Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

映画『ガーンジー島の読書会の秘密』を観る

昨日のキネ旬シアターはガーンジー島の読書会の秘密』でした。

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監督:マイク・ニューウェル

主演:リリー・ジェイムズ、マイケル・ユイスマン、グレン・パウウェル

制作:2018年 イギリス、フランス 2019年 日本公開

 

同名の原作本の映画化です。作者はメアリー・アン・シェイファーとアニー・バロウズです。

ガーンジー島とはイギリス海峡チャンネル諸島の中の一つの島です。イギリス王室属領ですが自治権を持っており、イギリス連合王国には含まれません。首都もあります。第二次世界大戦中、島はドイツの占領下にありました。

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戦後、1946年、イギリスの女流作家ジュリエットの元に「ガーンジー島の読書のポテトピールパイ会」のドーシー・アダムスという男性から手紙が届きます。内容はガーンジー島出身の作家の本を手に入れたいのだがロンドンの本屋を教えて欲しいというものでした。これをきっかけに二人は文通を始め、ジュリエットはガーンジー島やその読書会に興味を持ち、記事にしようと訪れることにしました。

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島に到着すると、メンバー達から温かく迎えられました。この読書会はドイツに占領されている時にエリザベスという女性が発足したもので、占領下の中で読書をし、語り合うことが唯一の楽しみだったことを知り、是非このことを記事にしたいとメンバーに申し出ました。しかしメンバーはいい返事をしませんでした。とくにアメリアという老婦人は頑なに反対しました。さらに創始者のエリザベスに会いたいというと、今は無理との返事でした。

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ジュリエットは何か秘密があるのではないかと思い、島への滞在を伸ばしました。読書会の日、ドーシーをパパと呼ぶ女の子キットが実はエリザベスの娘だということが分かりました。ドーシーはキットの後見人でした。

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エリザベスについて調べることにしました。エリザベスは戦時中に拘束されドイツに送られてしまったことを知りました。ジュリエットはエリート軍人の婚約者、マークにエリザベスの行方を捜して欲しいと依頼しました。

 

ジュリエットは読書会に参加するうちに、婚約者があるにもかかわらずドーシーに惹かれていきました。そしてドーシーからエリザベスの秘密を聞かされたのです。キットの父親はドイツ人のクリスチャン・ヘルマンという医師で、島でドーシーの友人となった人物でした。エリザベスは病院で働くうちに医師のクリスチャンと許されない恋に落ち、身ごもりました。エリザベスは島の人達からも白い眼を向けられるのでした。アメリアは自分の娘がナチスに殺されたことから、娘の親友だったエリザベスがドイツ人と付き合うのが許せなかったのです。このことが後にアメリアの深い後悔に繋がるのです。

 

しかし、クリスチャンは宿舎から外出したということでドイツ軍に連れ去られ、途中で船が沈没し死んでしまいます。エリザベスは一人でキットを育てます。ある日、強制労働させられ、弱っていた一人の男の子を助けるために エリザベスは反対するドーシーにキットを預けてそのまま病院へ行きましたが、兵士に見つかり、少年は射殺、エリザベスは連行されました。

 

婚約者のマークがエリザベスの消息を持って島にやってきました。マークはなかなか帰ってこないジュリエットにしびれを切らしてやってきたのです。正義感あふれるエリザベスはドイツの牢獄で虐待を受けている少女を助けようとして射殺されたのでした。ジュリエットは読書会のメンバーにこのことを知らせ悲しみの中、島を去りました。

 

ロンドンに帰ったジュリエットはメンバー達との約束から読書会のことも書けず、またドーシーへの思いも断ち切れず悶々とした日々を送ります。そしてパーティーでは婚約指輪をマークに返して別れを告げました。そして気持ちを新たに読書会のことは書かないという約束を破って執筆に励み、書き終わると、約束を破った謝罪と共に原稿を読書会宛に送りました。その謝罪文を読んだドーシーはすぐさまロンドンに向かいました。

 

同じころジュリエットはドーシーに会うために島へ向かう船に乗り込んだところ、降りてくるドーシーを見かけ呼び止めました。二人は気持ちを確かめ合い、結ばれ、ガーンジー島でキットと3人で穏やかな日々を送るのでした。

 

あらすじだけ書くとなんともベタな恋愛映画のようですが、実際にガーンジー島という残念ながら今まで知らなかった島で戦時中何が起こっていたのかということを知ることが出来ました。新たな発見でした。ナチス占領政策は日本軍が行ってきたそれと似たようなものだったのでしょう。

 

この読書会は、もともと読書好きが会を作ったわけではなく、気の合う連中が、外出禁止の中でもおしゃべりができるようにと作った会でした。というのも、ナチスドイツは読書会という集まりならば許可するというお達しがあったのです。そこでエリザベス以下5人は急遽読書会を作って「読書のポテトピールパイ会」を登録したのです。これがきっかけでメンバーは本当の読書好きになりました。このメンバー達の読書会の場面などは本当に本好きなのだな、ということが伝わってきます。

 

戦時中に両親を亡くしたジュリエットが金銭目的に手放した書籍が廻りまわって、ガーンジー島の読書会のメンバーに手渡され、そして再びその本がジュリエットを島に呼び寄せたのです。ジュリエットは読書会のメンバー達の人間性に触れて、自分の居場所を発見したのでしょう。それは金持ちの婚約者との華やかな社交界での生活が自分の住む場所ではないと気付いたのです。そして婚約者に別れを告げ、婚約者はあっさりと了解します。エリート特有のプライドです。所詮その程度だったのです。

そして読書会のことを書いてしまったことについての謝罪文がドーシーを呼び寄せたのです。

 

本の力というものは計り知れません。私自身、長い人生を振り返っても、節目節目で本に助けられたことが多くありました。暗い世情の中でも本だけが読書会のメンバーを救ったのです。その本が規制を受けるような世の中になってはいけないのです。

 

年齢のせいか、涙もろくていけません。

 

ガーンジー島の美しさには目を見張りました。

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『ガーンジー島の読書会の秘密』予告編

 

それでは今日はこの辺で。