アメリカのジャズ・サックス奏者、フィル・ウッズ(Phil Woods)がミシェル・ルグラン(Michel Legrand)と競演したアルバムです。
ここでは「シェルブールの雨傘」は聴けませんが、絶品の「風のささやき」が聴けます。
フィル・ウッズは今更説明の必要もないでしょうが、少しだけ紹介します。1931年のマサチューセッツ州スプリングフィールドで生まれました。マサチューセッツの音楽学校で学びピアニストのレニー・トリスターナに影響を受けました。早くからチャーリー・パーカーの後継者と目され、1950年代からすでに数多くのリーダーアルバムを残しました。
1968年にフランスに渡り、ヨーロピアン・リズム・マシーン(European Rhythm Machine)を結成しました。アヴァンギャルド・ジャズに傾倒した時期でした。その後は再びアメリカに戻り活動しました。
また、ロックの世界でもビリー・ジョエルやポール・サイモン、スティーリー・ダンとの競演でアルト・サックスのソロを聴かせています。
そんなフィル・ウッズとミシェル・ルグランの出会いは古く、1958年のルグランが自身のアルバム『ルグラン・ジャズ』のセッションに参加したメンバーの一人がフィル・ウッズでした。このアルバムはルグランの名を一躍有名にしたアルバムでした。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスなど錚々たるメンバーが顔を揃えました。その時以来の二人の付合いでした。
そして1974にRCAが設立したグリフォンレコードから、1975年にリリースされたのがこのアルバム『Images/Phil Woods,Michel Legrand And Orchetra』です。
01.The Windmills of Your Mind
02.A Song For You
03.Nicole
04.The Summer Knows
05.We've Only Just Begun
06.I Was Born in Love With You
07.Clair de Lune
08.Images
メンバーは
フィル・ウッズ(Phil Woods,as)
ミッシェル・ルグラン(Michel Legrand,p,conduct,arrang,produce)
ケニー・クラー(Kenny Clare,ds)
デレク・ワトキンス(Derek Watkins,tp)
ドン・ラッシャー(Don Lusher,tb)
ロン・マシューソン(Ron Mathewson,b)
ジャド・プロクター(Judd Proctor,g)
アーマド・ミギアニ(Armand Migiani,bs)
プロデュースはミシェル・ルグランとノーマン・シュワルツ(Norman Schwartz)です。
01がスティーヴ・マックイーンとフェイ・ダナウェイ主演の映画『華麗なる賭け』の主題歌「風のささやき」です。映画ではノエル・ハリソンが歌っていましたが、ダスティ・スプリングフィールドの歌でヒットしました。ここではフィル・ウッズのアルト・サックスが泣いています。導入はスローテンポで途中からテンポがあがりオーケストラとの相性が抜群です。
02はレオン・ラッセルの曲でカーペンターズでもヒットしました。こんな曲もやるんですね。
03はフィル・ウッズのオリジナル。
04は1971年の映画『おもいでの夏』の主題歌。ルグランの曲で、これでルグランはアカデミー賞の作曲賞とグラミー賞を受賞しました。
05はポール・ウィリアムス作曲でカーペンターズで大ヒットした「愛のプレリュード」です。
06は映画『嵐が丘』の主題歌です。
07は「月の光」です。ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」をルグランがアレンジしたものです。
08はルグランの「イメージ」です。ルグランは当時のフィル・ウッズの苦難を知って、何とか世間に彼を再認識させようと思って書いた曲らしいです。14分に及ぶ熱演です。ウッズのアルトに、ルグランのピアノ、それに迫力あるオーケストラ。聴きごたえ十分です。ウッズが一時期アヴァンギャルド系に傾倒した時期なども考慮した曲なのでしょうか。
このアルバムはどちらかというと、ジャズとイージーリスニングが同居しているような感覚を受けてしまいますが、オープニングとエンディングでビシッと決まっています。
このアルバムは1976年のグラミー賞のジャズアルバムを受賞しました。
フィル・ウッズは残念ながら2015年に83歳で亡くなりました。ミシェル・ルグランは現在86歳、健在です。
Phil Woods & Michel Legrand - The Windmills of Your Mind
THE SUMMER KNOWS-PHIL WOODS, MICHEL LEGRAND ORCHEATRA
Michel Legrand Orchestra - Images - Featuring Phil Woods
それでは今日はこの辺で。