ボビー・チャールズは1938年にルイジアナ州で生まれました。彼の活躍の場は、ルイジアナはニューオリンズでした。ジャズ、ブルース、R&B、ロックなどの音楽の聖地です。ここで彼はブルースレーベルのチェスレコードからヒット曲を出します。しかし彼はステージに立つのを嫌っていたため、自分の楽曲をファッツ・ドミノやビル・ヘイリーなどに提供していました。
その後ニューオリンズ音楽シーンの衰退とともに、彼はニューヨーク州のウッドストックへ住居を移しました。これが彼にとっての人生の転機になりました。1970年頃のことです。当時のウッドストックはあのウッドストックフェスティバルの後で、ボブ・ディランやザ・バンドなど多くの著名なミュージシャンが集まっていました。
そうした中で彼はザ・バンドのメンバーと交流を深めます。このきっかけとなったのがザ・バンドの1971年の4枚目のアルバム『Cahoots』ではないでしょうか。というのはザ・バンドはこの時、ボブ・ディランと共にアメリカ南部の音楽に傾倒し始め、南部出身で頭角を現してきたアラン・トゥーサンにアレンジの協力の依頼をします。このアランを介してザ・バンドとボビーは知り合うことになったと思われます。
そして1972年に初のソロアルバム『Bobby Charles』をリリースします。
このアルバムの参加メンバーはザ・バンドからリック・ダンコ、レヴォン・ヘルム、ガース・ハドソン、リチャード・マニュエル、他にエイモス・ギャレット、ベン・キース、ドクター・ジョン、ボブ・ニューワース、デヴィッド・サンヴォーン等々ウッドストックの連中が揃い、プロデュースは彼自身とジョン・サイモン、リック・ダンコが務めました。
Side A
1. Street People
2. Long Face
3. I Must Be In A Good Place Now
4. Save Me Jesus
5. All The Money
Side B
2. Let Yourself Go
3. Grow Too Old
4. I'm That Way
5. Tennessee Blues
まさにアメリカ南部のゆったり、のんびりとした雰囲気が出ています。
B-1は永遠の名曲。色々な人がカバーしていますが、本家はやはり一味違います。朴訥としたヴォーカルが南部臭さを醸し出しています。
レイドバックという言葉は
グレッグ・オールマンの『レイドバック』で有名になりましたが、その前にこういう素晴らしいレイドバックがあったのです。
1978年の
レヴォン・ヘルム来日時には一緒に来ていたと思います。コンサートには行っているのですが、記憶が曖昧になっています。
しかし、アメリカでも評判の良かったこのアルバムも日本ではしばらく発売されませんでした。そこで当時のワーナー・パ
イオニアが名盤復活シリーズと銘打って、埋もれた名盤を発表しましょうとうことになって、このアルバムがようやく日の目を見ました。
これはその第1弾で、その他にジャケット裏の帯にもありますが、『ジョン・サイモンズ・アルバム』、『
フィフス・アヴェニュー・バンド』、『ロジャー・ティリソンズ・アルバム』、『
ジェシ・ウィンチェスター』の5枚でした。
その後第2弾があって、『ハングリーチャック』、『ジャーニー/ジョン・サイモン』、『エリック・アンダーソン』、『ぺタルマ/ノーマン・グリンバウム』、『ファイヴ・イヤーズ・ゴーン/ジェリー・ジェフ・ウォーカー』の5枚でした。
監修・小倉エージです。まだまだ日本のレコード会社もやる気がありましたね。
ボビー・チャールズは2010年、71才で亡くなりました。突然の訃報に衝撃が走ったのを憶えています。
それでは今日はこの辺で。