オールマン・ブラザース・バンドの弟分として人気を博したマーシャル・タッカー・バンド(The Marshall Tucker Band)です。
彼等の出身地はサウスカロライナ州のスパータンバーグという片田舎です。中心メンバーのトイ・コルドウェル(Toy Caldwell,g,vo)と弟のトミー・コルドウェル(Tommy Caldwell,b.vo)はカントリー好きの父親の影響で小さい頃からカントリーバンドでギターを弾いていました。2人はハイスクールの友人ジョージ・マッコークール(George McCorkle,g)とバンドを結成します。そこにダグ・グレイ(Doug Gray,vo)が加わりますが、徴兵のため4年間中断されます。
4年後、1970年スパータンバーグに戻ったトイはジェリー・ユーバンク(Jerry Eubanks,sax,flute)を加えて新たにトイ・ファクトリーというバンドを結成します。ここでメンバーが揃いました。さらにポール・リドル(Paul Riddle,ds)が加入して、バンド名もマーシャル・タッカー・バンドに変えてスタートしました。
バンドはキャプリコーン・レコードのオーディションを受けて合格し、ファーストアルバム『The Marshall Tucker Band』がリリースされます。1973年でした。
このアルバムからシングル「Can't See You」が大ヒットし、アルバムもゴールドディスクを獲得し、一躍南部の雄に躍り出ました。
カントリーとブルースにジャズをふりかけた様ないかにもサザンロックという出来栄えです。
そして1974年にセカンドアルバム『A New Life』がリリースされます。
Side A
1.A New Life
2.Southern Woman
3.Blue Ridge Mountain Sky
4.Too Stubborn
Side B
1.Another Cruel Love
2. You Ain't Foolin' Me
3.24 Hours At A Time
4.Fly Eagle Fly
プロデュースはポール・ホーンスビー(Paul Hornsby)です。
ゲストミュージシャンとして
チャーリー・ダニエルズ(Charlie Daniels,fidle)
ジェイモ(Jaimoe,congas)
その他ホーン・ミュージシャン
が参加しています。
全作トイ・コルドウェル作です。
トイ・コルドウェルはA-3とB-4でリードヴォーカルを執っています。
ダグ・グレイもトイのヴォーカルもいかにもカントリーロックという感じで、デュアン・オールマンが抜けた後、ディッキー・ベッツが主導権を握った頃のオールマン・ブラザースのようです。
A-4などはブルースなのですが重々しくなく、軽い感じのブルースになっています。
南部ののんびり、ゆったりとした雰囲気がとても落ち着きます。
このアルバムもゴールドディスクを獲得しました。アルバムチャートは37位までになりました。
この後、同年に『We All All Belong』、1975年に『Searchin 'for a Rainbow』と立て続けに良質なアルバムをリリースします。
両アルバムともにゴールドディスクを獲得しました。『Searchin 'for a Rainbow』の方はアルバムチャートでも最高の15位になりました。
この後も、コンスタントにアルバムを出し続けます。
しかし1980年に悲劇が起こります。弟のトミー・コルドウェルが交通事故で亡くなります。代わりはフランクリン・ウィルキー(Franklin Wilkie,b)です。
マーシャル・タッカー・バンドは現在も活動中です。メンバーは変わりましたが、数多くのアルバムを残しました。
オールマン・ブラザースやレーナード・スキナードの陰に隠れがちですが、70年代のみならず、それ以降も活躍し続けた長命バンドです。
The Marshall Tucker Band - Can't You See - 9/10/1973 - Grand Opera House (Official)
A New Life The Marshall Tucker Band 1974
Southern Woman The Marshall Tucker Band 1974
Blue Ridge Mountain Sky by The Marshall Tucker Band (from A New Life)
それでは今日はこの辺で。