Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

『カトリーヌ・ドヌーヴ』と『ミシェル・ルグラン』

昨日、私も読者になっている igelnina さんの記事を拝見して、この映画の魅力をズバリ表現されていて、大変感激しました。

 

kleinenina.hatenablog.com

私も『シェルブールの雨傘』はとても好きな映画で、カトリーヌ・ドヌーヴの美しさとミッシェル・ルグランの音楽がこの映画を格別なものにしているのではないかと思っています。

そこで今日は、『シェルブールの雨傘』に関連して、ドヌーヴとルグランについて、ちょっとだけ知るところを書いてみたいと思います。 igelnina さんの素晴らしい記事を読んだ後で下手な文章を書くのも心苦しいのですが、ご容赦願います。

 

シェルブールの雨傘』は監督がジャック・ドミーだったのですが、このジャック・ドミーとドヌーヴとルグランのトリオで3年後の1967年に『ロシュフォールの恋人たち』という映画が上映されます。

この映画もミュージカルですが、『シェルブールの雨傘』とは違ってこちらは明るく、いかにもミュージカルです。キャストが凄いです。ドヌーヴの実の姉のフランソワーズ・ドルレアックがドヌーヴとの双子の姉役で出演しています。さらにジーン・ケリージョージ・チャキリスといったミュージカルの大スター、それに『ふたりだけの夜明け』『Z』『戒厳令』『ニューシネマ・パラダイス』のジャック・ペランという錚々たる俳優陣です。フランソワーズ・ドルレアックはフランソワ・トリフォー監督の『やわらかい肌』にも出演していましたが、1967年に交通事故で25歳の若さで亡くなりました。

さらに3年後の1970年、この3人のトリオの作品『ロバと王女』が上映されます。

これはフランスで大ヒットした作品です。ディズニーのようでもあり、どちらかというとファンタジーミュージカル映画です。ここでもジャック・ペランが出演しています。

 

さらに3年後の1973年に『モン・パリ』が上映されますが、残念ながら観ていません。

 

ドヌーヴといえば『シェルブールの雨傘』の翌年の1965年にロマン・ポランスキー監督のあの『反撥』に主演します。

これはまさに狂気の映画です。ポランスキーの魅力がたっぷり楽しめますが、それ以上にドヌーヴの美しさがひと際です。白黒画像が一層ドヌーヴを引き立たせます。顔や目のアップ、凄いです。

そして忘れてはいけないのが、ルイス・ブニュエル作品に出演した二つの映画です。

  

1967年の『昼顔』と1971年の『哀しみのトリスターナ』です。

『アンダルシアの犬』や『忘れられた人々』などのシュールリアリズム作品で有名な監督がメキシコからスペインに戻って、さらにフランスに招かれたときに撮った作品です。耽美的映画でドヌーヴは妖艶な悪女を見事に演じています。ドヌーヴの美しさ、残酷さ、ブニュエル監督の映像表現の凄さを改めて思い知った作品達です。

 

『哀しみのトリスターナ』の1年前に公開されたフランソワ・トリフォー監督でジャン・ポール・ベルモンドと共演した『暗くなるまでこの恋を』も忘れられません。

当時のフランスの2大スターの競演で話題になりました。トリフォーもこの頃は映画作りにも余裕を感じさせます。とにかくドヌーヴの妖艶さが際立つ映画です。ベルモンドがドヌーヴに騙されるという、ちょっとミステリアスな作品です。

ドヌーヴはこの後もフランスのもう一人の大スター、アラン・ドロンとの競演、ジャン・ピエール・メルヴィル監督の『リスボン特急』などに出演しました。

メルヴィル監督最後の作品となりました。『サムライ』『影の軍隊』『仁義』などフィルムノワールの傑作を残しました。

ドヌーヴはその後もビョークの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』など多くの作品に出演しており、現在も活躍中です。

 

一方のミシェル・ルグランは映画音楽の作曲家として知られていますが、ジャズピアニストとしても有名です。

ルグランの手掛けた映画音楽は上記の作品の他に、ジャン・リュック・ゴダールの初期の作品『女は女である』や『女と男のいる舗道』などがあります。

  

いずれもアンナ・カリーナ主演です。この時はゴダールはアンナと既に結婚しており夫婦での映画製作となりました。ゴダールといえばフランス・ヌーヴェルヴァーグの旗手として有名で、難解な映画として知られていました。私も彼の作品はほとんど観ましたが、今思うと結局よく理解できていなかった部分が多かったと思います。ゴダールを観るというのがあの当時の一種のステータスだったところがあるのでしょう。それでもこの頃のゴダールはまだわかりやすいほうだったかもしれません。

 

ルグランといえば何といっても『華麗なる賭け』でしょう。

スティーヴ・マックイーンフェイ・ダナウェイの洒落た犯罪映画。何といっても主題歌の『風のささやき』です。これはルグランの『シェルブールの雨傘』と並んでの代表曲でしょう。自家用のグライダーを飛ばすシーンで流れますが、この曲と相まって最高の場面になっています。とにかくマックイーンの新たな一面が見られた映画です。『大脱走』『荒野の七人』など、どちらかというと泥臭い役で知られていましたから。

その翌年の1969年にはアラン・ドロン主演の『太陽が知っている』を手がけました。

メインテーマの方はちょっとジャズ寄りで、軽快なタッチです。ロミー・シュナイダーとの競演で『死刑台のエレベーター』や『太陽がいっぱい』のモーリス・ロネと『欲望』にも出演していた歌手のジェーン・バーキンも出ていました。『太陽がいっぱい』と『太陽はひとりぼっち』に続くアラン・ドロンの太陽三部作です。何故こういう邦題がつくのかよくわかりませんが。

この後も、『おもいでの夏』など数々の名曲を残します。

ここまでカトリーヌ・ドヌーヴミシェル・ルグランについてみてきましたが、この二人の名前を聞くと、1960年代から70年代にかけてのフランス映画の全盛期を思い起こします。ワクワクしながら映画館に通った日々を思い出しました。

なお、私もだいぶ前に『シェルブールの雨傘』の音楽について記事を書いたことがありますので、よかったら読んでみてください。下手な文章で申し訳ありませんが。

lynyrdburitto.hatenablog.com

 

それでは今日はこの辺で。