ライ・クーダーの目茶目茶のファンでもないのですが、何故か、我が家にはファーストアルバムから15枚目ぐらいまでは揃っています。アルバムが発売されると、いつの間にか買っている、そんな感じです。気がついたら傍にいる、私にとっては空気のような無くてはならないアーティストです。
今回もどのアルバムを書こうかと悩みました。どれが良くてどれがダメというのが特になく、みんなそれぞれにいいのです。ということで考えるのも面倒なので、一番最初に聴いたファーストアルバム『Ry Cooder』を選択しました。
Side A
1. Alimony
2. France Chance
3. One Meatball
4. Do Re Mi
5. My Old Kentucky Home (Turpentine and Dandelion Wine)
6. How Can a Poor Man Stand Such Times and Live?
Side B
1. Available Space
2. Pigmeat
3. Police Dog Blues
4. Goin' to Brownsville
5. Dark Is the Night
プロデュースはあのヴァン・ダイク・パークスとレニー・ワロンカーです。
参加ミュージシャンは以下の通りです。
ヴァン・ダイク・パークス ピアノ
クリス・エスリッジ ベース (フライング・バリット・ブラザース)
リッチー・ヘイワード ドラムス (リトル・フィート)
ロイ・エストラダ ベース (フランク・ザッパ、キャプテン・ビーフハート)
ミルト・ホランド パーカッション
ジョン・バルバダ ドラムス (ジェファーソン・エアプレイン・スターシップ)
マックス・ベネット ベース
ボビー・ブルース バイオリン
ライ・クーダーは1947年、ロスアンジェルスの生まれ。3歳の頃からギターをいじっていたといいます。8歳の誕生日に両親からジョッシュ・ホワイトのレコードをプレゼントされ、ギターのとりこになり、父親からマーティンのギターを買ってもらい、自己流でギターを始めました。フォーク・クラブへ行っては出演ミュージシャンのテクニックを見ながら学んだそうです。
17歳の時、ジャッキー・デシャノンのバック・ギタリストとしてデビューします。しかし、バンドはすぐ解散。今度はタジ・マハルと知り合いライジング・サンというバンドを結成。CBSとの契約も成立し、テリー・メルチャーのプロデュースでレコーディングも開始しましたが、トラブル続きで結局解散。その後はキャプテン・ビーフハートと知り合い、レコーディングに参加します。
その後ライはセッションマンとして活動するようになります。この頃には彼のボトルネック奏法は評判となっており、数多くのレコーディングに参加するようになってきました。
そして彼はとうとうジャック・ニッチェと出会います。ジャック・ニッチェについては『クレイジー・ホース』の記事で書きましたので参考までにご覧ください。
二人でイギリスに渡った時に、ローリング・ストーンズと出会います。そして『レット・イット・ブリード』のレコーディングに参加します。このアルバムでのクレジットには、ライ・クーダーはマンドリンで参加していることになっていますが、ライの話を聞くと、スタジオに入っても、ストーンズのメンバーはレコーディングどころかみんなすぐいなくなってしまう。そんな日々が4週間ぐらい続いた。自分は出来る限りのことはやっていた。色々なフレーズも弾いた。ストーンズはそれらをすべてテープに撮っていたという。ある日スタジオに行くと、2,3日前に自分が弾いていたフレーズをキース・リチャードがやっていた。それを聞いたジャック・ニッチェはすぐに帰りの切符を手配して帰国した。だから『レット・イット・ブリード』には自分のアイデアがいっぱい詰まっている、これはストーンズも認めていることだ。という事らしいです。
帰国したライはリプリーズ・レコードと契約し、1970年にファーストアルバムが完成しました。
B面の1と5はアコースティックギターのインストナンバー。ボトルネックが冴えわたります。
A面の3は敬愛するジョッシュ・ホワイトのナンバー。ライの声はどこにでもあるようで、別段特徴もないのですが、それが逆に淡々としていて聴きやすいのです。
A面の4はウッディ・ガスリーのナンバー。ライはこの後もウッディの曲をカヴァーしています。ストリングスはヴァン・ダイク・パークスのアレンジですが素晴らしいです。
B面の2はレッドベリーの曲。
B面の4はスリーピー・ジョン・エスティスの曲です。ライは3枚目のアルバムでも彼の曲を取り上げていて、そこではスリーピーギターを弾いてが歌っています。こういうのを聴くとライのブルースマンに対する敬愛の念がわかります。
この後もライはコンスタントにアルバムを出し続けます。1970年代は名作揃いになりました。
1972年『Into the Purple Valley(紫の峡谷)』
1972年『Boomer's Story(流れ者の物語)』
1974年『Paradise and Lunch』
1976年『Chicken Skin Music』
1978年『Jazz』
1979年『Bop Till You Drop』
1980年『Borderline』
1982年『The Slide Area 』
この後も続きます。
このあと映画音楽をたくさん手掛けるようになります。
ウォルター・ヒルの『ロング・ライダーズ』、トニー・リチャードソンの『ボーダー』、ヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』、ウォルター・ヒルの『クロス・ロード』などなど数多くの作品があります。
特に『パリ、テキサス』はロード・ムービーの代表作でカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を獲得しました。
現在70歳、まだまだ頑張るでしょう。
それでは今日はこの辺で。