1977年、レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)はヴォーカリストのロニー・ヴァン・ザントとギタリストのスティーヴ・ゲインズ、そして彼の姉でバッキングヴォーカルのキャシー・ゲインズを飛行機事故で失い、悲しみの中、解散しました。
中野サンプラザでの来日公演時の残像がいまだ消えていない10月のことでした。
それから3年後の1980年、ようやくレーナードの魂は動き出しました。残されたメンバーのアレン、ゲイリー、ビリー、レオンの4人が新たに3人を加え、バンドを結成しました。
ゲイリー・ロッシントン(Gary Rossington,g)
アレン・コリンズ(Alen Collins,g)
ビリー・パウエル(Billy Powell,key)
レオン・ウィルクソン(Leon Wilkeson,b)
バリー・ハーウッド(Barry Harwood,g,vo)
デレク・ヘス(Derek Hess,ds)
デイル・クランツ(Dale Krantz,vo)
以上のメンバーで再出発となりました。
バリー・ハーウッドはゲイリーとアレンとともにトリプル・ギターの一翼を担います。メラニーやロボなどのバックを務め、レーナードのアルバムにもセッションマンとして参加していました。
デレク・ヘスもバリーと同じバンドでドラムを叩いていたメンバーです。
そして紅一点、ヴォーカリストのデイル・クランツはレオン・ラッセルやロニー・ヴァン・ザントの弟、ドニー・ヴァン・ザントが結成したバンドで、レーナード・スキナードの弟分的なバンドといわれた『38スペシャル』のバック・ヴォーカルを務めていました。ゲイリーとアレンに口説かれバンド入りしました。
こうしてロッシントン・コリンズ・バンドが結成され、ファーストアルバム『Anytime,Anyplace Anywhere』がリリースされます。
「レーナードが帰ってきた!」という謳い文句とともに、レコードは売れました。
オールマン・ブラザースやレーナード・スキナードの解散で落ち込み気味だったサザンロックが息を吹き返したようでした。
バックの演奏陣はトリプル・ギターでレーナード・スキナードを彷彿とさせ、しかし紅一点ヴォーカリスト、デイル・クランツのジャニス・ジョプリンばりのヴォーカルは新たな息吹を与えました。彼女は全9曲中8曲で曲作りに参加しました。後にゲイリー・ロッシントンと結婚します。
勢いに乗ったバンドは翌年セカンドアルバム『This Is The Way』を発表します。
前作はビルボードの13位を記録し、ゴールドディスクを獲得しました。
今作もビルボードで24位と好成績を上げました。
「これが我が道」と言わんばかりに、ジャケットもドアから一直線に道が続いています。
このアルバムは前作がどうしてもレーナード・スキナードの影を追いかけているように捉えられてしまうところがありましたが、今作はロッシントン・コリンズ・バンドとして、レーナードの呪縛から解放されたようなサウンドになっています。デイル・クランツのヴォーカルは一段と凄みを増し、迫力満点です。
パンク、ニューウェイヴ、オルタナティヴなんのその、南部の魂は生きていました。
しかし、このロッシントン・コリンズ・バンドはその後解散します。アレン・コリンズは1980年に妻を亡くし、1983年にアレン・コリンズ・バンド名義でアルバムを発表しました。『Here, There, and Back』です。
しかし、アレン・コリンズは1986年に交通事故に遭い、半身不随となり、1990年37歳で亡くなりました。
このアルバムにはゲイリーとデイルを除くバンドのメンバーが参加しています。
一方、ゲイリー・ロッシントンはデイル・クランツと共にロッシントン・バンドを作りアルバム『Returned to the Scene of the Crime』を発表します。
また、途中加入のドラマー、アーティマス・パイルも自身のバンドを結成し、アルバムをリリースしています。
1987年にはロニー・ヴァン・ザントの末弟ジョニー・ヴァン・ザント(Johnny Van Zant)がレーナード・スキナードを再結成します。ここにはゲイリー、ビリー、レオンの他に初期のメンバーで後にブラックフットを結成したリッキー・メドロック(Rickey Medlocke)も帰ってきました。
その後も活動を継続し2018年の1月にフェアウェル・ツアーと名を打って、最後のツアーを行いましたが、解散の表明はありません。
メンバーのビリー・パウエルは2009年に、2016年には初期メンバーのボブ・パウエルが、そして2018年にはこれも初期メンバーのエド・キングがそれぞれ亡くなっています。
ゲイリー・ロッシントンはロッシントン・バンドで今も活動中です。
こうして悲劇が起きて約40年、レーナード・スキナードの魂は脈々と生き続けています。トリビュート・アルバムもリリースされています。
Rossington-Collins Band - Don't Misunderstand Me
Rossington-Collins Band - One Good Man
ROSSINGTON-COLLINS BAND • Tashauna
Rossington Collins Band- Seems Like Everyday
それでは今日はこの辺で。