ブルース・マグース(Blues Magoos)は先に紹介したブルース・イメージ(Blues Image)と同じようにブルースをベースにしてロックやフォークを演奏するいわゆるガレージ・バンドの奔りでした。ウェストコーストのサイケデリックバンド達のライトショウをまねしたのかは分かりませんが、照明の使い方がまさにサイケデリックでした。
しかし、結成はずっと古く1964年です。当初のメンバーはエミール・チールヘルム(Emil Thielhelm,g,vo)、デニス・ル・ポア(Dennis LePore,g)、ラルフ・スカラ(Ralph Scala,organ,vo)、ロン・ギルバート(Ron Gilbert,b)、ジョン・フィニガン(on Finnegan,ds)で、「トレンチコート(The Trenchcoats)」というバンド名でニューヨークで結成されました。
そしてすぐにデニスとジョンが脱退、代わりにマイク・エスポジト(Mike Esposito,g)とジェフ・ダイキン(Geoff Daking,ds)が加入し、「ブルース・マグース」とバンド名を変更しスタートしました。
そして1966年にアルバム『Psychedelic Lollipop』でマーキュリーレコードからデビューしました。この「サイケデリック」という言葉をアルバムタイトルにした最初のアルバムと言われています。
そして翌年セカンドアルバム『Electric Comic Book』をリリースします。
今日取り上げている『タバコロード』というLPは彼らの日本でのデビュー盤ですが、ファーストとセカンドのカップリングです。当時の洋楽の日本盤にはこういうことが良くありました。
Side A
1.Tobacco Road
2.(We Ain't Got) Nothin' Yet
3.Love Seems Doomed
4.One by One
5.She’s Coming Home
6.Sometimes I Think About
7.Gotta Get Away
Side B
1.Pipe Dream
2.There's a Chance We Can Make It
3.Gloria
4.Albert Common is Dead
5.Baby, I Want You
6.Take My Love
7.Rush Hour
A面がファースト、B面がセカンドからになっています。曲順はバラバラです。
A-2が全米5位の大ヒットになります。A-1はおなじみのブルースナンバー。B-3はご存じヴァン・モリソンです。
解説が福田一郎ですが、サイケデリックという言葉が珍しかったのか、随分と詳しくサイケデリックについて書いています。
まさにこの時代のサイケデリックサウンドです。ブルースロックにもフォークロックにも通じるものが有ります。この頃のバンド、『The 13th Floor Elevators』や『The Electric Prunes』、『Love』などにも同じ匂いがします。
この後バンドは1968年にサードアルバム『Basic Blues Magoos』をリリースします。
しかしセカンドアルバム、サードアルバム共にパットしませんでした。メンバーはエミールを除き全員退団してしまいました。
代わりにエリック・ジャスティン・カズ(Eric Kaz,key,vo)、ロジャー・イートン(Roger Eaton,b)、リッチー・ディクソン(Richie Dickon,ds)、ジョン・レイロー(John Leillo,perc)を加えて再出発します。1969年に4枚目のアルバム『Never Goin' Back to Georgia』を、1970年には『Gulf Coast Bound』をそれぞれリリースしますが、どちらもパットせず結局解散となりました。
エリック・カズはその後アメリカン・フライヤーに参加、ソロでも活躍しています。
ブルース・マグースのアルバムはかろうじて初期の3作がCD化されているようです。
このバンドも今では忘れ去られたバンドになってしまいましたが、60年代後半を彩ったバンドのひとつでした。
Blues Magoos - (We Ain't Got) Nothin' Yet
The Blues Magoos - Tobacco Road
Blues Magoos - Pipe Dream (1967)
それでは今日はこの辺で。