『ロッド・スチュワート(Rod Stewart)』は1945年、イギリスはロンドンの生まれ。無類のサッカー少年でプロのスカウトを受けたほどで、短い期間ブレントフォードFCにも所属していました。そこを辞めてからスペインのフォーク歌手ウィズ・ジョーンズと知り合いフランスやスペインを旅することが歌うきっかけになったようです。
イギリスに戻るとジミー・パウエル&ザ・ファイブ・ディメンションズに加わりプロの歌手としてのスタートを切りました。その後、ジョン・ボルドリーのバンド、フーチ・クーチー・メンに参加し、そこにはジュリー・ドリスコールやブライアン・オーガーがいました。
バンドが解散すると、今度はベリル・マースデンの率いるショットガン・エクスプレスに参加します。ここには後にフリートウッド・マックを結成するピーター・グリーンとミック・フリートウッド、さらにゼムのピーター・バーンデスもいました。そしてこのバンドも解散になり、ジェフ・ベックから声がかかりました。ジェフ・ベック・グループへの参加です。この辺のことは以前の記事で触れていますので参考にしてください。
この第1期ジェフ・ベック・グループが解散すると、スティーヴ・マリオットが抜けたスモール・フェイセズに誘われます。この辺のことも以前の記事で書いていますので参考にしてください。
そしてスモール・フェイセズがフェイセズに名前を変えて本格的に活動が始まります。
そのバンド活動と並行して、ロッドはソロアルバムを制作します。
その第1弾が1969年の『The Rod Stewart Album』です。
フェイセズのメンバーもバックアップして作られたアルバムです。オープニングでストーンズの「Street Fighting Man」を持ってきています。ロックンローラー、ロッドのスタートですが、ブルースやバラードも聴かせます。珍しいところではフォーク歌手のエドウィン・マッコールの曲をカバーしています。ロッドが歌うきっかけとなったフォークソングが原点なのかもしれません。
1970年にはセカンドアルバム『Gasoline Alley』をリリースします。
ここではフェイセズのメンバー全員参加です。ボブ・ディランやエルトン・ジョンの曲をカバーしています。また、ボビー・ウーマックの「It's All Over Now」はライブでもよく取り上げていたお得意のナンバーです。ロッドもまだまだ泥臭さを保ったままのロックンローラーです。
1971年に3作目『Every Picture Tells a Story』をリリースします。
ここで大ヒット曲「Maggie May」が生まれます。シングルもアルバムもイギリス、アメリカで1位を記録しました。ここでもボブ・ディランの「Tommorow Is A Long Time」をカバーしています。ロッド・スチュワートはノリノリのロックもいいのですがこういうフォーク調の曲やバラードなど静かな曲が実にうまいです。
1972年には『Never a Dull Moment』をリリースします。
この辺になるとロッド・スチュワートなのかフェイセズなのかわからなくなってきました。単に名義を変えているんじゃないかと思えるほど紛らわしくなってきました。フェイセズはロッドのバックバンドと化してきました。ここでもディランのカバーがあります。ジミヘンの「Angel」やサム・クックの曲も取り上げています。このアルバムがロッドの最高作だという声は多いようです。
この後、フェイセズはロニー・レーンが脱退し、1973年にラストアルバム『ウー・ラ・ラ』を発表して結局は解散となります。1974年にはライブアルバム『Coast to Coast: Overture and Beginners』が発表されますが、ここでは「ロッド・スチュワートとフェイセズ」のクレジットになっていました。
同年ソロ5作目の『Smiler』がリリースされます。
ロニー・レーンを除くフェイセズのメンバーは参加しています。ここでもディランの曲がカバーされています。よほどディランが好きなようです。オープニングのチャック・ベリーの「Sweet Little Rock 'N' Roller」やサム・クックの「Bring It on Home to Me/You Send Me」やオリジナルの「Sailor」などロックローラー、ロッドの面目躍如です。ただしこのアルバム、世間ではあまり評判が良くなかったように記憶しています。
泥臭さが残るロッド・スチュワートは恐らくここまでではないかと私は個人的に思っています。
1975年に大ヒットアルバム『Atlantic Crossing』がリリースされます。
ジャケットからもわかるように、都会的な伊達男の登場です。このアルバムでは何といってもバラードが光ります。クレイジー・ホースのダニーウィットンの名曲「I Don't Want to Talk About It」と「Sailing」が図抜けています。これで女性ファンが一気に増えアイドル的存在になりました。女性関係もお盛んで、その数は数え切れないほどでしょう。このアルバムを最高作に選ぶ人も多いようです。タイトルの通りアメリカにわたり録音しています。マッスルショールズのミュージシャンやジェシ・デイヴィスなどを迎えての制作でした。プロデュースはあのトム・ダウドです。
翌年、ソロ7作目『A Night On The Town』がリリースされます。
オープニングの「Tonight's the Night」が大ヒット、8週連続1位を記録しました。ここでも前作同様のセッションマンが起用され、イーグルスに入ったのジョー・ウォルシュも参加しています。すっかり垢抜けたロッド・スチュワートです。
1977年、1978年にそれぞれ『Foot Loose & Fancy Free(明日へのキックオフ)』『Blondes Have More Fun(スーパースターはブロンドがお好き)』をそれぞれリリースします。
この頃は日本での人気も絶頂期だったのではないでしょうか。1979年に単独での来日公演があって観に行きましたが、その人気たるや凄いものが有りました。シングルの「アイアム・セクシー」だ大ヒットし、全米1位になりましたが、盗作だとの訴えで敗訴し本人も認めました。この2作から、カーマイン・アピスのバンドをバックに従えるようになりました。
こうしてロッド・スチュワートの1970年代は終わります。その後甲状腺癌が見つかりましたが、今でも元気に歌っているようです。私は『A Night On The Town』までのロッドが好きで、それ以降はあまり好きではありません。やはり泥臭いロックを演っている頃のロッドが一番好きです。
正式結婚は3回、子供は8人。現在72歳。色男はまだまだいける。
まだ世の中にCDが出始めて間もない頃に、ロッド・スチュワートのボックス・セットが発売されました。
今こんなバカでかいボックスセットは流行りませんが、当時は珍しいものでした。ここにはロッドの1964年頃の録音もあり楽しめます。
Rod Stewart - Maggie May (Lyrics)
I Don't Want To Talk About It || Lyrics || Rod Stewart
05 - Rod Stewart - Bring it on Home to Me, You Send Me.
Rod Stewart - "Sailing" (Official Music Video)
それでは今日はこの辺で。