Flying Skynyrdのブログ

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『フェア・ウォーニング(Fair Warning)』の子供たち

日本では大人気ですが、本国ドイツではそれほどでもなく、アメリカに至ってはほとんど売れていない『フェア・ウォーニング』。メロディアス・ハードの代表選手です。叙情的なメロディーとハードな演奏が日本人に合っているのでしょう。

そのフェア・ウォーニングが2000年に4thアルバムを発表後にギタリストのアンディ・マレツェク(Andy Malecek)が体調不良で脱退表明、続いてヴォーカリストのトミー・ハート(Tommy Heart)が脱退表明、リーダーでベースのウレ・リトゲン(Uli Ritgen)は活動休止を宣言します。

トミー・ハートは『ソウル・ドクター(Soul Doctor)』、アンディ・マレツェクは『ラスト・オータムズ・ドリーム(Last Autumn's Dream)、(以下LAD)』、ウレ・リトゲンとフェア・ウォーニングを支えてきたギタリストのヘルゲ・エンゲルケ(Helge Engelke)は『ドリームタイド(Dreamtide)』をそれぞれ結成します。ここではそれぞれのバンドについて少し書いてみます。

 

ソウル・ドクター(Soul Doctor)

トミー・ハートがフェア・ウォーニングを脱退した理由は、「もっとライブ活動がしたい」という事だったそうです。そして、「ロックバンドはかくあるべし」と理想のバンドを組むべくメンバーを探しました。ギターは幼馴染のクリス・ライン(Chris Lyne)、ベースにヨルグ・ダイジンガー(Joerg Deisinger)、ドラムにフェア・ウォーニングのサポートドラマーのザッキー(Zacky)に決定し、ソウル・ドクターが結成されました。

バンド名はフォーリナーの曲名から取ったようです。

   

この2枚はファースト『Soul Doctor』とセカンド『Systems Go Wild !』です。それぞれ2001年と2002年です。

これらを聴くと、トミーがどうしてフェア・ウォーニングを離れたかがよくわかります。トミーのヴォーカルは相変わらずですが、楽曲はまさに70年代を思わせるハードロックです。メロディアスな部分はだいぶ後退しています。こういうロックをやりたかったんだろうな、と思わせます。クリス・ラインのギターは地味で控えめですが味わいがあります。

 

ドリームタイド(Dreamtide)

一方、メロディー部分でフェア・ウォーニングを支えてきたヘルゲ・エンゲルケはバンドの活動休止後もソングライティングは続けていましたが、それを発表する場がなく、バンドの結成を決断します。メンバーはヴォーカルにオラフ・ゼンクバイル(Olaf Senkbeil)、ドラムにフェア・ウォーニングのメンバーのC.Cベーレンス(C.C Behrens)

キーボードにこれもフェア・ウォーニングのツアー・メンバーであるトーステン・リューダーヴァルト((Torsten Luderwaldt)、ベースに元サンダーヘッドのオーレ・ヘンペルマン(Ole Hempleman)に決定しました。

 

これはファースト『Here Comes The Flood』とセカンド『Dreams For The Daring』です。それぞれ2001年と2003年です。

これはまさにヘルゲ・エンゲルケの面目躍如です。フェア・ウォーニングよりさらにメロディアスになっているのではないかと思うくらいです。ちょっとクラシカルな雰囲気もあったりでプログレ風なところもあります。ヴォーカルがトミーと違って優しく、癖がありません。したがってフェア・ウォーニングのヴォーカルのあの力強さは感じられません。

 

ラスト・オータムズ・ドリーム(Last Autumn's Dream)

 フェア・ウォーニングを退団したアンディ・マレツェクはソロアルバムも4枚も出しているスウェーデンの有名なヴォーカリストに出会います。その人がミカエル・アーランドソン(Mikael Erlandsson)です。2人はバンドを結成することで合意しメンバー探しが始まりました。そこで活動中止中だったスウェーデンのヘヴィメタバンド「ヨーロッパ」のメンバーを加入させました。ベースにジョン・レヴィン(John Leven)、ドラムにイアン・ホーグランド(Ian Haugland)、キーボードにミック・ミカエリ(Mic Michaeli)です。このメンバーでファーストアルバムを発表します。2003年です。

ところがその後「ヨーロッパ」が再結成することになり、3人は戻ってしまいます。再びメンバー探しを行い、メロハーバンド「タリスマン」に在籍していたマルセル・ヤコブ(Marcel Jacib)とジェミー・ボーガー(Jamie Borger)、それにキーボードでトーマス・ラッサ―ル(Thomas Lassar)で再スタートします。

 

これはセカンドアルバム「Ⅱ」と3rdアルバム「Winter In Paradise」です。それぞれ2004年と2005年です。

LADはソウル・ドクターとドリームタイドの中間というか、メロディアスでポップです。ポップロック・バンドという感じです。ミカエルの甘く、ちょっと掠れたヴォーカルがそう感じさせるのでしょう。3rdではキーボードのトーマス・ラッサ―ルが参加せず、ミカエルが担当しています。アンディは現在はバンドから離れているようです。詳細はわかりません。

 

以上、3兄弟を見てきましたが、それぞれに遺伝子を受け継いでおり、同じグループにいてもそれぞれに音楽に対する考え方、方向性はまちまちなんだなと改めて考えさせられました。しかし、そうした兄弟の行き違いも時が解決することがあります。

 

2006年に親父のフェアウォーニングがアンディ・マレツェクを除くオリジナルメンバーで再結成されました。そしてアルバム『Brother's Keeper』がDVD付きで発売されました。ジャケットは3Dアートワークです。アンディが居ないのは残念ですが、早速購入しました。。

相変わらずのフェア・ウォーニング節、健在です。親父の貫録を見せつけました。この迫力やっぱり凄いです。子供らには負けていられません。

私は日本人なんだなと、つくづく実感します。なぜなら、このオープニングのメロディーを聴いて鳥肌が立ってしまうのですから。メロハーを聴いているときは日本人でよかった、なんて思ってしまいます。フェア・ウォーニングはメロハー界の金字塔だと、私は思っていますが。

 そのうち、おじいちゃんの『ジーノ(Zeno)』(フェア・ウォーニングの前身)もやらなければなりませんね。

 

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

それではメロハーに酔いしれながら、今日はこの辺で。