イギリスのブルースロック・バンドのジューシー・ルーシー(Juicy Lucy)の結成は1969年のことでした。
当時、イギリスでも既に多くの先鋭的なロックバンドが出現し、ジャズ界でも新しい波が押し寄せてきていました。
そんな中、イギリスのテレビがロック、ブルース、ジャズ界のスターを集めた映像を作ろうということで多くのミュージシャンが集められました。
エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、レッド・ツェッペリン、スティヴン・スティルス、バディ・マイルス、ダスター・バーネット、ローランド・カーク、バディ・ガイ、MJQなどが参加しました。このフィルムは後に日本でもNHKで放送されました。
そこにブルース・ブレイカーズにいたクリス・マーサー(Chris Mercer,sax,p,organ)、黒人のレイ・オーウェン(Ray Owen,vo)、それにアメリカから元ミスアンダーストゥッドのグレン・ロス・キャンベル(Gllen Ross Cambell,steel g)も参加しており、この3人が意気投合してバンドを結成する動きが出ました。そして元グラハム・ボンドのニール・ハバード(Neil Hubbard,g)、元ヴァンダー・グラフ・ジェネレーターのキース・エリス(Keith Ellis,b)、そしてピート・ドブソン(Pete Dobson,ds)をメンバーに加えて、ジューシー・ルーシーが結成されました。
そして1969年、ヴァーティゴ・レコードからデビューアルバムが発表されました。
このアルバムからボ・ディドリーの「Who Do You Love」がいきなり全英チャートの20位となるヒットになり、アルバムも40位と大健闘しました。
しかしここでヴォーカルのレイ・オーウェンが自身のバンドを結成するために脱退、さらにはニール・ハバード、ピート・ドブソンも脱退と苦難な道が待ち受けていました。
残った3人はヴォーカルにポール・ウィリアムス(Paul Williams,vo)、ギタリストにミック・ムーディ(Mick Moody,g)、ドラムスにロッド・コーメス(Rod Coombes,ds)を加えて再出発を図りました。
そして1970年にセカンドアルバム『Lie Back and Enjoy It』をリリースします。
ここではウィリー・ディクソンのブルースナンバー やフランク・ザッパの曲までカバーしており野太いブルースロックになっています。
ヴォーカルが後にテンペストに行くポール・ウィリアムスに、ギターが後にホワイトスネイクに行くミック・ムーディに替わって充実した感じになりました。
そして今度はベースのキース・エリスが脱退し、代わりにジム・レバートン(Jim Leverton,b)にメンバチェンジしました。
そして1971年にサードアルバム『Get a Whiff a This』がリリースされたのです。
Side A
1.Mr. Skin
2.Midnight Sun
3.Midnight Rider
4.Harvest
5.Mr. A. Jones
Side B
2.Big Lil
3.Jessica
4.Future Days
プロデュースはナイジェル・トーマス(Nigel Thomas)です。
A-1はスピリットのランディ・キャリフォルニアの曲。
A-3はグレッグ・オールマンの曲。
A-4はボビー・ダーリンの曲。
音楽性の幅がぐんと広がりました。ブルースは勿論ですが、ソウル、ファンク、ブギウギ、カントリーを感じさせる楽曲までこなしています。
しかし、2作目、3作目も思うように売れず、グレン・キャンベルはバンドを脱退します。そしてバンドは解散状態に陥ります。
ここでポール・ウィリアムスはミック・ムーディと共に、ブラッドウィン・ピッグからアンディ・パイル(Andy Pyle,b)とロン・バーグ(Ron Berg,ds)、キーボードにジーン・ラッセル(Jean Roussel,key)を加入させ,、1972年に4枚目のアルバム『Pieces』をリリースします。
だいぶアメリカナイズされたサウンドになりましたが、結局は解散に追い込まれました。
1995年にはレイ・オーウェンが『Here She Comes Again』をジューシー・ルーシー名義で発表しました。
さらに1996年にはポール・ウィリアムスとミック・ムーディがこれまたジューシー・ルーシー名義で『Blue Thunder』を発表しました。
ここにはミック・テイラーとアンディ・サマーがゲスト参加しています。
名前の使用には法律問題が絡んでいるようですが、正直よくわかりません。
いずれにしてもジューシー・ルーシーというバンド、短命でなおかつ人気もありませんでしたが、気になる渋いバンドでした。
ジューシー・ルーシーの面白いジャケットを紹介します。開くようになっています。
以前の記事で紹介しました。
Juicy Lucy - Who do you love ? ( Rare Original Footage 1970 High Quality )
JUICY LUCY - Midnight Rider (1971)
JUICY LUCY- Midnight Sun- 1971 GET A WHIFF A THIS
それでは今日はこの辺で。