今日のこの1枚は『ハングリー・チャック』です。この1枚といっても、この1枚しかありません。幻のグループ、幻のアルバムと騒がれました。
「ハングリー・チャック」の母体はカナダのデュオ、「イアン&シルビア」が結成したバンド「グレイト・スペックル・バード」だと言われています。しかしながら、そう単純でもない人間関係があったようです。
メンバーは
N.D.スマート2世(N.D.Smart Ⅱ,vo,ds)
ピーター・エックランド(Peter Ecklund,horn)
ジム・コルグローブ(Jim Colegrove,vo,b)
ベン・キース(Ben Keith,pedal steel,vo)
エイモス・ギャレット(Amos Garrett,g,vo)
ジェフリー・ガッチョン(Jeffery Gutcheon,key,vo)
です。
これにゲストメンバーとして
ポール・バターフィールド(Paul Butterfield,harp)
ガース・ハドソン(Garth Hudson,sax)
ジェフ・マルダー(Jeff Muldaur,clarinet)
キッド・シャリーン(Kid Shaleen,g)
が加わります。
1972年にアルバム『Hungry Chuck』がリリースされます。
Side A
1.Hat's Off,America!
2.Cruising
3.Old Thomas Jefferson
4.Play That Country Music
5.Find The Enemy
6.People Do
Side B
1.Watch The Trucks Go By
2.Dixie Highway
3.You Better Watch It Ben,Someday You're Gonna Run Out Of Gus
4.Hoona Spoona
5.All Bowed Down
6.South In New Orleans~Doin' THe Funky Lunchbox
A-1 スイングジャズ風のイントロからデキシーランドジャズの雰囲気もある曲。
A-2 エイモス・ギャレットの哀愁のあるギターが聴きもの。N.D.スマートのヴォーカルは素晴らしい。
A-3 これもジャズ風ナンバー。リードヴォーカルが3人いるのも面白い。
A-4 カントリーナンバー。ベン・キースのペダル・スティールが聴きもの。
A-5 ジェフ・ガッチョンの曲が大半を占めますが、これはN.D.スマートの曲。
A-6 珍しくロックらしいロック。ギターがキッド・シャリーンのソロとなっていますが、エイモス・ギャレットの変名だとのことです。
B-1 カントリーロック調の軽快な曲。素晴らしい。
B-2 これもベン・キースのペダル・スティールがいいです。
B-3 これはN.D.スマートの遊び曲。
B-4 これはB-1同様Joe Hutchinsonの曲。
B-5 デキシ―ランド風ジャズナンバー。よれよれのだれた感じがいい。
B-6 カントリーナンバー。ボビー・チャールズが「ラスト・ワルツ」で歌った曲で す。
いかにもウッドストックのミュージシャン達の音楽という感じです。このあと2枚目のアルバム制作の話もあったようですが、エイモス・ギャレットがポール・バターフィールドの「ベター・デイズ」に参加するため途中で脱退、後任を入れてレコ―ディンを終えるも、前作の売れ行きが芳しくなく、新作はお蔵入りとなってしまいます。
ウッドストック周辺のミュージシャンの人脈は複雑で、ザ・バンドの連中やポール・バターフィールド、ボビー・チャールズ、ジェフ&マリア・マルダー、エイモス・ギャレット、マッド・エイカーズの面々・・・・きりが無く広がって行きます。
このアルバムも以前紹介した、「ボビー・チャールズ」や「フィフス・アヴェニュー・バンド」と同様、ワーナー・パイオニアの「ロック名盤復活シリーズ」の第2弾として1970年中頃に発売されたものです。
Watch the Trucks Go By - Hungry Chuck(1972)
それでは今日はこの辺で。