Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

『恐怖分子』を観る

今日のキネ旬シアターは『恐怖分子』でした。

監督:エドワード・ヤン

主演:コラ・ミャオ

1986年の台湾映画

台湾映画はおそらく初めてです。何か観ているかもしれませんが記憶にありません。

この監督は鬼才と呼ばれた人ですが、すでに亡くなっています。59歳の若さでした。

この映画は国際映画祭などでも絶賛され、監督の名前を一躍有名にした作品のようです。この次の作品『牯嶺街少年殺人事件』も高評価で2000年の『ヤンヤン 夏想い出』でカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したそうです。台湾ニューシネマの旗手らしいです。

この映画の登場人物は不良少年らと付き合う少女、小説家志望の女性とその夫と彼女の元恋人および夫の友人の警官、カメラマン志望の青年とその彼女です。これら無関係な人々が少女の1本のいたずら電話でつながりを持ち、とんでもない結末を迎えるという話です。

この映画、何の繋がりもない連中の何の脈絡もないそれぞれの日常が次々と描かれます。少女は不良仲間の逮捕の隙に命からがら逃げ母親に拘束され、小説家志望の女は小説が書けずに悩み、前の恋人と不倫、その夫は病院で出世のために仲間を裏切り、しかし逆に裏切られ、カメラマン志望の青年は恋人に理解されず別れる決心をするが結局何もできずまたよりを戻す。こんな風に何の関係もない話が続いていきます。ところが少女がかけたいたずら電話が小説家志望の女に繋がったところからこの夫婦に大きな変化が生まれ、そして絶望的な結末を迎えます。日常の生活が些細なことで想像もしなかった世界へと一気に落ちていく恐怖。これがまさに現代の恐怖かもしれません。

20年以上前の映画ですが、決して古さは感じられませんでした。この監督の映画、機会があったらまた観ようと思います。