私がフレッド・ニール(Fred Neil)の名を初めて知ったのは、高校生の時に映画『真夜中のカウボーイ』の中で歌われていた「うわさの男」がひどく気に入って、歌っていたハリー・ニルソンのLP『ハリー・ニルソンの肖像』を買った時でした。当然ニルソンが作った歌だと思っていたのですが、作者を見るとフレッド・ニールという人でした。
それからロックやフォークのレコードを買ううちにこの人の名前が割と頻繁に出てくるのに気が付きました。リンダ・ロンシュタッド、ジョニ・ミッチェル、ジェファソン・エアプレイン、イッツ・ア・ビューティフル・デイ、ラヴィン・スプーンフル、ヤングブラッズ、アニマルズ、ティム・バックリィ等々多数の人が彼の曲を取り上げていました(グラム・パーソンズも後の未発表曲集の中に彼の曲が入っていました)。
これは1枚位買わないとまずいな、と思い中古盤を捜し歩きました。当時はネットもありませんのでひたすら足で歩き回らないといけません。しかしなかなか見つかりません。ようやく見つけたのが『Evrybody's Talkin'』でした。運よく「うわさの男」が収録されている盤でした。
Side A
1.The Dolphins
2.I've Got A Secret (Didn't We Shake Sugaree)
3.That's The Bag I'm In
4.Badi-da
5.Faretheewell (Fred's Tune)
Side B
1.Everybody's Talkin'
2.Everything Happens
3.Sweet Cocaine
4.Green Rocky Road
5.Cynicrustpetefredjohn Raga
パーソナルは
Fred Neil-guitar,vocal
James E-bass
John Forsha-guitar
Pete Childs-guitar
Al Wilson-harp
Billy Mundi-drums
Cyrus Faryar-guitar
プロデュースはニック・ヴェネット(Nick Venet)です。
アル・ウィルソン(Al Willson)はキャンド・ヒートのアランです。
このアルバムはフレッド・ニールのソロアルバムとしては2枚目になります。ファーストにはラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンやクリームのフェリックス・パパラルディも参加しています。
ソロをリリースする前にはヴィンス・マーティンとのデュエットアルバムを発表しています。
この『Evrybody's Talkin'』は1969年に『真夜中のカウボーイ』が公開され後、リプレイス盤として発売されたものです。原盤は『Fred Neil』というタイトルで1966年にリリースされています。
A-1はティム・バックリィ、リンダ・ロンシュタッド、ビリー・ブラッグ、アレックス・ハーヴェイ、イッツ・ア・ビューティフル・デイ、ディオンなど数多くの人がカバーしています。
A-3はグラム・パーソンズがカバーしています。
B-1はご存じ「うわさの男」
彼の朴訥とした野太い声で淡々と歌う姿は、1960年代の多くのミュージシャンに多大な影響を与えたといいます。ボブ・ディランでさえ憧れたと聞きます。それだけ彼の歌には魅力があったのでしょう。
その他にもロイ・オービソンなどがカバーした「Candy Man」、ジュディ・コリンズがカバーした「Tear Down the Walls」、ジェファーソン・エアプレイン、PPM、ヤングブラッズ、ラヴィン・スプーンフル、アニマルズ、エリック・アンダーソン、グラム・パーソンズなどがカバーした「The Other Side of This Life」など他人にカバーされた曲は多数です。
フレッド・ニールはその後、1967年と、1971年にアルバムをリリースしますが、60年代後半からはイルカの保護活動に積極的にかかわるようになり、音楽活動からは遠ざかりました。
2001年に皮膚がんのため亡くなりました。65歳でした。
Fred Neil - Everybody's Talkin'
ニルソンバージョン
Everybody's Talkin' - Nilsson (With lyrics on screen)
それでは今日はこの辺で。