ウォズ(ノット・ウォズ)『Was (Not Was)』という奇妙な名前がついたバンドは1980年代初めから1990年代初めにかけて活躍したバンドです。
ファーストアルバムリリース時のメンバーは
デヴィッド・ウォズ(David Was,vo, alto saxophone, piano)
ドン・ウォズ(Don Was,vo, b, vibraphone, Moog synthesizer, clavinet)
ハリー・ボウエンズ(Harry Bowens,vo)
スウィート・ピー・アトキンソン(Sweet Pea Atkinson,vo)
ブルース・ナザリアン(Bruce Nazarian,g,b)
ウェイン・クレイマー(Wayne Kramer,g)
ラリー・フランタンジェロ(Larry Fratangelo,perc)
ルイス・レストロ(Luis Resto,key)
マーカス・ベルグレヴ(Marcus Belgrave,trumpet)
この他にも曲によって多くのミュージシャンが参加していますが、中心メンバーはデヴィッド・ウォズとドン・ウォズの二人です。二人とも白人ですが、多くの黒人ミュージシャンの協力の元アルバムを作り上げています。
実はこの二人、兄弟だという情報もあったのですがそれは誤りで、幼馴染です。本名はデヴィッドがデヴィッド・ウェイス(David Weiss)、ドン・ウォズがドナルド・フェイゲンソン(Donald Fagenson)といいます。要するにウォズは芸名です。ご丁寧に(ノット・ウォズ)とつけたのです。
1979年に彼らはウォズ(ノット・ウォズ)を出身地のデトロイトで結成しました。
この時代はP-ファンクやトーキング・ヘッズなどいわゆるファンク、ニューウェイヴが流行り出しました。
そして1981年にその流行に乗ってファーストアルバム『Was (Not Was)』をZEレコードからリリースしました。
Side A
1.Out Come the Freaks
2.Where Did Your Heart Go?
3.Tell Me That I'm Dreaming
4.Oh, Mr. Friction
Side B
1.Carry Me Back to Old Morocco
2.It's an Attack!
3.The Sky's Ablaze
4.Go...Now!
プロデュースは デヴィッドとドン、それにZEレコードのマイケル・ジルカ(Michael Zilkha)、ジャック・タン(Jack Tann)です。
A-2,B-2,4はスウィート・ピー・アトキンソンのヴォーカルです。A-1,3はハリー・ボウエンズのヴォーカルです。
ちなみにブルース・ナザリアンはデヴィッド・ラフィン・バンドのギタリスト、ウェイン・クレイマーは元MC5のギタリスト、ラリー・フランタンジェロはP-ファンクのパーカッションでした。またマーカス・ベルグレイヴはチャーリー・ミンガスのトランぺッターでした。
このアルバムは確か雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン」で100点満点だったと思います。それで騙されて?買った記憶があります。
とにかく画期的なアルバムでした。ファンク、ディスコ、ロック、ダンス、フュージョンなどが入り乱れた当時としては斬新な音楽でした。レーガン大統領の演説などを組み込んだ手法も使っています。
その中でも私はそれらとは一線を画すA-2の「Where Did Your Heart Go?」というバラードが大好きです。このアルバムの中では異色の存在です。哀愁を帯びたメロディーにスウィート・ピーのヴォーカルが何とも切ない。これを聴くだけでもこのアルバムの勝は十分にあります。
しかしこのレコード、全く売れませんでした。そこで彼らはレコード会社をゲフィンに変えました。
このような曲を聴きたくて、セカンド『Born to Laugh at Tornadoes』もサード『What Up, Dog?』も購入しましたが、それは残念ながらありませんでした。
セカンドアルバムの参加メンバーは驚きます。ヴォーカルにオジー・オズボーン、ミッチー・ライダー、ジャズの大御所メル・トーメ、アイランドレコードのクリス・ブラックウェル、ナックのダグ・フィーガー。ギターではマーシャル・クレンショー、キッスのヴィニー・ヴィンセント、ボブ・クーリック等々凄いメンバーを揃えました。
またサードアルバムは彼らの中では一番ヒットしたアルバムになりました。ビルボードの43位までになりました。シングル「Walk the Dinosaur」はアメリカ・、イギリスともにベスト10に入りました。また「Spy in the House of Love」も全米の16位とヒットしました。
この後は1990年に4枚目のアルバム『Are You Okay?』をリリースして活動を休止しました。
そして2004年に再結成して活動を再開しています。2008年には5枚目のアルバム『Boo!』をリリースしました。
クリス・クリストファーソンやブッカーT・ジョーンズ、マーカス・ミラーなどが参加しているようですが未購入です。
ウォズ(ノット・ウォズ)は日本でも海外でも評論家の評価は極めて高いのですが、商業的な成功はそこまでは得られませんでした。
ドン・ウォズのその後のプロデューサーとしての活躍はご承知のように目覚ましいものが有ります。ボブ・ディラン、ボニー・レイット、ローリング・ストーンズ等々数え挙げたらきりがありません。
やはりすごい才能の持ち主だったんですね。只者ではなかったのだ。
WAS (NOT WAS) - Where Did Your Heart Go ? (Original Version) (1981)
Was (Not Was) - "Out Come The Freaks"
Was (Not Was) - Tell Me That I'm Dreaming (Remix - 1982)
それでは今日はこの辺で。