今日の「聴き比べ」は『受験生ブルース』です。
またしても高石友也先生登場です。1968年に大ヒットしました。当時はフォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」が大流行で、この「受験生ブルース」がラジオから流れてきた時には、「帰って来たヨッパライ」同様大笑いでした。このあたりから関西フォーク、アングラフォークというものが流行り出したのです。コミカルなこれらの歌に続いて「ケメコの歌」などのグループサウンズによるコミックソングが流行ったのもこの頃でした。
実はこの『受験生ブルース』は中川五郎先生がボブ・ディランの3枚目のアルバム『時代は変わる』に収められていた「ノース・カントリー・ブルース(North Country Blues)」の替え歌として歌っていたのが始まりでした。
中川バージョンは曲はディランの曲そのままです。
これを聴いた高石友也先生が、このままではちょっと重苦しいと思い、コミカルな曲を付けて発売しました。そして大ヒットしました。
受験生ブルース
作詞:中川五郎
作曲:高石友也
おいで皆さん聞いとくれ
僕は悲しい受験生
砂をかむようなあじけない
僕の話を聞いとくれ
朝はねむいのに起こされて
朝めし食べずに学校へ
1時間目が終わったら
無心に弁当食べるのよ
昼は悲しや公園へ
行けばアベックばっかりで
恋しちゃならない受験生
やけのやんぱち石投げた
夜は悲しや受験生
テレビもたまには見たいもの
深夜映画もがまんして
ラジオ講座を聞いてるよ
<セリフ>
今晩は英文法。テキストは58ページを開いてください。
それではコガラシユウジロウ先生、お願い致します。
テスト終われば友達に
全然あかんと答えとき
相手に優越感与えておいて
後でショックを与えるさ
かあちゃんも俺を激励する
一流の大学はいらねば
あたしゃ近所の皆様に
あわせる顔がないのよ
ひとよ ひとよに ひとみごろ
ふじさんろくに オームなく
サイン コサイン なんになる
俺らにゃ俺らの夢がある
<セリフ>
アドリブを一発
マージャン狂いの大学生
どろぼうやってる大学生
8年も行ってる大学生
どこがいいのか大学生
<セリフ>
結論でございます
大事な青春無駄にして
紙切れ一枚に身を託す
まるで河原の枯れすすき
こんな受験生に誰がした
<セリフ>
附録もついてるよ
勉強ちっともしないで
こんな唄ばっかり歌ってるから
来年はきっと歌ってるだろう
予備校のブルースを
詩もかなり手を加えました。ここに載せたのはシングル盤用のものです。もっともこの曲はライブ毎に色々変わりますので、決まった詩というものは無いも同然です。面白い歌詞がいっぱいありました。
このライブも中途半端で物足りないです。
中川五郎先生はしばらくは自分のメロディーで歌っていましたが、最近は高石バージョンで歌っているようです。
高石友也先生が中川バージョンを歌っている珍しい映像を見つけました。
この二人のコンビにはもう一つ『主婦のブルース』という曲があります。この曲はアイルランド民謡に中川五郎先生が詩を付けたものです。さすがに今の時代にこのような主婦はなかなか見当たらないかもしれませんが、昔はこれが女性の当たり前の姿だったのかもしれません。自分の周りを見てもこのような主婦が多かったような気がします。中川五郎先生は、この時の年齢(多分十代)でこんな詩を書けるとは恐れ入ります。まさに当時の時代風刺でした。
それでは今日はこの辺で。