たった1枚、歴史的名盤を残して去った伝説のバンド、それが『ザ・フィフス・アヴェニュー・バンド』です。
バンドの結成は1968年です。
メンバーは
ジョン・リンド(John Lind,vo)
ケニー・アルトマン(Kenny Altman,g,b)
ピーター・ゴルウェイ(Peter Gallway vo,g)
ジェリー・バーナム(Jerry Burnham,b,flute)
ピート・ヘイウッド(Pete Heywood,ds)
マレー・ウェインストック(Murray Weinstock,key)
です。
このメンバーたちが、それぞれに知り合いバンドを結成します。そして1969年にたった1枚のレコードを発表します。『The Fifth Avenue Band』です。
プロデュースがラヴィン・スプーンフルのジェリー・イエスターとザル・ヤノフスキ―、それにエリック・ジェイコブセンです。東海岸の雄、ラヴィン・スプーンフルのメンバーがプロデュースに関わっているところからして、しゃれた音楽性が想像できます。
Side A
1.Fast Freight
2.One Way or the Other
3.Good Lady of Toronto
4.Eden Rock
5.Country Time Rhymes
6.Calamity Jane
Side B
1.Nice Folks
2.Cockeyed Shame
3.Faithful Be Fair
4.In Hollywood
5.Angel
A-1はスワンプロック的なちょっと泥臭い曲です。
A-2やA-4、B-1は当時騒がれていたグッドタイムミュージックです。こんなに洗練された音楽は、当時のウェストコーストではなかなか聴けません。ラヴィン・スプーンフルならではの音楽です。曲はケニー・アルトマンです。この人の曲は都会的センスにあふれています。そこにジャズっぽい雰囲気と相まって一層聞き手を引き込みます。ヴォーカルはジョン・リンドです。
A-6は後にピーター・ゴルウェイが結成するオハイオ・ノックスでも演奏している曲です。ピーター・ゴルウェイの曲はA-1、3、、5、6 B-2、4と6曲もありますが、彼の曲はどちらかというと南部臭さがあります。
ラストは唯一ジョン・リンドの曲でブラスを導入した、ラストにふさわしい曲になっています。こうしたアレンジもラヴィン・スプーンフルらしいです。
はっぴいえんどのメンバーや山下達郎などがこよなく愛したバンド、フィフス・アベニュー・バンドです。山下達郎は好きが高じて自分のアルバムレコーディングにケニー・アルトマンを呼んだほどです。
しかしであっという間に解散です。商業的には成功しなかったようです。現に日本でも当時は発売されませんでした。日本盤が発売されたのは1970年代の中ごろだったかと思います。ワーナーパイオニアの「ロック名盤復活シリーズ」の中の1枚として発売されたのが最初だと記憶しています。私もその時に手に入れました。
ピーター・ゴルウェイはその後先述しましたように、オハイ・オノックスの結成、ソロアルバムの発表と活躍しました。
その後、1990年に再結成されたとの話も聞きましたが、残念ながら聴いていません。
The Fifth Avenue Band - One Way Or The Other
それでは今日はこの辺で。