今日のキネ旬シアターは『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』でした。
監督:ダニエル・ローゼンフェルド
主演:アストル・ピアソラ
制作:2017年 フランス・アルゼンチン 2018年 日本公開
アルゼンチン・タンゴの作曲家、バンドネオン奏者であるアストル・ピアソラのドキュメンタリー映画です。
恥ずかしながらピアソラについてはほとんど知りませんでした。従って逆に新鮮に観ることが出来ました。
伝統的なアルゼンチン・タンゴの信奉者やマスコミからの避難にめげず、ジャズやクラシックとの融合を目指し、新たなタンゴの世界を作り上げた人物の貴重な記録でした。
伝記を書いた娘も既にこの世を去っています。その娘とたった一人になった肉親である息子のダニエルが父親の知られていない真実を語ります。
ピアソラという人物は相当に破天荒な人生を送って来たようです。また、そうでなければタンゴ界の批判を無視して、自分の思い通りの音楽を追求することは出来なかったでしょう。家族との不和もありながら、それでも我が道を推し通したという人生はあっぱれでした。こういう人がいないと革命は起きないのです。そのお陰でタンゴも大きな変革を遂げたのです。
晩年は脳溢血で倒れ、手足が不自由になりました。1992年、71歳で亡くなりました。
バンドネオンという楽器が10kgもするとは思いませんでした。本人が言うようにバンドネオンの演奏は体力勝負だというのも頷けます。その演奏力にも惚れ惚れします。
本格的なタンゴというものをしみじみ聴いたことはありませんが、その哀愁漂うメロディとバンドネオンの切ない音色は嫌いではありません。むしろ日本人好みなのでしょう。そういえばあがた森魚のアルバムで少し経験したような。
ジャズとの融合の場面では、ジェリー・マリガンとの競演も映像に残っていました。それにしてもプライベート・フィルムの数のなんと多いことか。それと、娘が伝記を書くために録音しておいたインタビューが貴重な記録となりました。
タンゴに全く興味がない人にとっては退屈な映画だったかもしれませんが、一人の芸術家の生きざまを観られたという意味ではその価値はありました。
それでは今日はこの辺で。