カーヴド・エア(Curved Air)は今でこそプログレッシブ・ロックの範疇に入れられているようですが、当時はアートロックなどと呼ばれていたように記憶しています。
イギリスで結成されたこのグループは5人のメンバーから成り立っています。バンド名はクラシックの作曲家テリー・ライリーの作品からつけられたものです。
バンドの結成は1970年、フランシス・モンクマン(Francis Monkman,g,organ,p,harpsichord,synth,etc)、フローリマン・ピルキントン(Florian Pilkington-Miksa,ds)、ロブ・マーティン(Robert Martin,b)の3人が国立音楽院で最優秀バイオリニストに選ばれたダリル・ウェイ(Darryl Way,electric violin,vo)と出会ったところから始まります。先の3人はアマチュアバンドを組んでいましたが、そこにダリルを加入させました。
さらにそこに女性ヴォーカルを入れようということになり、ソーニャ・クリスティーナ(Sonja Kristina,vo)を加入させました。彼女はサンディー・デニーが抜けたストローブスでも歌ったことがあり、ミュージカル「ヘアー」のメンバーにもなっていました。
こうしてカーヴド・エアーとして出発することになりました。イギリスのワーナー・ブラザースとの3年契約も結びました。
そして1970年、彼等のファーストアルバムが発表されました。『Airconditioning』です。
Side A
1.It Happened Today
2.Stretch
3.Screw
4.Blind Man
5.Vivaldi
Side B
1.Hide and Seek
2.Propositions
3.Rob One
4.Situations
5.Vivaldi With Cannons
プロデュースはマーク・エドワーズ(MarK Edwards)です。
このアルバムの発表前にロブ・マーティンが脱退し、イアン・エア(Ian Eyre,b)が加入しました。
このアルバムは全英で8位になるヒットとなりました。
全曲メンバーのオリジナルです。
ソーニャ・クリスティーナの力強いヴォーカルとダリル・ウェイのエレクトリック・バイオリンが不思議な世界を作り出します。
ヴァイオリンを前面に出すというと、アメリカでは『イッツ・ア・ビューティフル・デイ』を思い起こしますが、カーヴド・エアはやはりイギリスのバンド、ブリティッシュ・ロックの香りがします。
A-5とB-3はインスツルメンタルです。A-5の「ヴィヴァルディ」はクラシックを学んだダリル・ウェイがヴィヴァルディをロック風にイメージしたと思われる曲。ヴァイオリンが前面にフューチャーされています。
B-1の「Hide and Seek」はハードなナンバー。フランシス・モンクマンのギター・ソロが力強い。
B-4はバラード。ソーニャの怪しげなヴォーカルが光ります。
イギリスで女性がリードヴォーカルをとるというとファークロックのようなイメージが湧きますが、このバンドは今聴くとやはり後のプログレやシンフォニックなメタルに通じるような、ロックバンドでした。
この後、カーヴド・エアは1976年までに6枚のアルバムを出しますがメンバーもバラバラになり、解散しました。
このアルバムは長いこと名盤の栄誉を受け続けました。
1990年にはオリジナルメンバーで再結成。その後も時々集まって活動をしているようです。
Hide And Seek - Air Conditioning - Curved Air
それでは今日はこの辺で。