デンマークのロックバンドといえば、まず思い浮かぶのはプリティ・メイズ(Pretty Maids)、ロイヤル・ハント(Royal Hunt)、ディジー・ミズ・リジー(Dizzy Mizz Lizzy)でしょう。彼らは別格として、1990年代の半ばごろに活躍して日本でも人気になった『ジャッカル』というバンドがいました。同じ『ジャッカル』でもアメリカの『Jackyl』ではありません。
バンドの経歴は意外と古く、1987年の結成です。その時のメンバーは
ブライアン・リッチ(Brian Rich,vo)
ベニー・ペターセン(Benny Petersen,g)
ペア・フィスカ(Per Fisker,ds)
クラウス・ヴェイアーガング(Craus Veaugung,b)
でした。
彼らはデモテープ制作やライブ活動を積極的に行い、EMIとの契約に成功します。そして1990年には『Rise』と呼ばれるファーストアルバムを制作します。しかしそれはデモテープに若干手を加える程度でリリースされてしまいます。結果としてEMI側が期待する売り上げが上がらず、一方的に契約を切られてしまいます。
さらにベースのクラウスが脱退してしまいます。そんな中、同じデンマーク出身バンドの『ナリタ(Narita)』がヴォーカル不在のためブライアン・リッチに参加を要請してきて、ブライアンはナリタのファーストアルバムに参加します。ナリタ側は正式メンバーにと臨んだようですが、ブライアンのジャッカルに対する思いが強く断ります。
ようやくジャッカルにも運が向いてきます。ベースの後任もソーレン・ヨハンセン(Soren Hee Johansen,b)に決まり、ジャッカルを気に入ったプロデューサーのエリック・グリーフがスタジオと製作費を提供してくれることになったのです。早速デモテープを制作します。それが日本のゼロ・コーポレーションの耳に留まり契約となります。
そして正式にレコーディングを開始し、1993年にアルバム『Vague Visions』がリリースされます。
これが日本でのデビューアルバムになります。内容はヨーロッパ風のハードロックです。ハードであり、メロディックであり、ドラマティックであり、ヨーロッパ風の様式美ありと申し分ないです。ゼロ・コーポレーションらしいアルバムです。
翌1994年にはサードアルバム『A Safe Look In Mirrors』をリリースします。
一段と迫力を増したようなサウンドです。よりハードに、ヘヴィになりましたがメロディの美しさは変わらず、素晴らしい出来になっています。
しかし、その後の彼らの動向は掴めず、おそらくは解散してしまったのだろうと思っていました。
2009年になって突然、アルバム『Ⅳ』が発売されました。
残念ながら、未購入で聴いていませんが、情報によるとブライアン・リッチは2013年に自殺したらしいです(確かな情報ではありませんが)。真実だとするとこれが遺作ということになります。非常に残念です。
さらに2013年には『Cry of the Jackal』というアルバムが発売されています。
このアルバム、どうやらこれはデモ音源集らしいです。
この記事を書きながら、なにかやりきれない気持ちになりました。あのブルース・ディッキンソンばりのヴォーカルはもう聴けません。
ちなみに、『ナリタ』でのヴォーカルを執ったアルバムは『Narita(騒乱のナリタ)』です。
Jackal - 02 - Only a Crime Away
それでは今日はこの辺で。