スティヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)
「ブルースロックの名手たち 60年~70年代編」というシリーズを今のところ5回程やっていますが、ちょっとお休みして今回は「その後継者たち」ということで80年代以降を取り上げてみたいと思います。1回目はスティヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)で行きたいと思います。
スティーヴィー・レイ・ヴォーン(以下SRV)は1970年代の中ごろから(20歳ごろ)活動しており、ジョニー・ウィンターなどとも親交がありました。
1982年のモントルー・ジャズ・フェスティバル出演が大きな転機となりました。このときデヴィッド・ボウイやジャクソン・ブラウンと知り合い、ボウイのアルバムに参加することになりました。翌年には初のアルバム『テキサス・フラッド~ブルースの洪水(Texas Flood)/スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル(Stevie Ray Vaugha & Double Trouble)』です。
このレコードを初めて聴いたときはまさに度肝を抜かされました。こんなブルースマンがいるんだって、これでブルースロックは安泰だなと正直思いました。それほど衝撃的なデビューでした。オリジナルとブルースのカバーを織り交ぜながらの最高のブルースアルバムになっています。ちなみにこの時のダブル・トラブルのメンバーはジョニー・ウィンターのところから来たトミー・シャノン(Tommy Shannon,b)とクリス・レイトン(Chris Layton,ds)です。このアルバムはアメリカで大ヒットしゴールド・ディスクを獲得しました。1983年です。
続いて翌年『テキサス・ハリケーン(Couldn't Stand The Weather)』を発表します。
このアルバムには兄のジミー・ヴォーン(Jimmie Vaughan)も参加しています。ジミ・ヘンドリックスのヴードゥー・チャイルを取り上げています。これがいいんですね。というか何をやってもいいんですね。幾分ロック色が強くなったかな、という感じです。このアルバムもゴールド・ディスクを獲得しました。
続いてまた翌年、『ソウル・トゥ・ソウル(Soul To Soul)』が発表されました。
このアルバムからダブル・トラブルにリース・ワイナンス(Reese Wynans,key)が加わりました。またサックスも加わりました(Joe Sublett)。レコードには入っていませんがCDにはボーナストラックとしてジミヘンのリトル・ウィングが入ってます。お得です。
次がライブアルバムです。『ライブ・アライブ(Live Alive)』です。
レコードでは2枚組です。なにせSRVのライブですから、悪いわけがありません。スティーヴィーワンダーの「迷信」なんかも取り上げています。
このあと御多分に漏れず薬物中毒、療養となります。
復活後、1989年『イン・ステップ(In Step)』発表。
久々のSRV、最高です。文句なし。ファンキーな曲がやや多いかもしれません。このアルバムでグラミー賞を獲得します。
しかし、このアルバムがSRVの遺作となってしまいます。1990年、ウィスコンシン州のイースト・トロイで行われたブルース・フェスティバルに参加した後、乗ったシカゴ行きヘリコプターが墜落、乗客乗員全員死亡となってしまいました。35歳でした。ショックでした。レーナード・スキナードの時もそうでしたが、しばらく言葉が出ませんでした。
翌年にSRVの未発表曲を集めた追悼盤が出ました。『スカイ・イズ・クライング(The Sky Is Crying)』です。
実は、この前に兄のジミーとの共演盤出ていました。『ファミリー・スタイル(Family Style)/ヴォーン・ブラザース(Vaughan Brothers)』です。
これが正真正銘のSRVの遺作となりました。二人の競演は聴いているだけで泣けてきました。このジャケットがいいですね。これを見ているとSRVがもういないなんて思えません。なんだか感傷的になってしまいました。
彼の死後、たくさんのコンピレーション、ライブ音源、映像、トリビュートが発表されました。私はたぶんそれらのほとんどを買っているのではないでしょうか。貢献してますね。
これらはほんの一部です。
偉大なるブルースマンを亡くしました。ブルースロックもこれで終わりかと思いきや、このあとまだまだ後継者が出てきます。ブルースロックは脈々と続きます。私の命よりは間違いなく続きます。嬉しいことです。次回は誰にしましょうか、考えます。
なお、60~70年代についてもまだ続きますのでよろしくお願いします。
それではこの辺で。