久しぶりにブルースロック・シリーズをやります。今回はジョニー・ウィンター(Johnny Winter)とクライマックス・シカゴ・ブルース・バンド(Climax Chicago Blues Band)でいこうと思います。
ご存じ、100万ドルのギタリストです。子供のころから黒人ブルースにどっぷりと漬かり育ちました。14~5歳ごろから弟のエドガーと共に活動していたようです。
レコードデビューは1968年、マイナーレーベルから『ザ・プログレッシヴ・ブルース・エクスペリメント(The Progressive Blues Experiment)』を発表します。このアルバムには後にスティーヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)のバンドに加わるトミー・シャーノン(Tommy Shannon,b)やアンクル・ジョン・ターナー("Uncle"John Turner,ds)も参加していました。
ブルースのカバーとオリジナルを半々ぐらいで、ブルース色の濃いアルバムです。これが評判になり続いてメジャーデビューとなります。
『ジョニー・ウィンター(Johnny Winter)』です。
このアルバムもブルース満載でご機嫌です。
次に『セカンド・ウィンター(Second Winter)』です。このアルバムではオリジナルが増え、カバーもボブ・ディランの曲などを取り上げだいぶロック色が強くなってきました。
次にグループからエドガー・ウィンターが抜け、ジョニーウィンター・アンド(Johnny Winter And)というグループを結成します。ここにリック・デリンジャー(Rick Derringer,g)が加わります。そして1970年に『ジョニーウィンター・アンド(Johnny Winter And)』を発表します。
このアルバムではジョニーとリックが双璧でリックも随分曲を提供しています。ロックアルバムです。リックデリンジャーもソロアルバムをたくさん出します。若い頃はロックンロールが多いのですが、90年代以降には濃厚なブルースアルバムを出しています。
翌年このグループのライブアルバムが発表されると日本でも大評判になりました。完全なロック、ロックンロールアルバムとなっています。『ライブ ジョニー・ウィンター・アンド(Live Johnny Winter And)』です。ライブの名盤にもよく選ばれます。
ちなみにこのグループのドラマーはボビー・コルドウェル(Bobby Caldwell)ですが、あのボビー・コルドウェルではありません。
その後ジョニーは御多分に漏れず薬物中毒になりその治療のためしばらく休養します。そして1973年に『スティル・アライブ・アンド・ウェル(Still Alive And Well)』で復活します。
ここではブルースが復活し、ストーンズの曲も2曲、ディランの曲も1曲取り上げて
好アルバムとなっています。「俺はまだ生きてたよ」ってとこですか。
その後ライブアルバムを含め3枚ほどアルバムを発表しました。
そして1977年に『ナッシング・バット・ザ・ブルース(Nothing But The Blues)』を発表します。ここではマディー・ウォーターズやジェイムス・コットンなどブルースマンを招き、楽しくブルースを演っています。いいです。
翌年『ホワイト、ホット&ブルー(White Hot & Blue)』を出して70年代は終わります。このアルバムは前作と同じくブルース路線です。
80年代に入るとブルース色が再び強まり、90年代初めごろまではアルバムを出し続けていましたが、2000年代に入ると体調悪化で2011年に遺作となった『ルーツ(Roots)』を発表し2014年に亡くなりました。偉大なるブルースマンであったことに間違いはありませんでした。彼のコンピレーションや未発表音源は数多く出されました。私もだいぶ貢献しました。
クライマックス・シカゴ・ブルース・バンド(Climax Chicago Blues Band)
このバンドはブルースバンドと言ってもブルースを演っていたのはごく初期の頃ですので、その頃までを取り上げたいと思います。
このバンド名を名乗っていたのはおそらく3枚目ぐらいまでだと思います。アメリカのバンド”シカゴ”からクレームが付き、シカゴを外しクライマックス・ブルース・バンドに変更します。メンバーはコリン・クーパー(Colin Cooper,g,vo,sax)とピート・ヘイコック(Peter Haycock,vo,g)が中心でベースのデレク・ボルト、ドラムのジョージ・ニューサムが初期のラインナップでした。その後は中心メンバーの二人を除いて入れ替わりが激しくなっていました。一時期ニッキー・ホプキンスなども在籍していたこともあります。
ファーストアルバムは1969年『The Climax Chicago Blues Band』
これはまさにブルースたっぷりのアルバムです。これを初めて聴いたのは、吉祥寺のロック喫茶「赤毛とソバカス」でした。この中の「And Lonely」というスローブルースに一発で参ってしまい、早速レコードを買いに行きましたが見つからず、しばらく経ってから買えたという記憶があります。
これはブルース色を残しながらジャズやラテンといったジャンルにも食指を伸ばし、早くもブルースバンドを脱却する傾向が出てきています。
続いては『A Lot Of Bottle』です。1970年発表。
これも前作の延長線上にあります。まだブルース色は残っています。
続いて4作目は『Tightly Knit』です。このアルバムではグループ名を"Climax Chicago"としています。1971年発表。
このアルバムは逆にブルース色が前作より強くなったような印象がありました。
続いては1972年の『Rich Man』です。これもグループ名はクライマックス・シカゴです。
これはほとんどオリジナルでブルース色もほとんどなくなりロック、ポップ色が強まった感じです。
続いて『FM/Live』で2枚組のライブです。これがおそらくブルースバンドらしい最後のアルバムではないでしょうか。ここで再びグループ名をクラマックス・ブルース・バンドにします。
ということで、この後このバンドはアメリカで大成功をおさめビッグ・グループの仲間入りをします。音楽性は当時流行りのファンクやソウル、ポップなど、ちょうどフリートウッド・マックがアメリカで大成功したのと似ています。
私もしつこく追いかけましたがそれでも80年代の半ばごろまででしょうか。
バンドは今でもメンバーチェンジを繰り返し活動していますが、ピート・ヘイコックもコリン・クーパーもすでに亡くなっています。二人とも60歳代でした。みんな早いなあ。
以上、ブルースロックの名手たち、第5弾でした。それでは今日はこの辺で。