Flying Skynyrdのブログ

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幻の3冠馬 サクラスターオー

 

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1987年の牡馬クラシック戦線はやや戦国模様を呈していました。その原因は前年の最優秀3歳牡馬に選出されたメリーナイス皐月賞トライアル、フジテレビ賞スプリングステークスで9着に大惨敗を喫するという結果に終わり、俄かに弥生賞を勝ったサクラスターオーとトライアルでメリーナイス以下を一蹴したマティリアルに人気が集まってきました。

サクラスターオー弥生賞を6番人気ながら3歳重賞を連覇したホクトヘリオスを破り人気になりました。一方マティリアルはパーソロンスピードシンボリという良血がかわれ寒梅賞の勝ち方からトライアルでも1番人気に押され、後方一気の鮮やかな勝ち方で優勝しました。

これで皐月賞はマティリアルが1番人気、サクラスターオーが2番人気、共同通信杯を勝ったマイネルダビデが3番人気、トライアル2着のバナレットが4番人気、ホクトヘリオスは5番人気。そしてメリーナイスは8番人気まで人気を落としました。

 

レースはサクラスターオー、マティリアル共に後方待機。直線に向かって大混戦の中、外から一気にサクラスターオーが追い込んでそのまま先頭ゴールイン。マティリアルはさらに外に回して強襲したものの3着どまりでした。2着には人気薄のゴールドシチーが入り、メリーナイスは7着に終わりました。

2着のゴールドシティーは人気が落ちていましたが、阪神3歳ステークスの勝馬メリーナイスと共に最優秀3歳牡馬に選ばれていました。トライアル6着で盲点になっていました。マティリアルは名手岡部幸雄をもってしても前が詰まり脚を余した感じでダービーへの期待は一層高まりました。


1987 皐月賞

 

しかし、この後勝ったサクラスターオーを悲劇が見舞います。繫靭帯炎を発症してダービーを断念せざるを得なくなったのです。

 

ダービーはマティリアルが当然のことながら1番人気、ゴールドシチーが2番人気、毎日杯勝馬で、トライアルのNHK杯で4着のダイゴアルファが3番人気、メリーナイスは4番人気に押されました。サクラスターオーの戦線離脱、NHK杯を勝ったモガミヤシマが回避となって人気がマティリアルに集中しました。当然の単枠指定でした。

 

レースは終始好位につけたメリーナイスが直線抜けだし優勝、2着には22番人気のサニースワローが、3着には5番人気の二ホンピロマーチが入り、枠連6280円の大荒れとなりました。ゴールドシチーは追い込みましたが4着。マティリアルは前目の競馬をしていましたが直線全く伸びず18着と大敗しました。馬体重は16キロ減と寂しい体になっていたのも原因していたのかもしれません。

勝ったメリーナイスは最優秀3歳馬の名誉を回復した格好になりました。メリーナイスは後に映画『優駿』の主役オラシオンのモデルになった馬です。懐かしいです。


1987 日本ダービー

 

最後の3冠レース、秋の菊花賞にはダービー馬のメリーナイスセントライト記念を勝って勇躍西下、1番人気に支持されました。2番人気にはクラシックの常連になったゴールドシチー、3番人気には条件戦を勝ち上がったウィルドラゴン、長距離血統が買われたようです。セントライト記念で7着に沈んだマティリアルは4番人気になりました。そして皐月賞サクラスターオー皐月賞からのぶっつけで菊花賞に臨んできました。人気は9番人気と当然ながら人気薄になりました。

そしてなんとサクラスターオーが見事に復活勝利を挙げたのです。私の記憶する限り、この当時これだけの長期休養明けでクラシックを勝った馬はいなかったのではないでしょうか。返す返すもダービー不出走が残念です。タラレバはありませんが、もし出走していたら、などと考えてしまいます。フジテレビ放送の競馬中継で関西テレビの杉本アナウンサーの「菊の季節にサクラが満開!」の名アナウンスが忘れられません。

2着にはゴールドシチー、3着にユーワジェームスメリーナイスは9着、マティリアルは13着と大敗しました。


1987 菊花賞

 

しかし、この後サクラスターオーを更なる悲劇が襲います。この年の有馬記念にファンの圧倒的支持のもとに出走に踏み切ったのです。本来であれば翌春の天皇賞を目指すところですがファンの要望に応えた感じです。

当然ながらサクラスターオーが1番人気に支持されます。2番人気にダイナアクトレス、3番人気にメリーナイスが入りました。

 

レースの方はなんとメリーナイスがスタート直後に落馬、さらにサクラスターオーが2週目の第3コーナーから第4コーナーにかけて異変発生、東信二騎手が下馬します。競争中止です。診断は左前脚繋靱帯断裂・第一指関節脱臼でした。通常なら安楽死処分ですが大勢のファンの熱望により治療を続けることになりました。しかし手当の甲斐なく翌年5月に自立不能に陥り安楽死処分になりました。テンポイントを思い出しました。

 

なおこのレース結果はメジロデュレン1着、2着にユーワジェームス、3着ハシケンエルド、10番、7番、14番人気の決着で大荒れ、枠連16300円でした。メジロデュレンは大荒れ馬券が良く似合います。

 


1987 有馬記念

 

サクラスターオーパーソロンインターメゾという良血馬。無事でいたら多くの活躍場を輩出したことでしょう。幻の3冠馬でした。

 

それでは今日はこの辺で。