Flying Skynyrdのブログ

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映画『バハールの涙』を観る

昨日のキネ旬シアターは『バハールの涙』でした。

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監督:エヴァ・ユッソン

主演:ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコ

制作:2018年 フランス、ベルギー、ジョージア、スイス 日本公開 2019年

 

IS(イスラミック・ステート)に息子を奪われたクルド人の女性弁護士たちが銃を持って立ち上がり、戦いに挑んでいく姿をジャーナリストの目を通して描いた作品。これはISが少数民族のヤズディ教徒を襲撃した事件をモチーフにしているということです。

 

フランスの戦場ジャーナリストであるマチルドは同じく戦場ジャーナリストの夫をリビア紛争の取材で亡くし、自分も爆撃で片目を失明していました。娘をフランスに残し、PTSDに苛まれながらも取材のためにクルド人自治区にやってきています。

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そこでマチルドは女性たちだけの武装部隊「太陽の女たち」のリーダー、バハールに出会います。マチルドはバハールに自分の過去とジャーナリストとしての思いを語ります。その日からマチルドは部隊に張り付き取材を重ねます。バハールも次第に心を許すようになってきました。そして自分の身の上に起きたことを語り始めました。

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バハールは弁護士でした。故郷の自治区で夫と息子と3人で幸せに暮らしていました。ある日、この町がISに襲撃され、夫をはじめ男性は皆殺し、女・子供は奴隷として連れていかれました。そして息子は戦闘要員を育成するため連れていかれ、自身はISの幹部の性奴隷として売り飛ばされたのです。バハールの妹は耐えきれず自殺しました。

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やっとの思いで逃げ出したバハールは息子を取り戻す決意をします。同じ被害に遭った女性たちを集め、戦闘部隊「太陽の女たち」を結成したのです。やがて彼女たちは「女に殺された者は天国に行けない」という言葉を信じるISに恐れられる存在へとなり、部隊は奪還へと向かいます。そして犠牲者は出すものの無事息子たちを救出しました。

 

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この映画はISの非道さを知らされると同時に女性の母親としての強さを痛感させられた映画でした。子供のためならどんな犠牲も厭わない、その強さが男たちを恐怖に陥れるのです。

 

IS(イスラミック・ステート)と言えば、日本人ジャーナリストの後藤健二氏と湯川遥菜氏を惨殺した事件が記憶に新しいです。凄惨な殺害の画像や動画がネット上に流れました。しかし日本政府は救出しませんでした。できなかったのかもしれません。しかし結果的には「自己責任」という名のもとに日本人を見殺しにしたのも同然です。これもすでに世間では忘れ去られた出来事になっているのでしょう。

最近になって同じくシリアで拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が釈放されるという出来事がありましたが、再び「自己責任」論が復活してしまいました。しかし、このようなジャーナリストがいなければ世界の実態はわからないのです。

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映画の中で、バハールの教授だった女性代議士がテレビでISの捕虜になっている人たちに「あなたたちを必ず助け出す。希望を捨てないで待っていて欲しい。電話をかけるスキがあったら電話して来て」と危険を承知で呼びかけます。それを見たバハールたちは彼女に連絡を取り、助かったのです。日本政府とはえらい違いです。

 

ジャーナリストのマチルドにしても自分の命を顧みず、この実情を報道するためにあえて危険な場所に飛び込んで行くのです。このような人たちを「自己責任」だと簡単に切り捨てて良いものなのでしょうか。

 

もともとISが台頭してきた原因はイラク戦争にあります。アメリカがイラク大量破壊兵器を保持しているとの疑惑から仕掛けた戦争。結局大量破壊兵器は発見されませんでした。そして戦後、イラクの治安は悪化の一途をたどり、ISの勢力拡大に繋がりました。日本政府は何のためらいもなくアメリカに追随し、戦争に参加しました。アメリカと共にイラク戦争に参戦したイギリスは戦後の検証を行い、大量破壊兵器の情報は嘘だったことを暴いています。オランダにしてもしかりです。当事国のアメリカでさえそれを認めています。ところが日本はその検証さえ行わず、イラク戦争の正当性を主張しています。どこまでもアメリカ追随の姿勢です。

 

アメリカの言うことに異議を唱えることが許されていない現実を知ってか、北方領土問題でロシアが北方4島に米軍基地を作られるという懸念を表しましたが、日本がいくらそれを否定してもそれが信用されることはないでしょう。沖縄の実態を見れば明らかです。

 

中東の不安定さを招き、多くの犠牲者を出した責任の一環は日本政府にもあるのではないでしょうか。そんなことを、ふと考えてしまった映画でした。

 

イスラミック・ステートは表面上は壊滅したことになっていますが、残存兵は世界中に拡散しました。そしてシリアの紛争は未だに決着がつきません。中東の不安定さはますます増すばかりです。

 

映画とは直接関係ないことをいろいろと考えてしまい、全くまとまりのない文章になってしまいました。ご容赦願います。

 


映画『バハールの涙』予告編

 

 

それでは今日はこの辺で。