Flying Skynyrdのブログ

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この人の、この1枚 『ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)/フォー・エヴリマン(For Everyman)』

今日の「アーティストこの1枚」はジャクソン・ブラウンにしました。どのアルバムにするか色々迷いました。本来なら名盤の誉れ高い『Late For The Sky』や『The Pretender』『Running On Empty』あたりを選択するのが妥当かと思いますが、あえてセカンドアルバムの『For Everyman』を選びました。

それはこのアルバムが、私のジャクソン・ブラウンに対する初体験ということもあって、思い出深いアルバムになっているからです。イーグルスのヒット曲「Take It Easy」の作者であるということ、またその前にザ・バーズの10枚目のアルバム『バードマニア』のなかの「Jamaica Say You Will」の作者ということで、その名は知っていましたが、初めて買ったアルバムがこれでした。

このアルバムにはその「Take It Easy」も収録されているということで、即買いました(「Jamaica Say You Will」はファーストに収録。ファーストには他にヒット曲「Doctor My Eyes」も収録)。

こうしてジャクソン・ブラウンイーグルス、リンダ・ロンシュタッド、J.D サウザーあたりの関係が詳しくわかるようになりました。イーグルスとリンダについては以前少し触れています。

lynyrdburitto.hatenablog.com

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Side A

  1. Take It Easy
  2. Our Lady of the Well
  3. Colors of the Sun
  4. I Thought I Was a Child
  5. These Days

Side B

  1. Red Neck Friend
  2. The Times You've Come
  3. Ready or No
  4. Sing My Songs to Me
  5. For Everyman

 

脇を固める主なミュージシャンは以下のような豪華顔ぶれです。

スヌーキー・ピート(フライング・バリット・ブラザース) ペダル・スティー

デヴィッド・リンドレイ  ギター、フィドル

ダグ・ヘイウッド  ベース

ジム・ケルトナー  ドラムス

スプナー・オールダム  オルガン

ビル・ペインリトル・フィート)  ピアノ

エルトン・ジョン(ロッカディ・ジョニーの名で参加) ピアノ

リランド・スクラ―  ベース

ラス・カンケル  ドラムス

ジョニ・ミッチェル  ピアノ

グレイグ・ダーギ  ピアノ

ミッキー・マッギー  ドラムス

ゲイリー・マラバー  ドラムス

ウィルトン・フェルダー(クルセダーズ)  ベース

マイケル・アトレー  オルガン

ドン・ヘンリー  バック・ヴォーカル

ボニー・レイット  バック・ヴォーカル

デヴィッド・クロスビー  バック・ヴォーカル

 

ご存じの方は、この名前を聞いただけで、アルバムを聴きたくなるのではないでしょうか。

 

A-1が「Take It Easy」というのは嬉しくなります。スヌーキー・ピートのペダル・スティールが絶妙です。イーグルスとは少し違った魅力があります。

A-2は前曲のエンディングに被さるように始まります。愛の歌です。

A-3はトム・ラッシュによって歌われています。男の内面を歌った歌です。

A-4は自らの生き方を問う歌です。

A-5はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのニコが彼女のファーストソロアルバムで1967年に取り上げたほか、トム・ラッシュ、ニッティ―・グリッティ―・ダート・バンド、イアン・マシューズなどにも取り上げられた、彼の初期の代表曲です。このアルバムではグレッグ・オールマンが編曲を示唆しています。男の人生の悩みを歌った歌です。

B-1はシングルカットされたロックンロール曲です。エルトン・ジョンがピアノでノリノリです。

B-2はボニーレイットがバッキング・ヴォーカルで参加。ピッタリ息があっています。

B-3は子供が出来てしまったけど、今までどうり一人で暮らしたいと彼女に告げる男の話。

B-4はジョニ・ミッチェルがピアノで参加。

B-5はこれも前曲からのエンディングに被さるように始まります。

 

この頃のジャクソンはB-1のような激しい曲もありますが、全体的には日常とか恋愛、悩みといった内面を歌った歌が多いです。読解力の乏しい私には、詳しく理解はできませんが、彼独特の声と旋律が心地よく響き、おそらくこんなことを言っているんだろうな、なんて勝手な想像も可能なぐらい曲自体は分かりやすいです。

次作の『Late For The Sky』あたりになると、さらに内面を深く掘り下げた歌詞が多くなってきます。その『Late For The Sky』は全米で14位、次の『The Pretender』は5位、次の『Running On Empty』は3位ときて、とうとう1980年の『Hold Out』で全米1位に輝きます。

1980年頃から、彼の歌は内面から外へと向かうようにまります。1979年のアメリカのスマイリー等の原発事故には抗議する『No Nukes』コンサートを企画したり、南アフリカアパルトヘイトに反対するチャリティーアルバムに参加したりと、行動も政治性を帯びてきます。80年代以降、レコードの売り上げは70年代には及ば亡くなりますが、反面社会的活動は活発になりました。彼はリベラル思想の持ち主で熱心な民主党支持者です。

1990年代に入ると再び内省的な曲に回帰していきます。アルバム制作も間隔が長くなり、その分コンサートやチャリティ活動に力を入れるようになります。

東日本大震災の折の福島原発事故が起こると反原発コンサートを開催します。CS&Nやボニー・レイット、ドゥービー・ブラザース等が駆け付けました。

私も1977年の彼の初来日には観に行きました。新宿厚生年金会館でした。デヴィッド・リンドレイも来てたはずです。懐かしいです。

 

お勧めのアルバムです。順に『ファースト』『Late For The Sky』『The Pretender』『Running On Empty』

   

 

 

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Jackson Browne - These Days

デビュー前から彼の楽曲は多くの人に取り上げられ、一部ではその名もかなり知れ渡っていました。シンガーソングライターという言葉は1970年頃に生まれたと思いますが、この人ほどこの言葉が似合う人はいないのではないでしょうか。また、彼の交流の広さも特筆すべきものです。反原発コンサートも彼の呼びかけで多くの有名ミュージシャンが駆け付けました。彼の人柄の賜物だと思います。その賜物は彼の歌に滲み出ていると思います。

まだまだ68歳、元気で頑張ってほしいです。

 

それでは今日はこの辺で。