Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『search/サーチ』を観る

昨日のキネ旬シアターはsearch/サーチでした。

ポスター画像

 

監督:アニーシュ・チャガンティ

主演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ミシェル・ラー

制作:2018年 アメリ

 

この映画はチャガンティー監督のデビュー作のようです。ストーリーのすべてがパソコンの画面上で繰り広げられるというちょっと変わったサスペンス映画です。

 

例によってネタバレです。

 

デヴィッド・キムは3年前に妻を癌で亡くし、16歳の娘マーゴットと2人暮らしです。かつての3人の暮らしの幸せそうな様子を納めたホームビデオをパソコンで鑑賞しています。妻の死後、マーゴットとの間は疎遠になっています。

 

ある日、マーゴットは友人との勉強会のため外泊する言って外出し、その日は帰ってきませんでした。翌朝、目を覚ますと、自分の携帯に3回もマーゴットから電話がありました。かけ直してみても繋がりません。メールにも返事がありません。その日はピアノのレッスンだったことを思い出し、ピアノ教室に電話を入れると、半年も前にピアノ教室を辞めていました。

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不安になったデヴィッドは弟のピーターに相談しますが、年頃の子にはよくあることだと、受け流されてしまいます。娘の交友関係など知らないデヴィッドは妻のアドレスから友人に連絡をとると、友人たちとキャンプをする計画を立てていたことを知り安心します。ところが、マーゴットは約束の場所に来なかったというのです。デヴィッドはますます不安になり、ようやく警察に連絡しました。

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警察の担当は女性捜査官のローズマリー・ヴィックという人物でした。ネットで検索するとこの捜査官は評判がよく、デヴィッドも安心しました。警察が捜査をしている一方で、デヴィッドはマーゴットのFacebookにログインし、そこから情報を得ようとしますが、マーゴットには学校に親しい友人がいませんでした。さらにピアノ教室の月謝として渡していたお金も銀行口座に貯められ、謎の口座に送金されていました。娘のことを何一つわからない自分に意気消沈するデヴィッドをシングルマザーのヴィック捜査官は自分の体験を話し慰めました。

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その後、デヴィッドはマーゴットがSNSに夢中になっていて、中でも「Fish_and_Chips」という人物と頻繁にやり取りしていることを突き止めます。その人物は、母親が癌で闘病中ということで、癌で母親を亡くしたマーゴットの関心を買ったようです。しかしヴィック捜査官はその人物を調べたが無関係だったと報告します。さらに調べてゆくとマーゴットはバルボッサ湖を度々訪れていたことが分かりました。すぐ湖に向かうとマーゴットのキーホルダーを発見しました。すぐに現地に捜索隊が向かいましたが、彼女の姿はなく、湖底に沈められた車と月謝の2500ドルが発見されただけでした。

 

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やがて事件は大々的に報道され、捜査も続行されますが、なかなか進展しません。デヴィッドはSNSでマーゴットの失踪をネット上で笑いものにしていた若者を直接問い詰めに行き、殴り掛かかってしまいます。さらにその様子がネットで拡散してしまい、警察の捜査から外されてしまいます。デヴィッドは単独で捜査を始めます。しばらくして事件現場の写真に弟のピーターのジャケットが写っていることを発見し、ピーターが事件に関与していると考え、ピーターの家を訪ねます。

 

しかし、ピーターはただマーゴットとハッパを吸っていただけだと言います。逆にマーゴットは母親の死後、父親は母親の話を避け、自分と向き合ってくれないとこぼしていたと言われます。その最中にヴィック捜査官から電話が入ります。何と犯人が自白したというのです。犯人は元犯罪者でマーゴットを誘拐し、レイプした挙句に殺害したというVTRを公開したのです。男はその後自殺したというのです。これが全米のトップニュースとして流されました。

 

マーゴットの葬儀は始まるまで、デヴィッドは失意の中、ぼんやりとパソコンの画面を眺めていると、「Fish_and_Chips」という人物のアイコン画像がCMモデルであることに気がつきます。デヴィッドはすぐにこのモデルに電話します。しかしモデルは知らないと言います。ヴィック捜査官はこの人物と接触したと言っていたはずです。このことをヴィック捜査官はなぜ知らせてくれなかったのか、疑問が湧いてきました。警察に連絡すると、ヴィック捜査官は自ら志願して捜査に加わったとのことでした。不審に思い再びネットで検索すると、ヴィックとその犯人が一緒に写っている写真がありました。

 

さらに調べていくと、「Fish_and_Chips」なる人物はヴィックの息子だったのです。この息子はマーゴットの幼馴染で、マーゴットのことが好きでした。そしてマーゴットの好みや趣味なども知っていることを利用して、「Fish_and_Chips」なる人物になりすまし、マーゴットの同情を買っていたのです。マーゴットは2500ドルを母親の治療のために使って欲しいとこの人物に会いに行きましたが、素性がばれ、崖から突き落としてしまったというのです。それを知ったヴィックは息子を庇うために、事件をコントロールし、自分が更生を手伝った男に自供させ、その後殺害したのでした。

 

ヴィックは逮捕され、突き落としたという崖に行ってみるとマーゴットは奇跡的に生存していました。後日、マーゴットは車椅子に乗っています。希望していた音楽学校の入学試験の結果を待っているのでした。この父娘は昔のような関係を取り戻したようです。

 

本当に、最初から最後までパソコン画面でした。これには驚きました。私はFacebookなどのSNSにはおおよそ縁がありませんので、ちょっと戸惑いを感じました。テレビ電話も使ったことがありませんし、驚きの連続でした。いよいよこのような映画も出て来たか、という感じでした。

 

ストーリーで違和感を感じたのは、マーゴットの死体の捜索もせず、早々と葬儀が行われるということです。日本では考えられません。死体があがらず何カ月も経ったというのならわかりますが、たったの5日で葬儀は無いでしょう。

 

まあ、それは置いといて、この映画のストーリーは特別ミステリアスでもなければ、難しい謎解きもありません。途中で犯人は見当がついてきます。つまり、画面がすべてパソコン上だと言う斬新さを除けば普通の映画です。監督は何を表現したかったのでしょう。一つには新しい現代のネット社会が抱える恐怖。そしてもう一つは昔から脈々と存在する親子関係の難しさ、ではないでしょうか。この新旧二つの問題を、パソコン画面という新しい手法を使って表現したのでしょう。

 

小さい子供もネットや携帯を使うようになると、親は子供がどんな世界にいるのかわからなくなってしまいます。この映画では、娘との会話もネットです。ネット上から娘が交流を持っていた人物や考えていること、悩み事を知ることになります。直接の会話は一度も出て来ません。ゴミ出しを注意するのもネット。遅くなる連絡もネット。妻が生きている頃はそんなことはありませんでした。妻の死後は直接向き合うのではなく、それぞれがネットに逃げてしまったのです。

 

最近でもネットで知り合った人間と接触して殺害されたとか、行方不明になったとかの事件のニュースが頻繁に流され、それを見る度になんともやりきれない気持ちになります。(たった今も行方不明だった女子大生が遺体で見つかったとのニュースが入ってきました。これもSNSで知り合った男に殺害された模様です。)

 

現代では親は子供の行動を把握できません。昔は家の固定電話しかありませんでしたから、まだ小さい子供の交友範囲は大雑把に把握していましたが、今ではそんなことは到底不可能でしょう。この映画の父親のように、SNSを見て初めて子供の知られざる一面を見て愕然とするのです。寂しい限りです。

 

まあ、こんなことを言っているのも、時代遅れの人間の戯言でしょう。ご勘弁願います。映像としての新しさは十分感じました。フェイスブックツィッター、インスタグラム、Line 、その他聞いたこともないようなSNSがいろいろ登場します。

えっ、ブログも広義のSNSですって? 失礼しました。

 

ラストでは事件後の父娘が一緒に写っている写真が映し出されます。最後の最後で救われます。

  


映画『search/サーチ』予告(10月26日公開)

 

 

それでは今日はこの辺で。