Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『それでも夜は明ける』を観る

昨日のキネ旬シアターはそれでも夜は明けるでした。

f:id:lynyrdburitto:20190326113552p:plain

 

監督:スティーヴ・マックイーン

主演:キウェテル・イジョフォーマイケル・ファスベンダーブラッド・ピット

制作:2013年 アメリカイギリス 2014年 日本公開

第86回アカデミー賞作品賞

 

原作は1853年発表の、1841年に誘拐され奴隷として売られた黒人ソロモン・ノーサップの奴隷体験記です。原題は『Twelve Years a Slave(奴隷として12年)』です。

 

f:id:lynyrdburitto:20190402122349p:plain

1841年、ソロモン・ノーサップは自由黒人(法的に奴隷ではない黒人)でバイオリン奏者として妻と子供2人と共に暮らしていました。

 

ある日、ソロモンは友人から紹介された2人組に金儲けができる周遊公演に参加しないかと誘われます。しかしこれは真っ赤な嘘で、3人で食事をした時にワインに薬を入れられ眠らされてしまいます。

 

気がつくと暗い部屋の中で手足を鎖に繋がれていました。そして他の奴隷と共に収容所に送られてしまいます。ソロモンは自由黒人だと主張しますが認められず、娘を連れた奴隷、エリザと共に農園主のフォードに売り渡されてしまいます。エリザは子供と引き離され泣いてばかりいたので、また他に売り飛ばされてしまいました。

 

f:id:lynyrdburitto:20190326132450p:plain

農園主のフォードは信仰心の強い温厚な人物でした。ソロモンは材木切りの仕事をさせられますが、フォードに材木の水運の提案をします。これが功を奏してフォードに目をかけられます。しかし、それを妬んだ奴隷の意地悪な監視役ディビッツに虐められます。ある時、ソロモンはディビッツからリンチを受け、それに逆らったため木に吊るされてしまいます。フォードが帰宅してようやく降ろされましたが、フォードはソロモンの身を案じ、資金面で世話になっている別な農園主エップスにソロモンを売ってしまいます。

「それでもよは明ける 画像」の画像検索結果

 

エップスは冷酷非情な男でした。仕事は綿花摘みです。収穫量が少ないと容赦なく鞭打ちです。ただ女性奴隷のパッツイだけは鞭打ちを受けませんでした。それは彼女が性的虐待を受けていたからでした。ソロモンは何とか耐えていました。

f:id:lynyrdburitto:20190326132416p:plain

 

ある日、農園にアームスバイという白人の奴隷がやってきました。彼はかつては監督官でしたが、不祥事を起こし奴隷に成り下がっていたのです。ソロモンは親身に話を聞いてくれるアームスバイを信用し、友人に手紙を書きアームスバイに託そうと考えました。そして手紙を渡そうとしたその日、アームスバイは裏切り、すべてをエップスに話してしまいました。しかし、幸いなことに手紙を渡していなかったので何とか難を逃れました。

 

その後も長い奴隷生活が続きました。ある日、カナダ人の大工のバスと知り合いました。彼は奴隷反対派でした。ソロモンは彼を信用し、すべてを話しました。そして友人に手紙を送るお願いをしました。

f:id:lynyrdburitto:20190326132606p:plain

 

数日後、保安官と友人がやって来ます。そしてとうとうソロモンは解放されました。帰り際、パッツイはソロモンを呼び止め、ソロモンは彼女をきつく抱きしめました。パッツイは悲しみに打ちひしがれました。

f:id:lynyrdburitto:20190326131927p:plain

12年ぶりに故郷に着いたソロモンを家族が待っていました。娘は結婚していました。ソロモンは家族に詫びますが、妻は「あなたは何も悪くない」と言います。

 

ソロモンは誘拐した者たちを告訴しようとしましたが、当時は白人が被告の裁判に黒人が証人として出廷することが出来なかったため、彼らは罪には問われませんでした。その後、ソロモンはその後『奴隷廃止論者』として活動しました。

 

観ているのも辛い映画でした。特に、奴隷に対する虐待シーンは目を覆いたくなります。

「それでも夜は明ける 画像」の画像検索結果

 

このような人種差別の歴史を経て、現在のアメリカがあるのだな、とつくずく思わされました。しかし、この人種差別は決して終わってはいません。最近のアメリカは、特に現大統領になってから、その傾向が顕著です。

 

差別はいつの時代になってもなくならないのでしょうか。人種差別、民族差別、性差別、学歴差別、障害者差別、職業差別、部落差別・・・。人間皆平等などと言うのは単なる幻想なのでしょうか。どの国でも保守傾向が強くなってきている昨今ですが、人類はいつまでたっても同じ過ちを繰り返す動物なのでしょう。

 

私自身、辛い時や苦しい時には念仏のように「明けない夜はない」と唱えていたものでした。そうです、「それでも夜は明ける」のです。

 


映画『それでも夜は明ける』予告編

 

 

それでは今日はこの辺で。