今日のキネ旬シアターは『すばらしき映画音楽たち』でした。
監督:マット・シュレーダー
主演:映画音楽関係者たち
制作:アメリカ 2017年公開
この映画は映画音楽の作曲家や監督、さらには心理学者などのインタビューを交えながら、映画音楽の歴史、映画音楽の果たす役割を考え、また作曲家たちの苦悩と達成感、感動を伝えるドキュメンタリー映画です。
リュミエールの時代から無声映画時代を経て、登場する映画は1933年の『キングコング』から始まり、『栄光のランナー/1936ベルリン』まで多くの作品が取り上げられました。
映画『キングコング』で初めてオーケストラによる音楽が導入されたようです。さらに『欲望という名の電車』でジャズが、というように映画音楽の変遷をたどります。
『キングコング』は確か小学生の頃にテレビ放映されたのを観た記憶があります。さらにヒッチコック映画の『めまい』『サイコ』、『ウェストサイド・ストーリー』から『荒野の七人』『007シリーズ』『俺たちに明日はない』『新・夕陽のガンマン』『卒業』『イージーライダー』『猿の惑星』など懐かしい映画が次々と登場します。懐かしくてたまりません。
さらに『ロッキー』『E.T』『ジョーズ』『未知との遭遇』『スターウォーズ』『スーパーマン』『ロード・オブ・ザ・リング』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ミッション・インポッシブル』など有名映画が続々登場します。
大昔に映画音楽が流行っていた頃は、映画音楽というものを注意しながら映画を観ていたものですが、最近ではあまり意識したこともありませんでした。
ところがこの映画で、作曲家たちが監督の思惑を聞き、ワンシーン、ワンシーンを深く理解しながらそれぞれのシーンに使う曲を作曲していくという苦悩と苦労話を聞くと、映画音楽が作られていくまでの道のりの長さと困難さというものがひしひしと伝わってきます。それだけに出来上がった映画を観て観客の反応が良かった時の感激はひとしおなのでしょう。確かに音楽が無いとその場面の盛り上がりには雲泥の差が出来るものが有ります。もちろん無音の方が効果的というものもありますが。
映画の初めの部分で出てくる『ロッキー』のテーマなどは正に映画そのものを表しているようです。
さらに女性の心理学者が映画における音楽が観客に対しどのくらい影響を与えるかということを考察し、その重要性を説いています。
電子音楽の使用や、バンド演奏、見たこともない楽器を使ってみたりと、映画音楽の世界もどんどん進化していきます。何気なく聞き逃してしまっていましたが、改めて奥の深さを知らされました。
登場する作曲家はハンス・ジマ―、トレヴァー・ラビン、クインシー・ジョーンズなど多数。ランディ・ニューマンもちょこっと出ていました。『ジョーズ』でおなじみのジョン・ウィリアムズもスピルバーグとともに登場します。
映画の中である作曲家が「音楽は実体のない芸術である。音楽は空気の振動で出来ているから、目には見えない」という言葉が印象的でした。
今日は改めて映画音楽の重要さを再確認しました。これだけのインタビューを取れたことに敬意を表します。
この映画は数多くの映画祭で賞を獲得したようです。
私にとって一つだけ残念なのは、アメリカ制作なので当たり前かもしれませんが、ヨーロッパ映画がほとんど出て来ませんでした。ヨーロッパ映画の「すばらしき映画音楽たち」を観てみたいですね。
ちなみに私の『懐かしの映画音楽』シリーズを参考までに。アメリカ映画がほとんどありませんが。
それでは今日はこの辺で。