Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ  『NHKに捧げる歌』

今日の「聴き比べ」は早川義夫さんのNHKに捧げる歌』です。

 

この曲は早川義夫さんがジャックスを解散して、最初にリリースしたアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』に収録された曲です。このアルバムにはあのサルビアの花』も収録されました。

このアルバムの後、岡林信康先生の『見るまえに跳べ』加川良などのプロデュースをした後、音楽界からは姿を消し、1972年には『早川書店』を開業。『ぼくは本屋のおやじさん』を出版。そして1994年にアルバム『この世で一番キレイなもの』でようやく音楽界にカムバックしました。

 

この曲もさすがに今聴くと時代の経過を感じさせますが、当時の時代背景が浮かんできます。こうした社会風刺歌がたくさんあった時代です。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

 

 

NHKに捧げる歌

作詞:柏倉 秀美

作曲:早川義夫

 

あゝ この広き国 日の本に

名高かきものは 富士の山

加えて 名高かき えぬ・えち・けい

多くの者に絵を送り

月々 戸口に あらわれて

とりたて歩くは 絵の代金

 

誰が言ったか 押し売りと

されど払わにゃなるまひと

渋々 さしだす その代金

 

おはなはんなら ありがたし

りょうま来たれば ありがたし

たびじあるのも ありがたし

 

色つき絵には高く取り

白黒絵には安く取る

されど もぐりの客めらは

金を払わず絵をながめ

お上はばいとを使いつつ

悪者をさぐり続けるなりけれ。

 


NHKに捧げる歌

 

この曲をその早川義夫プロデュースによる岡林信康先生の『見るまえに跳ぶ』でカバーされました。当時岡林先生が同棲していた女優の吉田日出子さんとのデュエットです。


岡林信康・吉田日出子/NHKに捧げる唄

 

 それでは今日はこの辺で。

 

 

この人の、この1枚『クライマックス・ブルース・バンド(Climax Blues Band)/プレイズ・オン(Plays On)』

今日の「この人の、この1枚」は引き続きクライマックス・ブルース・バンド(Climax Blues Band)です。彼らの2作目『プレイズ・オン(Plays On)』です。

 

前作後、リチャード・ジョーンズがバンドを抜けて5人編成となりました。

1969年、ファーストのリリース後間もなく、セカンド・アルバム『プレイズ・オン(Plays On)』がリリースされました。

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Side A

1.Flight

2.Hey Baby, Everything's Gonna Be Alright, Yeh Yeh Yeh

3.Cubano Chant

4.Little Girl

 

Side B

1.Mum's The Word

2.Twenty Past Two / Temptation Rag

3.So Many Roads, So Many Trains

4.City Ways

5.Crazy 'Bout My Baby

 

メンバーは

コリン・クーパー(Colin Cooper, vo, harmonica,sax)

ピート・ヘイコック(Peter Haycock ,g, vo)

デレク・ホルト(Derek Holt ,b)

アーサー・ウッド(Arthur Wood ,key)

ジョージ・ニューサム(George Newsome ,ds)

 

プロデュースはクリス・トーマス(Chris Thomas)です。

 

A3はレイ・ブライアント

A4はグラハム・ボンド。

B3はマーシャル・ポール。

他はバンド・メンバー。

 

いきなりジャズ全開です。これには驚きました。それもそのはず、メンバーの中にはジャズに対する造詣の深い者がいたからです。コリン・クーパーやアーサー・ウッドです。

A3はジャズ・ピアニストのレイ・ブライアントの曲です。

ジャズ・フィーリング たっぷりのアルバムですが、ブルースもしっかりやっています。好きなアルバムです。

 

この次はまたしても旧バンド名で、音楽性も変わります。それは次回ということで。

 


THE CLIMAX BLUES BAND - FLIGHT

 


Climax Chicago Blues Band - Hey Baby, Everything's Gonna Be Alright! Yeh Yeh


The Climax Blues Band - Cubano Chant (Remastered) [Soul Jazz - "Popcorn"] (1969)


Climax Chicago Blues Band - Twenty Past Two Temptation Rag

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ ジャックスの 『時計を止めて』

今日の「聴き比べ」はジャックス『時計を止めて』です。

 

ジャックスはこれまでにも何度か取り上げていますが、日本の伝説的なロック・バンドです。結成は1965年で、レコードデビューははっぴいえんどよりも早い1968年で、ちょうどアングラ・フォークのブームと重なり合った時期でした。前衛的でサイケデリックサウンドで当時はほとんど人気がありませんでしたが、後に日本のロックの草分けと再評価されました。

 

この曲は1968年に彼らがリリースした2枚目のシングル『マリアンヌ』のB面になった曲です。アルバムは同年の『ジャックスの世界』に収録されました。曲はメンバーの一人、水橋春夫によるものです。ジャックスの中でも異色の曲です。彼はアルバムリリース後に脱退、プロデューサーに転向しました。この翌年、バンドは解散します。早川義夫を中心に木田高介つのだひろも在籍した、まさに伝説のバンドでした。

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時計をとめて

作詞:水橋 春夫

作曲:水橋 春夫

 

二人が見つけたこの恋を

離したくないいつまでも

時計をとめて二人の為に

素敵な恋の中で

時計をとめて見つめていたい

瞳にうつる愛を

 

素敵な夢を二人がほしい

虹とかけるその日まで

時計をとめて二人の為に

素敵な恋の中でそおっと

 

素敵な夢を二人がほしい

虹とかけるその日まで

時計をとめて二人の為に

素敵な恋の中でそおっと

ルルル・・・

 


08 時計をとめて/ジャックス(69年)

 

カルメン・マキがカバーしました。映画「探偵はBARにいる」で使われたようです。


時計をとめて~カルメン・マキ~ Movie 時計をとめて二人の為に素敵な恋の中で

 

そして草間ルミです。1970年にシングルでリリースしました。その後は見かけません。


草間ルミ - 時計をとめて

 

 それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚『クライマックス・ブルース・バンド(Climax Blues Band)/The Climax Chicago Blues Band』

今日の「この人の、この1枚」はクライマックス・ブルース・バンド(Climax Blues Band)のファースト・アルバム『The Climax Chicago Blues Band』です。

 

このバンドも『ブルースロックの名手たち』で書き足りなかったバンドです。

lynyrdburitto.hatenablog.com

元々のバンド名は『The Climax Chicago Blues Band』(以下、クライマックス)といいました。ファースト・アルバムはこの旧バンド名、セカンドは新バンド名、そしてサード・アルバムはまた旧バンド名、そして4枚目以降は新バンド名と、なかなか込み入っています。これはアメリカのバンド、「シカゴ」と混同する恐れがあるのでその名前は使わないようにとの注意があったようです。おぼろげな記憶ですが。

 

このバンドは途中まではブルース・ロックを主体に活動していましたが、ある時期からロック、それもポップなロックへと移行していきます。アメリカでの人気が高まりました。ということで、ブルースの臭いが消える前まで辺りを書いてみようと思います。

 

クライマックスは1968年にイギリス。スタッフォードで結成されました。メンバーは

コリン・クーパー(Colin Cooper, vo, harmonica)

ピート・ヘイコック(Peter Haycock ,g, vo)

デレク・ホルト(Derek Holt ,g, organ, b)

アーサー・ウッド(Arthur Wood ,key)

リチャード・ジョーンズ(Richard Jones ,b)

ジョージ・ニューサム(George Newsome ,ds)

の6人でした。

 

中心メンバーのコリン・クーパーとピート・ヘイコックはゴスペル・トゥルースというバンドで一緒に活動していました。そこにはアーサー・ウッドもジョージ・ミューサムもいました。

1968年、彼らはバンド名を『The Climax Chicago Blues Band』にして活動をじゃじめました。そして1969年にファースト・アルバム『The Climax Chicago Blues Band』でデビューを飾りました。

日本盤のタイトルは『シカゴ・ブルースへの接近』でした。

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Side A

1.Mean Old World

2.Insurance

3.Going Down This Road

4.You've Been Drinking

5.Don't Start Me Talkin'

6.Wee Baby Blues

 

Side B

1.Twenty Past One

2.A Stranger In Your Town

3.How Many More Years

4.Looking For My Baby

5.And Lonely

6.The Entertainer

 

メンバーは

コリン・クーパー(Colin Cooper, vo, harmonica)

ピート・ヘイコック(Peter Haycock ,g, vo)

デレク・ホルト(Derek Holt ,g, organ, b)

アーサー・ウッド(Arthur Wood ,key)

リチャード・ジョーンズ(Richard Jones ,b)

ジョージ・ニューサム(George Newsome ,ds)

 

プロデュースはクリス・トーマス(Chris Thomas)です。

 

A1はビッグ・ビル・ブルーンジー

A2はチャーリー・シングルトン。

A3、A4、B1、B4、B5はバンド・オリジナル。

A5はサニー・ボーイ・ウィリアムソン。

B2はコリン・クーパー。

B3はチェスター・バーネット。

B6はスコット・ジョプリン

 

 全曲コテコテのブルースロックです。気持ちがいいくらいです。特にB5のスロー・ブルースはたまりません。この1曲でクライマックスのファンになりました。

 

この年、バンド名を変えてセカンド・アルバムをリリースします。ちょっと趣が変わりました。その辺りは次回ということで。


The Climax Chicago Blues Band - Mean Old World

www.youtube.com


The Climax Chicago Blues Band - Twenty Past One


The Climax Chicago Blues Band - And Lonely

 

 それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ  Was (Not Was)の『どうしたのWAS?(Where Did Your Heart Go?)』

今日の「聴き比べ」はウォズ(ノット・ウォズ)『どうしたのWAS ? (Where Did Your Heart Go?)』です。

 

『どうしたのWAS ?』なんて、ひどいタイトルが付いてしまったこの曲は、ウォズ(ノット・ウォズ)のデビュー・アルバムに収録された曲です。

ウォズは1981年にレコードデビューしたバンドです。バンド自体はさほどの成功は収めませんでしたが、メンバーのドン・ウォズ(Don Was)ボブ・ディランストーンズリッキー・リー・ジョーンズホリー・コールなどのプロデューサーとしても大活躍した人物です。

 

このファースト・アルバムの中でも異色のバラードが今日の『Where Did Your Heart Go?』です。私の大のお気に入りです。

 

Where Did Your Heart Go?

By David Was / Don Edward Fagenson

 

Where did your heart go?

Did you put it on a train?

Did you leave it in the rain

Or down in Mexico, yeah?

Where did your heart go?

Did you put it on a train?

Did you leave it in the rain

Or down in Mexico, yeah? Let them down

 

I spend my nights down on the wharf in unlit alleyways

Next to the church downtown where Sally prays

Come down sometime, we'll eat a rusty can of corn, yeah

And listen to the radio, I love you, I love you, it says

 

Where did your heart go?

Did you put it on a train?

Did you leave it in the rain

Or down in Mexico, yeah? Yeah yeah yeah

 

You cry but I don't, no, I've seen it all before

There it goes again, the slamming of the doors

Sometimes the river calls me, in the night it calls my name

Says put your troubles down beside me

Things have always been the same

 

And rock and roll can't teach me, no, what the river said that night

I jumped into its beauty and drifted out of sight

 

Where did your heart go?

Did you put it on a train?

Did you leave it in the rain

Or down in Mexico, yeah?

Where did your heart go?

Did you put it on a train?

Did you leave it in the rain

Or down in Mexico, yeah? Yeah yeah yeah

(Ah uh ooh ooh uh ooh)

 


Where Did Your Heart Go?

 

この曲をあのワム(Wham!)がカバーしています。というか、こちらの方が断然売れたようです。


where did your heart go - Wham!(日本語歌詞付き)

 

しかし私には断然ウォズです。

 

それでは今日はこの辺で。

この人の、この1枚『チッキン・シャック(ChickenShack)/さらばチッキン・シャック(Goodbye ChickenShack)』

今日の「この人の、この1枚」は引き続きチッキン・シャック(ChickenShack)です。彼らの通算7枚目で初めてのライヴアルバム『さらばチッキン・シャック(Goodbye ChickenShack)』です。

 

前作後、再びメンバー全員が入れ替わりました。さすがにスタン・ウェブもこれ以上のバンド継続は無理と判断したのか、最後にライヴを行って解散を決断しました。

前作のリリースが1973年8月ですから、それからまもなく行われたライヴです。1973年10月26日、ブルネル大学での録音でした。

 そしてこのアルバムがとりあえずのラストアルバムとなりました。しかし、不死鳥スタン・ウェブはまだ死んでいませんでした。

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GOODBYE

 

 

Side A

1.Intro (spoken)

2.Everyday I Have The Blues

3.Thrill Is Gone

4.Going Down

5.You Take Me Down

 

Side B

1.Webb's Boogie

2.You're Mean

3.Poor Boy

4.Webb's Guitar Shuffle

5.Tutti Frutti

 

メンバーは

スタン・ウェブ(Stan Webb ,g, vo)

ロブ・ハル(Rob Hull ,b)

アラン・パウエル(Alan Powell ,ds)

デイヴ・ウィルキンソン(Dave Wilkinson,p)

 

プロデュースはバリー・マレイ(Barry Murray)です。

 

お馴染みの曲が並びます。BBキング、ドン・ニックス、リトル・リチャードのカバーの他、オリジナルも思いっきりブルースしています。これで解散なんてもったいないと、当時は思ったものでした。

 

スタン・ウェブはこの後、なんとサヴォイ・ブラウンに参加します。その辺りはサヴォイ・ブラウンのところで書きました。しかし、1枚のアルバムを残して退団。その後、1977年頃チッキン・シャックを再結成します。といってもバンド名は『Stan Webb's Chicken Shack』だったり、スタン・ウェブの個人名だったり様々です。

 

その辺りのことは機会を改めて書きたいと思います。まだまだ書き足りませんが、とりあえず一旦終了します。

 

スタン・ウェブ、まだ74歳です。最近あまり名前を見かけなくなりました。どうしているのでしょう。フリートウッド・マックピーター・グリーンサヴォイ・ブラウンキム・シモンズ、そしてチッキン・シャックスタン・ウェブ、イギリスの3大ブルース・ロック・バンドのリード・ギタリストたちでした。イギリスのブルース・ロックが最高に盛り上がった時期の立役者たちでした。


CHICKEN SHACK - Everyday I Have The Blues (Goodbye CHICKEN SHACK)


CHICKEN SHACK - The Thrill Is Gone (Goodbye CHICKEN SHACK)


CHICKEN SHACK - Going Down (Goodbye CHICKEN SHACK)


CHICKEN SHACK - Webb’s Boogie (Goodbye CHICKEN SHACK)

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ  ザ・バンドの『同じことさ(It Makes No Difference)』

今日の「聴き比べ」はザ・バンド(The Band)『同じことさ(It Makes No Difference)』です。

 

この曲はザ・バンドの1975年のアルバム南十字星(Northern Lights – Southern Cross)』に収録された、ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)の曲です。ヴォーカルはリック・ダンコ(Rick Danko)です。

アルバム『南十字星』は彼らの7枚目のアルバムでした。キャピトルとの契約上、1977年にラストアルバム『Island』がリリースされますが、実質上のラストアルバムは『南十字星』でした。このアルバムは傑作との評価にもかかわらず、売り上げはいま一つでした。そしてメンバー間の軋轢も深まってきていました。そして1976年に解散に至ったわけです。その最後のコンサートの模様が1978年には『ラストワルツ』として映画化され、レコードも3枚組でリリースされました。

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その傑作アルバムの中の名曲がこの『同じことさ(It Makes No Difference)』です。

 

Northern Lights-Southern Cross

Northern Lights-Southern Cross

  • アーティスト:BAND
  • Capitol
Amazon

 

 

It Makes No Difference

By  Robbie Robertson

 

It makes no difference where I turn

I can't get over you and the flame still burns

It makes no difference, night or day

The shadow never seems to fade away

 

And the sun don't shine anymore

And the rains fall down on my door

 

Now there's no love

As true as the love

That dies untold

But the clouds never hung so low before

 

It makes no difference how far I go

Like a scar, the hurt will always show

And it makes no difference who I meet

They're just a face in the crowd on a dead-end street

 

And the sun don't shine anymore

And the rains fall down on my door

 

These old love letters

Well, I just can't keep

Just like the gambler says:

"Read 'em and weep"

And the dawn don't rescue me no more

Primis Player Placeholder

 

Without your love, I'm nothing at all

Like an empty hall, it's a lonely fall

Since you've gone it's a losing battle

Stampeding cattle, they rattle the walls

 

And the sun don't shine anymore

And the rains fall down on my door

 

Well, I love you so much

That it's all that I can do

Just to keep myself from telling you

That I never felt so alone before

 


It Makes No Difference (Remastered 2000)

 

『ラストワルツ』での演奏。


The Band: "It makes no difference".

 

この曲をソウルの大御所ソロモン・バーク(Solomon Burke)がカバーしました。


Solomon Burke - It Makes No Difference

 

さらにザ・バンドへのトリビュート・アルバムでマイ・モーニング・ジャケット(My Morning Jacket)がカバーしました。

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My Morning Jacket - It Makes No Difference

 

いつ聴いても素晴らしい曲です。

 

 それでは今日はこの辺で。