Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

高倉 健『網走番外地』の歌詞は

高倉 健さんの大出世作網走番外地の主題歌はレコードになっているものでも2通りあるようです。

 

映画網走番外地は1965年に第1作が公開されました。監督は鬼才・石井輝男でした。それまでの健さん東映でも多くの作品に出演していましたが今一つパットしませんでした。石井輝男アメリカ映画の『手錠のままの脱獄』をヒントに脚本を書き、健さんを主役に抜擢しました。この映画でも手錠のまま脱獄し、列車で手錠を切断するシーンは圧巻でした。

しかし、東映側もさしてヒットするとも思えず、白黒映画で併映という扱いをしました。ところが封切すると大変な人気を呼び、シリーズ化されていったのです。『日本侠客伝』『昭和残侠伝』と並んで東映時代の健さんの代表作となりました。

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この映画の主題歌も健さんが歌いました。これは石井輝男監督が健さんを説得して歌ってもらったようです。この歌の原曲は1931年に橋本国彦が作曲し、市橋一宏が作詞した「レビューの踊り子」という歌でした(ウィキペディアより)。それが一部の人達の愛唱歌になっていったようで、歌詞は替え歌が多く存在しました。

この歌が最初に映画で歌われたのは、やはり石井輝男監督の『顔役』三田佳子が歌ったようです。そして映画『網走番外地』ではタカオ・カンペという人が替え歌をつくり健さんが歌いました。

 

ところがこの歌詞が反社会的であるとして放送禁止になってしましました。その詩がこれです。

 

網走番外地

原詞:伊藤一

替え歌:タカオ・カンベ

編曲:山田栄一

 

春に春に追われし花も散る 

酒(きす)ひけ酒ひけ酒暮(きすぐ)れて 

どうせ俺らの行く先は

その名も網走番外地

 

キラリキラリ光った流れ星 

燃えるこの身は北の果て 

姓は誰々 名は誰々 

その名も網走番外地

 

 

遙か遙か彼方にゃオホーツク 

紅い真っ紅なハマナス

海を見てます泣いてます 

その名も網走番外地

 

追われ追われこの身を故里で 

かばってくれた可愛(まぶ)い娘(スケ)

かけてやりたや優言葉(やさ) 

今の俺らじゃままならぬ

 


網走番外地(放送禁止版)・高倉健

 

酒を「きす」というのはヤクザが使う隠語だそうです。「きすひけ」というのは「酒を飲む」、「きすぐれて」は「一日中酒を飲む」という意味です。このような表現が日本民間放送連盟の規則に触れたのかもしれません。

 

そして、その後別な詩も生まれます。

 

馬鹿を馬鹿を承知のこの稼業 

赤い夕陽に背を向けて 

無理に笑った渡り鳥 

その名も網走番外地

 

キラリキラリ流れた一つ星 

どうせどこかで消える奴 

グレたおいらの身の果てを 

泣いてくれるはあの娘(こ)だけ

 

流れ流れこの身をふるさとの 

うるむ灯におふくろが 

消えて浮かんでまた消えた 

その名も網走番外地

 

呼んで呼んでみたとて最果ての 

遠い海鳴り風の音 

せめて真っ赤に燃えて咲く 

花になりたやハマナス

 


高倉健「網走番外地」

 

さらにこんな歌詞もあります。

 

別の歌詞では

 

凍り凍りつくよな星影に

誰が描いたのか片隅の

壁に涙の詫び文句

あても名前も書いてない

 

ひとりひとり暮らしのお袋に

極道かさねた罰当たり

済まぬ済まぬと手をついて

涙で祈る番外地

 

人里人里離れた檻の中

この世に地獄があろうとは

娑婆のねすこにゃわかるまい

知らなきゃ俺らが教えよか

 

この他にも替え歌が多く存在するようです。映画の中では詳しくは憶えていませんが、色々な歌詞が使われていたと思います。

 

学生時代、場末の映画館で東映映画を観に行くと必ず掛け声がかかりました。「純子!」「文太!」なかでも「健さん!」が一番多かったかもしれません。

やっぱりこの曲は健さんでなければなりません。

 

それでは今日はこの辺で。