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映画『天才作家の妻 40年目の真実』を観る

今日のキネ旬シアターは『天才作家の妻 40年目の真実』でした。

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監督:ビョルン・ルンゲ

主演:グレン・クローズジョナサン・プライス

製作:2018年 スウェーデン、イギリス、アメリカ 2019年 日本公開

 

ノーベル賞受賞作家と彼を支える妻の隠された秘密とは・・・。

 

例によってネタバレです。ご容赦願います。

 

アメリカの現代文学の巨匠として名高いジョゼフ・キャッスルマンとその妻ジョーンはまだ眠りの中、一本の電話で起こされます。スウェーデンノーベル賞の委員会からノーベル賞に決定したとの電話でした。二人は大喜びです。息子、娘、友人らを交えてのパーティーも開きました。スピーチでは妻に対し感謝の意を表し、誰が見てもおしどり夫婦でした。

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ストックホルムでの授賞式に出席するために二人は息子と共に飛行機に乗り込みます。機内で記者のナサニエルが近づいてきます。ジョゼフは煩がって追い返しますが、ジョーンがそれを諫めます。ストックホルムのホテルにチェックインすると、ナサニエルもいました。彼はジョゼフの伝記本を書くつもりで、二人の過去を調べていたのです。

 

(回想)

ジョゼフとジョーンは1958年、ジョーンが小説家志望の女子大学生の時に知り合いました。ジョゼフは教授でした。彼は妻子持ちでしたが、家庭はあまり上手くいっておらず、ジョーンの才能を認め女性としても好意を抱きました。ジョーンはジョゼフに作家になりたいと告げますが、ジョゼフから紹介された女性作家から、「男社会の中で女性には作家は無理よ」とあっさり言われてしまい、小説家になる夢を諦めます。

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ストックホルムではジョゼフは興奮気味で、ジョーンは食傷気味でした。ジョゼフはジョーンを授賞式のリハーサルに誘いますが、ジョーンは断り、ストックホルムの街へ出かけます。そこでナサニエルに声をかけられます。ナサニエルは彼女をバーに誘い、話し込みました。ジョーンは昔のことを話し始めました。ナサニエルはジョゼフの作風がジョーンと結婚してから変わったことを指摘します。そしてジョーンがジョゼフの影の存在であることにうんざりしているのでは?、と問いかけます。ジョーンは「たいした想像力ね」と言って立ち去ります。

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リハーサルに出席していたジョゼフは気分が悪くなり部屋で休んでいると、付き人役の女性写真家も付いています。彼はこの写真家に好意を持っており、口説いたのです。それに気づいていたジョーンとの間で喧嘩になりました。二人は激しくい口論になりますが、そこに娘から電話があり、孫が生まれたと云う知らせでした。二人は大喜びで仲直りしました。

 

受賞式当日、二人は息子が来るのを待っていました。息子も作家志望ですが、父親はその才能を認めていませんでした。遅れてやってきた息子はマリファナを吸っていました。ジョゼフは激怒しました。自分の晴れの舞台をぶち壊すのかと。しかし、息子はナサニエルに母親がジョゼフのゴーストライターだと告げられていたのでした。ジョーンはそんな話は信用するなと言います。しかし、息子には思い当たる節があったのです。

 

(回想)

1960年、ジョーンが出版社に勤めていた時、編集者たちがユダヤ人の新人作家を探していると、ジョーンはジョゼフを紹介しました。ジョゼフは早速小説を書きましたが、全くひどいものでした。そのことを正直に話すと、ジョゼフは怒りだし別れを告げました。ジョーンは自分が書き直すから、私を捨てないでと懇願します。そして小説は見事に出版され大好評でした。それ以来ジョーンのゴーストライター生活が始まったのです。そして二人は結婚し、やがて子供も出来ましたが、子供にはひた隠しにしてきました。

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授賞式ではジョゼフが「この賞は二人で獲ったようなものだ」とジョーンへの感謝を述べますが、ジョーンは会場を後にします。ジョゼフは慌てて追いかけます。車中での口論、そして部屋に帰ってからも喧嘩は続き、ジョーンはとうとう「離婚する」と言い出し、過去の出来事などについて激しく言い争います。そしてジョーンが荷造りを始めると、ジョゼフは突然倒れてしまいます。動けなくなったジョゼフが「私を愛しているか?」と聞きます。ジョーンは「愛している」と答えます。ジョゼフは「お前は嘘つきだ、本心がわからない」と言ったまま、亡くなってしまいます。

 

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帰りの飛行機の中、ナサニエルがジョーンに面会します。ジョーンは「伝記本を出版してもよいが、評判を傷つけるようなら告訴する」と言います。ジョーンは息子に帰ったら本当のことをすべて話すと言います。

 

 


映画『天才作家の妻-40年目の真実-』予告編

 

40年を経過した夫婦。妻は「影」の立場で40年間もの間、小説家としての才能もない夫を支えてきました。自分には才能があるが、当時の社会情勢として女性では小説家で生きることは困難との判断から夢を諦め、夫にその夢を託しました。

夫は妻の才能に嫉妬しながらも我慢し、そのはけ口を食欲と性欲に求めていました。妻は何度も何度も浮気され、その苦しみを小説にしていたのです。それでも夫婦を続けてきたのには打算もあったのでしょう。しかし、その我慢も限界に近づきました。夫は盛んに妻への感謝を表しますが、パーティーでの席上、夫の「妻は小説は書かない」という言葉に、とうとう切れてしまいした。「本来なら自分がノーベル賞作家だ」という悔しさと、浮気を繰り返される惨めさで離婚を決意しました。

夫の死に際の質問に対する彼女の答えは、果たして本心だったのでしょうか。妻の反乱が夫の死を早めたも同然です。ラストの妻の微笑みが不気味でした。いやはや夫婦というものは摩訶不思議なものです。

 

それでは今日はこの辺で。