さて、昨日に引き続きキンクスです。1971年にパイレコードを去り、RCAレコードと契約したキンクスは早速アルバムを発表します。
『Muswell Hillbillies』1971年
レコード会社が変わったせいなのか、一気にアメリカナイズされたサウンドになりました。カントリー、ブルーグラス、ブルース、ジャズ、ロックンロールといった要素がふんだんに取り入れられた傑作アルバムです。「20th Century Man」や「Skin And Bone」など名曲揃いです。本作がRCA時代の最高傑作だと思います。このアルバムからキーボードのジョン・ゴスリングが加入します。
『Everybody's In Show-Biz(この世はすべてショー・ビジネス)』1972年
キンクス初の2枚組アルバム。1枚はカーネギーホールでのライブ盤です。ヒット曲「Celluloid Heroes」を含みます。ライヴ盤は前作からの曲が多くなっています。スタジオ盤は前作に続きアメリカナイズされてはいますが、ロック色は強くなっています。レイのソングライティング能力と創作意欲の高まりを感じます。ライヴもよりハードになっています。
『Preservation: Act 1』1973年
ここからコンセプトアルバムのオンパレードが始まります。これはパイ時代の『 Village Green Preservation Society』の続編となります。確かにこのアルバムは評判が悪かったです。しかし、1曲1曲をみると決して悪いわけではないのですが、何故か受け入れられなかったようです。「Sweet Lady Genevieve」や「Where Are They Now?」など捨てがたい曲が結構あります。
『Preservation: Act 2』1974年
前作の続編で、しかも2枚組。随所にアナウンスが入ったりして、ミュージカルにような雰囲気を醸し出しています。当時は歌詞も含めてどうにも取っ付きづらかったのですが、今聴いてみると結構いい曲が多く、歌詞など無視して聴いている分には十分楽しめます。
通算15作目。これもコンセプトアルバムです。テレビ放送のミュージカル『スターメイカー』のために録音された曲に追加して制作されたアルバムです。レイ・デイヴィスも主役で出演しています。一市民の現実と妄想の世界を描いています。テレビを観たかったな。
『Schoolboys in Disgrace(不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策)』1975年
RCA時代最後の、そして一連のコンセプトアルバムの最後となる作品です。学生時代を描いたコンセプトアルバム。どうやらモデルは弟のデイヴらしい。ジャケットはT.REXのミッキー・フィンです。ここでは前作の哀愁を帯びた雰囲気からハードなロックやバラードが聴かれます。これはデイヴが主人公ということに関係があるのでしょうか。デイヴ好みのハードロックもあります。
こうしてレイ・デイヴィスがロック・オペラに没頭した時期が終わります。ロックオペラはザ・フーの『トミー』や『四重人格』が有名ですが、どっこいキンクスのロックオペラに対する執念は凄いものが有りました。当時の評価はイマイチでしたが後年その評価は上がってきています。
それでもパイ時代のキンクスに惚れていた我が身としては、ちょっと物足りませんでした。商業的にも低迷した時期でした。
1976年にジョン・ダルトンが一時的に退団し、代わりにブラッドウィン・ピッグやサボイ・ブラウンにいたアンディ・パイルが加入します。しかしすぐ脱退し、ゲイリー・ムーアのバンドに参加したりします。
そしてRCAとの契約を終え、アリスタと契約します。ここから再び元気のいいキンクスが帰ってきます。そのあたりのことはまたいずれ書いてみたいと思います。
"Celluloid Heroes" w/Lyrics- The Kinks
Sweet Lady Genevieve - The Kinks
それでは今日はこの辺で。