プロコル・ハルムの「青い影」が大ヒットしてから、約3年後、プロコル・ハルムのサードアルバム『A Salty Dog』をリリース後にオルガニストのマシュー・フィッシャー(Matthew Fisher)はバンドを去ります。ファーストアルバム『Procol Harum』の「青い影」のオルガンやアルバム中唯一ゲイリー・ブルッカーとキース・リード以外の作品「Repent Walpurgis」を書いたマシュー・フィッシャーの存在はプロコル・ハルムにとって欠かせない存在になっていました。特に『A Salty Dog』においての彼のソングライティングの影響力は大きくなっていました。
しかし、マシュー・フィッシャーはあえてバンドを去りました。そこには「青い影」のクレジットに関する問題もあったようですが、それ以後、同じくプロコル・ハルムを去ることになったロビン・トロワーのソロアルバムのプロデュースを担い、そして1973年にファーストソロアルバム『Jouney's End(旅の終わり)』をリリースしました。プロコル・ハルムを旅立ってから約3年。もう旅は終わったとばかりに新たな出発をしました。
ここではベース、ドラムス以外はキーボードからギター、パーカッション、ヴォーカルまでをこなすマルチプレイヤーぶりを発揮しています。そしてプロデュースも自身で行っています。
待ちに待ったソロアルバム。果たしてプロコルの影からは脱却できたのか。いや、やはりプロコル・ハルムです。逆にマシュー・フィッシャーそのものがプロコル・ハルムだったのです。哀愁漂うオルガンとヴォーカルがどうしてもプロコル・ハルムを思い起こしてしまいます。もちろんインストナンバーもあります。「Separation」という曲などは、まさに「青い影」のオルガンです。
そして続く1974年にセカンドアルバム『I'll Be There』をリリースします。
ここでもベース、ドラムス以外の楽器とヴォーカル、プロデュースを自身でこなしています。
出だしはややハードなロックが聴かれますが、あとはいつものようにマシュー・フィッシャーの世界に引きずり込まれます。
彼のアルバムは、発売されたころはちょっと物足りなさを感じましたが、改めて聴き直してみると、ポップスとロックとちょっとクラシックという彼の独特の世界がたまらなくなります。
その後1980年に『Matthew Fisher』、1981年に『Strange Days』をそれぞれリリースします。
その後、1991年のプロコル・ハルムの再結成に参加し、アルバム『The Prodigal Stranger』と2003年の『The Well's on Fire』をリリースしています。
2004年には再びバンドを離れ、現在はコンピューターのプログラマーになっているようです。詳しいことは判りません。
それから2009年には「青い影」の著作権についても一部認められたようです。ようやく「青い影」からの旅立ちは終わったようです。
Matthew Fisher - Journey's End (Parts 1 & 2)
Matthew Fisher - It's Not Too Late (1974) [cd sound]
Matthew Fisher - Hard to be Sure
それでは今日はこの辺で。