Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

60年代ロックの象徴、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ(Country Joe & The Fish)

シスコ・バンドの5傑と言われ、ウッドストック・フェスティヴァルで世界中に知れ渡った、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ(CJF)ですが、この時はすでに終焉に向かっていました。

CFJの結成は1965年に遡りますが、オリジナルメンバーが揃うのは1967年です。

カントリー・ジョー・マクドナルド(本名ジョセフ・アレン・マクドナルド)は1942年に、左翼主義者の家に生まれ、ソ連のジョセフ・スターリンの名を取って名付けられました。当然ながら彼は政治的環境の中で育ち、一方であらゆるジャンルの音楽的環境にも恵まれ音楽教育も受けました。

1965年にフォーククラブで歌っていた時に、レコードを作ろうということになり、その時同じフォーククラブの常連だったバリー・メルトンを誘いカントリー・ジョー・&ザ・フィッシュの名前を使い、2曲録音しました。元々はカントリー・マオにするつもりでした。毛沢東の「水の中を進魚のように、革命は人民の中を進む」という言葉からの引用ですが、スターリンの名がジョー(ジョセフ)だったので、冗談でカントリー・ジョーと言っているうちに、そのまま使うことになってしまったようです。

そして1967年にファーストアルバムを作る際に、3人のメンバーが加わって、オリジナルメンバーが揃います。

 

ジョー・マクドナルド(Country Joe McDonald,vo,g,tamb)

バリー・メルトン(Barry Melton,g,vo)

デヴィッド・コーエン(David Cohen,g,organ)

ブルース・バーソール(Bruce Barthol,b,harp)

ゲイリー”チキン”ハーシュ(Chicken Hirsh,ds)

 

そして発表されたのが『Electric Music For The Mind And Body』です。

 f:id:lynyrdburitto:20170911095553j:plain

サイケデリック・ロックの決定盤でしょう。フォーク、ブルース、ジャグバンドなどあらゆる音楽性を含んだ傑作だと評されました。一気にジェファーソン・エアプレインやグレイトフル・デッドと肩を並べるほどの人気になりました。

続いてのセカンドは同年の『I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die』です。

f:id:lynyrdburitto:20171129145706p:plain f:id:lynyrdburitto:20170911095652j:plain

 

 このアルバムでCFJの人気は決定的となりました。タイトル曲は当時泥沼に陥った、ベトナム戦争を強烈に皮肉ったメッセージ性の強い曲です。コーラスの部分("One, two, three, what are we fighting for?"「1..2..3..何のために戦ってるんだ」)はアメリカの若者の心を捉えました。その他にもファーストと同じようにフォークロックからサイケ長の曲、ブルース、バラードまで多様な音楽を展開し、ファーストと並んで傑作と評価されました。

 

しかしCFJの絶頂期はこの頃まででした。1968年に出されたサードアルバム『Together』の頃にはメンバー間の諍いが起こり、68年の9月には ブルース・バーソールが辞め(解雇らしいが再び参加)ます。

f:id:lynyrdburitto:20170911095830j:plain

f:id:lynyrdburitto:20170911095855j:plain

このアルバムではジョーが参加しない曲が4曲もあります。それでもアルバムにはベリーメルトンのメッセージ性を含んだ曲や、ウッドストックで歌われた曲などが入っており質は高いものでした。

この翌年、4枚目のアルバム『Here We Are Again』をリリースします。

   f:id:lynyrdburitto:20170911101722j:plain

このアルバムでは、再びジョーが主導権を握ります。バリー・メルトンのサイケなギターが目立ちますが、ポップな曲などもあり、ファースト、セカンドの頃のような輝きはありません。

 

そしてこの年、ウッドストック・フェスティヴァルが開催されます。CFJとしては「Rock And Soul Music」そしてジョーのソロで「I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die」を歌います。ステージでの「The "Fuck" Cheer」という掛け合いが流行になりました。

しかしこの前にメンバーが次々と去ります。デヴィッド・コーエンとゲイリー”チキン”ハーシュが去りました。

 

ジョーとバリー・メルトンはドラムにグレッグ・デューイ(Greg Dewey)、ベースにダグ・メッツラー(Doug Metzner)、キーボードにマーク・カプナー(Mark Kapner)を迎え、1970年に5枚目のアルバム『CJ FISH』を発表します。

 f:id:lynyrdburitto:20170911104043j:plain

 このアルバムでは、フォークロック、カントリーロックが目立ち、サイケデリックなものは影を潜めました。メッセージ性も薄くなり、ロックバンド然としてきました。が、ジャケットが象徴するように、彼等は宇宙飛行士のごとく天に昇りました。

解散です。

わずか3年と短い期間でしたが、これほど時代を象徴するバンドは珍しかったのではないでしょうか。世界中の若者が反体制運動に燃え、そして挫折して、虚脱していく姿を象徴する様なバンドの短い歴史でした。

 

この後1977年にバンドは再結成します。アルバムが『REUNION』です。残念ながらCD化はされていないようです。

f:id:lynyrdburitto:20170911105403j:plain f:id:lynyrdburitto:20170911105424j:plain

話題性はあったものの、結局はこの1枚のみで再び彼らは自分の世界に戻って行きました。

カントリー・ジョー・マクドナルドはバンドの活動期間中からソロ活動も並行して行っており、現在までに、30枚ほどのアルバムを出しています。そして政治活動も相変わらず盛んなようです。私も何枚かお付き合いしました。

f:id:lynyrdburitto:20170531133553j:plain

f:id:lynyrdburitto:20170911110238j:plain

 

バリー・メルトンはその後もバンドを編成したりソロ活動をしています。これも何枚かお付き合いしました。どちらも入手困難のようです。

   

 

 ロックの輝いていた時代でした。


Country Joe & The Fish "Waltzing In The Moonlight"

 


Country Joe and the Fish - Love (Woodstock 69)


Country Joe & The Fish "Porpoise Mouth"

それでは今日はこの辺で。