ボストンのロックンロール馬鹿野郎、J.ガイルズ・バンドです。気持ちいいくらいのロックンロールむき出しです。
1968年に結成されたJ.ガイルズ・バンドは当初、J.ガイルズ・ブルース・バンドと名乗っていました。その当時のメンバーはJ.ガイルズ(J.Geils,g)、マジック・ディック(Magic Dick,harp)、ダニー・クライン(Danny Clein,b)の3人でした。そこにピーター・ウルフ(Peter Wolf,vo)、ステファン・ジョー・ブラッド(Stephen Jo Bladd,perc)、セス・ジャストマン(Seth Justman,key)が加わり、J.ガイルス・バンドとしてスタートします。
1970年にファーストアルバム『The J.Geils Band』をリリースします。この頃はまだまだブルース色が強く、ジョン・リー・フッカーやオーティス・ラッシュ、アルバート・コリンズのカバーもありました。
ニューヨークのフィルモアにも出演し、徐々に人気も出て来ました。アルバムも順調にリリースされました。『The Mornig After』『Full House』『Bloodshot』『Ladies Invited』と続きます。
そして、1974年に『Nightmares...and Other Tales from the Vinyl Jungle(悪魔とビニールジャングル)』がリリースされます。
Side A
1.Detroit Breakdown
2.Givin' It All Up
3.Must of Got Lost
4.Look Me in the Eye
5.Nightmares
Side B
1.Stoop Down #39
2.I'll Be Coming Home
3.Funky Judge
4.Gettin' Out
A-1デトロイト・ブレイクダウン。いきなりピーター・ウルフのかっこいいヴォーカルが聴けます。ノリノリです。ピーター・ウルフはこの後、あの大女優フェイ・ダナウェイと結婚します。公私ともに絶頂期です。
A-2軽いノリのロックンロール。このバンドの曲は大半がセス・ジャストマンとピーター・ウルフの共作です。この曲も御多分に漏れず。
A-3は全米で大ヒットしJ.ガイルス・バンドの名を世界中にし知らしめた曲です。とにかくカッコいい。名曲間違いなしです。今でも時々聴きます。
A-4これまたノリのいいロックンロール。J.ガイルズのギターは目立たないように、目立たないようにと技としているようで、実は凄い。ソロはそれほど多くありませんが、リズムを刻むギターテクは気持ちいいです。
A-5は短い民族音楽のような曲。
B-1J.ガイルスのソロがたっぷり聴けます。このバンドの売り物の一つが、マジック・ディックのハープです。超絶です。
B-2はJ.ガイルス・バンドにしては珍しいタンゴ調の曲。
B-3マジック・ディックのハープを堪能。
B-4これがこのアルバムの一番の聴かせどころでしょうか。全員のプレイが素晴らしい。緊張感のあるメロディーとそれぞれのソロパートがマッチ。
このあと『Hotline』を挟んで2枚組ライブアルバム『Blow Your Face Out (狼からの一撃)』がリリースされます。
J.ガイルズ・バンドは何といってもライブです。前述の『Full House』と共にこのライブ盤は圧巻です。
この後、『Monkey Island』『Sanctuary』『Love Stinks』『Freeze Frame』『Showtime』とアルバムを出して、ヒットにも恵まれますが、音楽性は変わっていきました。特に「Centerfold(堕ちた天使)」は全米1位を記録します。かつてのようなロックンロール一本やりではなく、レコード会社が変わったという影響もあるのか産業ロックっぽくなっていきました。
さらにピーター・ウルフが1983年にソロ活動のため脱退しました。脱退後1枚のアルバムを出しますが、鳴かず飛ばずに終わり1985年活動停止になりました。
その後何度か再結成しライブ活動などをしていましたが、昨年の4月にJ.ガイルズが自宅で亡くなりました。71歳でした。これでJ.ガイルズ・バンドは事実上消滅しました。
アメリカのストーンズなどとも呼ばれた、ロックンロール一筋の貴重なバンドでした。
J.ガイルズの冥福を祈りつつ、今日はこの辺で。