Flying Skynyrdのブログ

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’60年代・夜明け前『Sixties Transition』

このCDはまさにカントリーロック、フォークロックが盛り上がる直前の時期にレコーディングされた曲を集めたものです。

ジム・ディクソン(Jim Dickson)というプロデューサーが発掘した様々なミュージシャンの初期のレコーディング集です。もちろんプロデュースはジム・ディクソン自身です。レコーディン時期はすべて1963年~65年の間です。

 

ジム・ディクソンによって世に送り出されたウェストコーストのミュージシャンは数多くいます。代表的な人物はザ・バーズやその周辺の人たちです。順を追って紹介します。

『Sixties Transition』2007年の発売です。

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01. Get Together - Dino Valenti

02. Black Betty - Dino Valenti

03. Life Is Like That - Dino Valenti

04. Willie Jean - David Crosby

05. Come Back Baby - David Crosby

06. Charisma - Bud Shank, David Crosby

07. Jamaica Farewell - Leon Russell

08. Stewball - Leon Russell

09. He Was A Friend Of Mine - Dian & The Greenbriar Boy

10. When the Ship Comes In -The Hillmen

11. Faretheewell - The Hillmen

12. You Showed Me - The Byrds

13. The Airport Song - The Byrds

14. I Knew I'd Want You - The Byrds

15. Mr. Tambourine Man - The Byrds

16. EAch Season Changes You - The Dillards

17. Someday You'll Find - The Dillards

18. Don't You Cry - The Dillards

19. To Ramona - The Gosdin Brothers

20. The Times They Are A Changin' - Hamilton Camp

 

1~3はディノ・ヴァレンティです。後にクイックシルバーメッセンジャー・サーヴィスのヴォーカリストになる人です。このブログには何度も出てきています。その彼の本当に最初のレコーディングではないかと思われます。この人は名前をいくつも持っていてその都度使い分けています。ディノ・ヴァレンテ、チェット・パワーズジェシ・ファーロウなど。

1はヤングブラッズで有名になった「ゲット・トゥゲザー」です。ベースはリランド・スクラーです。

2はレッドベリーのブルースナンバー。ベースはラリー・ネクテルハープシコードレオン・ラッセルが入っています。ギターはディノ・バレンティです。

3は2と同じメンバーでオリジナル曲です。後のクイックシルバーを思わせます。

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4,5はデヴィッド・クロスビーです。デヴィッド・クロスビーがバーズに参加する直前だと思います。先ほどのディノ・バレンティの2,3とこのクロスビーの2曲は1970年のレコード『Early L.A.』にも収録されています。また、2010年発売のバーズの『プリフライト・セッション』にも収録されました。

4はホイト・アクストン、5はレイ・チャールズのヒット曲。いかにもデヴィッド・クロスビーらしい唱法です。

 

6はジャズのバド・シャンクデビッド・クロスビーのコンビです。曲は2人の手によるものです。リード・ギターがジョー・パス、クロスビーがリズムギター、バドがフルートです。

 

7,8はレオン・ラッセルです。と言っても2曲ともインスツルメンタルでレオン・ラッセルハープシコードを弾いています。ギターはグレン・キャンベルです。特段レオン・ラッセルと分けなくてもよかったのではと思ってしまいます。

 

9はブルーグラスバンドのグリーン・ブライアー・ボーイズです。彼らの1963年のセカンドアルバムより。彼らはヴァンガード・レコードに所属していましたが、この時は特別にジム・ディクソンの所属するエレクトラからリリースしました。この曲「He Was Friend Of Mine」ボブ・ディランの曲で、ブルグラスバンドでディランの曲を取り上げたのは初めてだそうです。これもジム・ディクソンの影響でしょう。

 

10,11はザ・ヒルメンです。後にバーズに参加するクリス・ヒルマンが所属していました。アルバム『ザ・ヒルメン』のレコードが発売されたのは1969年になってからのことでした。ここでもディランの曲を2曲取り上げています。ジム・ディクソンは余程ディランの曲が流行ると確信していたのでしょう。それを実現したのがザ・バーズでした。

 

12~15はそのザ・バーズです。これらはバーズの『プリフライト』というデビュー前のレコーディングを集めたアルバムに入っています。これも発売されたのは1969年でした。ここにあの「ミスター・タンブリンマン」が収められています。ゆったりとしたテンポです。これを再録音して大ヒットに繋がったのでした。そしてフォークロックが一躍隆盛を誇ることになったのでした。

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16~18はザ・ディラーズです。ダグ・ディラードを中心にハーブ・ペダーソンバイロンバーラインなどカントリー・ロックには欠かせない人物を擁したブルーグラスバンドです。のちにバーズを辞めたジーン・クラーク『ディラード&クラーク』というバンドも結成しました。現在も活動中です。

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19はザ・ゴスディン・ブラザースです。上記のジーン・クラークと組んだアルバムを発表しています。ここでもディランの「ラモーナに」を取り上げています。

 

20はハミルトン・キャンプです。ハミルトン・キャンプはシンガー・ソングライターです。また俳優でもあります。クイックシルバーメッセンジャー・サーヴィスのファーストアルバムに収められた「プライド・オブ・マン」は彼の曲です。またサイモン&ガーファンクルやゴードン・ライトフットも彼の曲をカバーしています。

ここでもディランの「時代は変わる」を取り上げています。ギターをロジャー・マッギン、ベースをクリス・ヒルマン、ドラムをマイケル・クラークバーズのメンバーがフォローしています。

 

トラック1、6、17、19、20はこの当時未発表でした。現在は分かりません。

 

ボブ・ディランバーズ、フライング・バリットなどのフォークロック、カントリーロックの人気が出る以前に先見の明を持っていた人物がやはりいたのです。またこのようなCDを企画して発表するというあたりはさすがアメリカ、懐が深いです。日本でこんなものを買う人はほとんどいないと思いますが。

 

未発表という言葉に弱かった頃の購入でした。トホホ

 

 

それでは今日はこの辺で。