Flying Skynyrdのブログ

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『マイク・フィニガン(Mike Finnigan)』と仲間たち

マイク・フィニガン(Mike Finnigan)の名前を初めて見たのはジミ・ヘンドリックスのアルバム『Electric Ladyland』だったでしょうか。アディショナル・ミュージシャンとしてトラフィックスティーヴ・ウィンウッドやクリス・ウッド、それからアル・クーパーやバディ・マイルス、ジェファーソン・エアプレインのジャック・キャシディなど錚々たるメンバーの中に、キーボード奏者でマイク・フィニガンという聞きなれない名前を見つけました。

 

そてからしばらくして1974年にデイブ・メイソン(Dave Mason)の6枚目のアルバム『Dave Mason』で彼の名前を見つけました。以後、デイヴ・メイソンのレコーディングに参加しツアーも同行するようになりました。1977年のデイヴ・メイソンの初来日にも同行しました。この時初めて中野サンプラザで彼の姿を見ました。

 

この間、1976年にはファーストソロをリリースしました。タイトルはその名の通り『Mike Finnigan』です。

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ジャケットはいかにもカントリー風ですが中身はソウルティックなAORの奔りのようなサウンドです。ちょうどボズ・スキャッグスAORに変身したときのようです。ソウルフルなヴォーカルを聴かせます。

プロデュースはジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)でバックにはデビッド・フッド(David Hood,b)ロジャー・ホーキンス(Rodger Hawkins,ds)バリー・ベケット(Barry Beckett,key)ジミー・ジョンソン(Jimmy Johnson,g)ピート・カー(Pete Carr,g)などのマッスルショールズのミュージシャンが参加しています。さらにエイモス・ギャレット(Amos Garrett,g)マリア・マルダー(Maria Muldaur,vo)まで参加しています。

アラン・トゥーサンジョン・セバスチャンジェシ・ウィンチェスターの曲を取り上げています。さらにビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い」を感情たっぷりに歌い上げています。

 

さらにこの後、1978年にはセカンドアルバム『Black & White』を発表します。

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たった2年でジャケットまで都会風になりました。

実はここに特別参加しているメンバーはジェラルド・ジョンソン(Gerald Johnson,b)リック・ジェイガー(Rick Jaeger,ds)、そしてジム・クリューガー(JIm Krueger,g)というデイヴ・メイソンのバックバンドで一緒だった連中です。おまけに当のデイブ・メイソンまで参加しています。さらにレス・デューデック(Les Dudek,g)が参加していることを見逃せません。

ますますソウルフルなヴォーカルでポップなAORミュージックに磨きがかかりました。中には絶品のバラードも含まれています。

 

そして同じ年に、仲間であるジム・クリューガーがソロアルバムを発表します。

『 Sweet Salvation』です。

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ジム・クリューガーはデイヴ・メイソン・バンドでギターを弾いていましたが、来日公演の時にはデイヴ・メイソンのギターを期待していたのに何でギタリストが入っているだと訝しがりますたが、彼のギタープレイを見て納得しました。もちろんデイヴ・メイソンのギターソロも期待どうりでした。

そんな彼のソロアルバムにもマイク・フィニガンは参加しています。またドラムスはリック・ジェイガーです。プロデュースはマイケル・オマーティン(Michael Omartian)です。

ウェストコースト・サウンドからジャズやポップスのようなものまでが詰まったバラエティに富んだアルバムです。

 

そして先ほどマイク・フィニガンのセカンドで顔を出したレス・デューデックがやはり1978年に3枚目のアルバム『Ghost Town Parade』を発表しています。

 

レス・デューデックはオールマン・ブラザース、スティーヴ・ミラーやボズ・スキャッグスのアルバムにギタリストとして参加し頭角を現してきました。

そしてこの3枚目のアルバムにはマイク・フィニガン、ジム・クリューガーが参加しました。このレス・デューデックは才能あふれたギタリストです。ブルースを基調としたファンキーなサザンロックという感じでしょうか。

 

こうしてこの3人はとうとう新たなバンドを結成しました。3人の頭文字をとってThe DFK Bandです。正式には『The DUDEK, FINNIGAN, KRUEGER BAND』です。

そして1980年にデビューアルバムを発表します。

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ジム・クリューガーとレス・デューデックのアルバムにも参加していたマックス・グロネンタール(Max Gronenthal,key)も参加していることで、ツイン・ギター、ツイン・キーボードで迫力のあるサウンドが聴かれます。

1980年になるとウェストコーストサウンドもかなり様変わりしてきたのが分かります。ファンキーで、それまでのスカスカしたサウンドからぎっしり詰まったサウンドに変わりつつあります。今聴いても古臭さを感じない、よくできたアルバムです。

 

しかし、結局この1枚を残してバンドは解体してしまいます。

 

その後レス・デューデックはソロアルバムを出す一方、スティーヴ・ミラーやマリア・マルダー、スティーヴィー・ニックスデイヴ・メイソンのレコーディングに参加します。

ジム・クリューガーは同じくデイブ・メイソンやジム・キャパルディのレコーディングに参加したりします。

マイク・フィニガンはデイブ・メイソン、CS&Nなどのレコーディングやファントム・ブルース・バンドのメンバーにもなっています。

 

当時、デイブ・メイソンのライヴで観た2人がそれぞれ同時期にソロアルバムを出したという、なにか因縁みたいなものを感じてレコードを買いました。そこにレス・デューデックが加わるという、スティーヴ・ミラーファンでもあった私としてはこのDFKバンドも当然買わざるを得ませんでした。買って正解でしたが、1枚のみというのはちょっと寂しいものが有りました。

 


Mike Finnigan - New York State Of Mine


MIKE FINNIGAN - I COULD NEVER LEAVE YOU


DFK Band Angels fall


DFK BAND - It's All About You (1980 WESTCOAST AOR)

 

それでは今日はこの辺で。