今日は、書きたくても情報不足でなかなか書けなかった『グレイプス・オブ・ラス』について書いてみたいと思います。書くといっても手元にはグレイプスの2枚のアルバムと解散後『ジンジャー』として再結成した後の2枚のアルバムがあるだけです。彼らがどれだけのキャリアでどれだけのアルバムを出しているのか詳しいことはわかりません。それでも彼らの爽やかロックを聴いていると癒されるので、わかる範囲で書いてみたいと思います。
カナダのバンドでグループ名はスタインベックの『怒りの葡萄』から取ったそうです。これがのちに問題となってグループ名を変えたらしいですが。
メンバーは
ケヴィン・ケイン(Kevin Kane,vo,g)
トム・フーパー(Tom Hooper,vo,b)
クリス・フーパー(Chris Hooper,ds)
ヴィンセント・ジョーンズ(Vincent Jones,key)
の4人ですが、どうやらヴィンセントは3枚目のアルバムからメンバーになったようです。
1986年にファーストアルバム『Septmber Bowl Of Green』、1987年に『Treehouse』をそれぞれリリースしますが、これらは未購入です。あいすみません。
そして1989年にサードアルバム『Now And Then』をリリースします。
このアルバムを買った理由は、ゲストミュージシャンがフライング・バリットのペダル・スティールの名手・スヌーキー・ピート、それにピアノ・オルガンにオールマンのチャック・リーヴェルが参加しているというクレジットを見て、というたったそれだけの理由です。でもそれが私のような人間にとっては大切なのです。というわけで、ワクワクしながら聴きました。カナダですが、あのウェストコーストロックが戻ってきました。ですが、バーズとも、フライング・バリットとも、イーグルスとも違う、ケヴィンの爽やかな声が独特の味を出しています。
次に1991年に4枚目のアルバム『These Days』をリリースします。
このアルバムも前作に引き続き、ソフトロック路線です。ウェストコーストの風は相変わらず吹いています。カナダではセカンドアルバムはゴールドディスクを2枚目、3枚目はプラチナに輝くなどビッグネームになりつつありました。
ところがこの後、ヴォーカルのケヴィンが脱退を表明します。残されたメンバー3人は新たにショーン・アシュビー(Sean Ashby)とラニー・ハッシー(Lanny Hussey)という二人のギタリストをレコーディングに加え、『ジンジャー』というバンド名で再出発を図ります。ジンジャーといってもワイルドハーツのジンジャーではありません。
そして1994年にアルバム『Far Out』を発表します。
これまではソングライティングもヴォーカルもケヴィンが担当していましたが、『ジンジャー』になってからはそれらをすべてトム・フーパーが担当しました。1曲目から暗く沈んだ楽曲で、どうしたんだ、と思ったところでしたが3曲目あたりからは、エレクトリックギターが前面に出て。ロック色が強い楽曲があったりとだいぶイメージが変わりました。トムのヴォーカルはケヴィンに引けを取らず優しい声で、安心しました。
ここで長年のメンバーだったヴィンセント・ジョーンズが脱退し、ラニー・ハッシーを正式メンバーにしてセカンドアルバム『Suddenly I Came To My Senses』を発表します。
このアルバムは前作と『グレイプス』時代の両面を兼ね備えた、ポップ・ロックになっています。8曲目の「Midnight Man」などは静けさと激しさが同居して聴きごたえがあります。2曲目の「Here With Me」は得意の暗く沈んだ曲ですが、このメロディーがたまらなく切なくていいんです。そして3曲目へと流れるようなメロディーが続きます。この辺は一番の聴きどころかもしれません。
この後、『ジンジャー』の情報は聞いていません。2000年にトムとケヴィンが『グレイプス・オブ・ラス』の名義でアルバム『Field Trip』を発表しようです。ただし他のメンバーは加わっていません。さらに2013年には『High Road』がリリースされますが、残念ながらメンバー構成は分かっていません。おそらく2人にクリスが加わったものと推測されます。
このバンドは大好きなのですが、CDが入手しづらくて参ります。日本での人気が全くないので致し方ありませんが、もったいないです。
暗いです。
それでは今日はこの辺で。