監督:武 正晴
2014年公開
アクション映画やドラマ、戦隊ものなどでヒーローのスーツを着て顔は出さずにスタントを演じるスーツアクターという俳優たちにスポットを当てた映画です。
唐沢寿明演じるアーツアクターの本城はいつか顔出しが出来る映画に出演することを夢見ながら毎日スーツアクターを演じています。そこに顔出し役が回ってきます。ところが土壇場になって、映画会社の要望で新人の一ノ瀬にその役を取られてしまいます。一ノ瀬はスーツアクターなど馬鹿にした風で、スーツアクター仲間の反感を買います。一ノ瀬はハリウッド映画への出演オーディションを受けている最中でした。どうしてもハリウッドのアクションスターになってアカデミー賞をとり演説をすることが夢なのです。幼い弟・妹を残し去っていったアメリカにいる母親にどうしても語り掛けたかったのです。しかし、アクションが未熟なままではオーディションに受かる可能性は低いと思い、本城に頭を下げてアクションを一から教えてもらうことにしました。そして練習を重ね、仲間たちとの心の交流も生まれ見事にオーディションに合格します。
ところがそのハリウッド映画のクライマックスシーンは高いところから飛び降りるシーンをワイヤーもCGもなしで撮影するのだと監督が言い張ります。それを演じる予定だった外国の有名俳優は怖気づいて役を降りてしまいます。困ったプロデューサーは本城に頭を下げ日本のアクション界のためにと出演を依頼します。命の危険がある役に妻子は反対しますが、本城は出演を承諾します。本城が出演しなければ一ノ瀬の役もなくなってしまうことも理由としてありましたが、やはり自分の夢をかなえるという強い意志が働きました。そして見事に演じ切り、居合わせたスタッフたちの大拍手・喝采を浴びました。気を失った本城はすぐに病院に担ぎ込まれましたが、命に別状はありませんでした。一ノ瀬も希望どうりアメリカで成功し母親が訪ねてきて再開を果たしました。
唐沢寿明は自分もかつて東映のスーツアクターだったらしく、今回体を鍛え直して、実際にスタントマンなしで役を演じ切ったらしいです。そういえば以前、NHKの朝のニュースで本人へのインタビューでそのようなことを言っていたような気がします。
今日子の映画を観ていて、ふとある映画を思い出しました。つかこうへいの『蒲田行進曲』です。深作欣二監督で松坂慶子、風間杜夫、平田滿主演の映画です。
もちろん、話は違いますが、『蒲田行進曲』のほうも新選組の池田屋事件で二階の階段から斬られて転げ落ちるという、いわゆる「階段落ち」という命がけの演技をすることで大部屋のスタントマンが1日だけのヒーローになれる、そんな夢見る役者魂みたいなものを描いていて、思いっきり泣けた映画でした。最後のどんでん返しには参りましたが。
唐沢寿明の役者魂もお見事でした。
それでは今日はこの辺で。