロビー・ロバートソン、ベースにティム・ドラモンド。ブルースナン バーですが、コーラスを交え賑やかにやっています。
B-2 ギターはマイケル・デ・テンプル、オルガンにジョージ・ウェバー。
B-3 ボビーチャールズとの共作で、ボビー・チャールズもソロアルバムで取り上げていて、彼の最大のヒット曲です。ここではリック・ダンコがリードギターです。ザ・バンド風の仕上がりになっています。
B-4 ギターにジム・アトキンソン、キーボードにリチャード・マニュエル、アコースティック・ギターにジェリー・ベックリー。
B-5 ギターはリック・ダンコ、オルガンにジョージ・ウェバー。
どの曲を聴いても、ザ・バンドを思わせるようなメロディーと演奏です。ザ・バンドのメンバーが全員参加してくれたことは嬉しい限りでした。
この翌年、リック・ダンコは来日します。たしか渋谷公会堂だったと思います。当時は残業、残業でやっと抜け出し、駆け付けたのですが、前日は徹夜だったため、途中で不覚にも寝てしまいました。コンサートで寝るなんて、後にも先にもこれだけでした。リック・ダンコ様には大変失礼いたしました。
このソロアルバム以降、エリック・アンダーセンとジョナス・フィールドと組んでアルバム制作をしていました。
ザ・バンドは1983年にロビー・ロバートソンを除いたメンバーで再結成します。
そして、1999年、リック・ダンコは56歳で亡くなります。彼の死によって、ザ・バンドは活動を停止しました。再結成以降3枚のアルバムをリリースしました。
2. Brainwash - Rick Danko (1977)
そのうち、レヴォン・ヘルムのアルバムについても書こうと思っています。
それでは今日はこの辺で。