以前に『カントリーロックの目覚め』という記事を書きました。1960~70年代にはバーズ、フライング・バリット・ブラザース、グラム・パーソンズ、ジーン・クラーク、バッファロー・スプリングフィールド、CSN&Y、ニール・ヤング、ポコ、リンダ・ロンシュタット、イーグルス、ニッティ・グリッティ・ダート・バンド、ピュア・プレイリー・リーグ、ニューライダース・パープル・セイジ等々、数え切れないほどのカントリーロックのアーティストが出現し、ロック界の1ジャンルとしてその勢いを保っていましたが、80年代になるとすっかりその影を潜めてしまいました。もちろん完全に消えたわけではなく引き続きカントリーロックをやり続けているアーティストはいましたが、カントリーロック自体が時代遅れのような雰囲気がありました。ニューウェイヴ、パンク、メタルといったジャンルがもてはやされた80年代という時代には朴訥としたカントリーロックは合わなかったのでしょう。
ところが90年に入ると、パンキッシュなバンドがカントリーの要素を取り入れるようになりました。再びカントリーロックというものが見直されてきたのです。パンクロック、オルタナティヴ・ロックとカントリーの融合ということでオルタナティヴ・カントリーと呼ばれるようになりました。その最初のバンドが「アンクル・テュペロ(Uncle Tupelo)」だというのは今や定説になっています。
アンクル・テュペロは1990年から94まで活動し4枚のアルバムを残し解散しました。
中心メンバーだったジェイ・ファーラー(Jay Farrar)とジェフ・トゥイーディ(Jeff Tweedy)はそれぞれ「サン・ヴォルト(Son Volt)」と「ウィルコ(Wilco)」を結成します。アンクル・テュペロの解散の原因は二人の不仲だったらしいですが、これらの4枚のアルバムを聴けばわかりますが、後になるほどカントリー色が強くなっていきます。ジェイ・ファーラーのほうがよりカントリーミュージックに接近したかったようです。そのあたりの音楽性の違いが現れてきて、意見の対立があったのでしょう。想像ですが。実際にアンクル・テュペロから抜けたのはジェイ・ファーラー一人で残ったメンバーがウィルコと名前を変えたのですから。
この両グループがその後のカントリー・ロック界(オルタナ・カントリー)を引っ張っていくことになります。しかしながら彼らはカントリーロックという範疇には収まり切れない、R.E.Mなどにも通じる幅広い、多様な音楽性を併せ持っています。
彼等の代表的アルバムを紹介します。
まず、「ウィルコ」です。
順に1st、2nd、4thです。90年代ばかりになってしまいました、2000年代にもいいアルバムがいっぱいあります。特に1stはカントリー色が強いです。
次に「サン・ヴォルト」です。
順に1st、2nd、3rdです。これも90年代ばかりです。じつはこの3枚目を出した後しばらく活動を停止します。そして2005年に活動を再開します。残念ながら再開後のアルバムは持っていません。ですからここには載せられませんでした。
この両巨頭に続き、続々とカントリーロック系(オルタナ)のバンドが出てきます。その中でお気に入りのバンドを次回から少しずつ紹介したいと思います。ということで今日はこの辺で。