Flying Skynyrdのブログ

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この人の、この1枚 『The West Coast Pop Art Experimental Band/volume one』

ザ・ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンド(The West Coast Pop Art Experimental Band)(以下、WCPAEBという)と、なんとも長ったらしい名前がついたバンドは、アメリカ、ロサンゼルスで結成されたサイケデリック・バンドです。

 

WCPAEBの結成は1965年です。この頃の西海岸はちょうどサイケデリックとフォークロックが始まった頃です。ボブ・ディランがフォークロックに転向、ザ・バーズの「ミスター・タンブリンマン」が大ヒットした年です。一方ではグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレイン、クイックシルバーなどサイケデリックなバンドが続々登場してきました。

そんな中、マイケル・ロイド(Michael Lloyd,key,g,vo,ds)ショーン・ハリス(ShaunHarris,g,b,vo)ダン・ハリス(Dan Harris,g,vo)の兄弟と音楽学校で知り合います。3人は一緒に演奏するようになりました。

マイケルは以前から知り合いだった音楽プロデューサーのキム・フォーリーからボブ・マークリー(Bob Markley,tamb,vo)を紹介されます。ボブは資産家の息子で、キムはヤードバーズの初来米のプレスマンをしており、ボブの家でそのパーティーをすることになりました。そこにマイケルも招かれ、ヤードバーズの演奏を観てバンドで食っていく決心をしました。そしてハリス兄弟とボブを誘いバンドを結成することにしました。

 

そしてドラマーのジョン・ウェア(JhonWare,ds)を加えて、 Laughing Windというバンドを作りレコーディングを開始しました。

マイケルは13歳の頃から曲作りを始めており、またハリス兄弟は音楽一家に生まれ、録音機材などの扱いにも慣れていました。彼らはマイケルの部屋をスタジオにして録音を始めました。資金提供はボブでした。その代わりにバンド名をザ・ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドにすることに決めました。それはボブが東海岸ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(Velvet Underground)のようになることを見込んでのものでした。

 

そして1966年、WCPAEBはファーストアルバム『volume one』をマイナーレーベルからリリースしました。

01. Something You Got

02. Work Song

03. Louie, Louie

04. Don't Break My Balloon

05. You Really Got Me

06. Don't Let Anything!!! Stand In Your Way

07. I Won't Hurt You

08. If You Want This Love

09. Insanity

10. It's All Over Now, Baby Blue

11. She Belongs To Me

 

以下、ボーナストラック

12. She Surely Must Know (Previously Unissued)

13. Sassafras

14. She May Call You Up Tonight

15. One Day (Previously Unissued)

16. Funny How Love Can Be (Previously Unissued)

17. Obviously Bad

18. Endless Night (Previously Unissued)

19. Tell Me What You Want To Know(Previously Unissued)

20. Just You & Me (Previously Unissued)

21. Chimes Of Freedom (Previously Unissued)

22. Scuse me Miss Rose (Previously Unissued...)

 

このⅭⅮは1997年にSundazedからリイシューされたものです。

オリジナルの主要音源はマイケルの部屋で録音されたものです。

ファーストアルバムは大半がカバー曲で占められていました。ボブ・ディランが2曲。「イッツ・オール・オーバー・ナウ・ベイビー・ブルー」「シー・ビロングス・トゥ・ミー」キンクス「ユー・リアリー・ゴッド・ミー」、おなじみの「ルイ・ルイ」ナット・アダレイ「ワーク・ソング」などです。

ボーナストラックは俄然オリジナルが多いです。ボブ・ディランの「自由の鐘」もカバーしています。やはりアメリカのフォークロック、サイケデリックとなるとボブ・ディランは欠かせないようです。

 

このアルバムが評判を呼びWCPAEBリプリーズとのメジャー契約を結びます。そして新たにロン・モーガン(Ron Mogan,g)をメンバーに加えます。

1968年までに3枚のアルバムをリリースします。

『Part 1』『Vol.2』『vOL.3』です。

  

しかし、メンバー間のトラブルがありマイケルとダニー・ハリスは一時バンドを離れます。この間のアルバムも意欲的ではありましたが商業的には成功せず、リプリーズは契約を打ち切りました。

 

新しいレコード会社Amosレコードと契約を結び5枚目のアルバム『Where's My Daddy?』をリリースします。

 

 

しかし、これがラストアルバムになってしまいました。
その後、マイケルはレコード・プロデューサー、ハリス兄弟はそれぞれソロ、ロン・モーガンエレクトリック・プルーンズスリー・ドッグ・ナイトに参加しました。
 
フォークロック、サイケデリックロック黎明期にその名を知らしめたバンド、WCPAEBは今もなお、マニアの間では高い評価を得ています。
 
 
それでは今日はこの辺で。